『フジロック』、6万9000人が来場し
大盛況で終了

7月29・30・31日に新潟県湯沢町苗場スキー場にて『FUJI ROCK FESTIVAL'22』(以下、フジロック)が開催された。
8月2日の公式発表によると、7月28日(木)の前夜祭が1万人、29日(金)が1万8000 人、30日(土)が2万1000 人、31日(日)が2万人、のべ4日間で6万9000人が来場し、一部プログラムを変更して開催したが出演者の協力もあり無事終了。第7波による影響があるなか、感染防止対策ガイドラインを守り協力した出演者、スタッフ、来場者に感謝の意を表した。
開催期間中の天候は、初日は猛暑かと思えば小雨がパラついたりと山特有の天気だったが、4日間通して概ね良好で、まとまった雨は最終日のヘッドライナー後のみ降られた程度。日中は日差しの厳しさもあったが歴代『フジロック』の中では久しぶりに過ごしやすかった。
来場者は会場内に設置された手洗いや消毒の場を積極的に活用し、人が交差する場でのマスク着用は守られ、ひどい酔っ払いや大騒ぎをするような人に遭遇することはなかった。昨年のような異常な緊張感はなく、感染防止対策ガイドラインに則った行動をしながらもリラックスした様子で思い思いに楽しむ姿が印象的だった。ファミリーでの参加者も年々増加の傾向にあるが、元々『フジロック』はひとりで参加する人が多いフェス。とりわけ今年はひとりで参加(または行動)している人の多さが一際目立った。一人ひとりの参加者が感染防止を考えた上での選択だったのかもしれない。
ライブでは、ヴァンパイア・ウィークエンド(VAMPIRE WEEKEND)、ジャック・ホワイト(JACK WHITE)、ホールジー(HALSEY)の3組がヘッドライナーとして登場、ほかにトム・ミッシュ(TOM MISCH)、ハイエイタス・カイヨーテ(HIATUS KAIYOTE)、フォールズ(FOALS)、ボノボ(BONOBO)、ムラ・マサ(MURA MASA)など、3年ぶりとなる海外勢のステージが繰り広げられ、世界の音楽を伝導してきた『フジロック』本来の姿が戻ってきた。
VAMPIRE WEEKEND (c)Taio Konishi
JACK WHITE (c)David James Swanson
HALSEY (c)Jasmine Safaeian
一方で、コロナは出演アーティストにも猛威をふるった。今回の『フジロック』では、YOASOBI、セイ・スー・ミー(SAY SUE ME)、優河 with 魔法バンド、八木海莉尾崎裕哉思い出野郎Aチームらがコロナ関連で急遽出演キャンセルに。その代わりに、OAUクラムボンYOUR SONG IS GOODT字路s、MIZ、Helsinki Lambda Clubらが出演した。クラムボンはYOASOBIの「優しい彗星」をカバー、YOUR SONG IS GOODは「残念ながら出演キャンセルとなってしまった思い出野郎Aチームのピンチヒッターをしっかり務めてきたいと思います」とTweetするなど、アーティスト同士の協力も見られた。また、鈴木雅之もYOASOBIの「怪物」のカバーを披露。『フジロック』初出演に際し、“日本一野外ステージが似合わない男”と自称するも約1万5,000人を収容するホワイトステージには入場規制がかかり、Twitterでもトレンド入りを果たした。これら一部のライブ模様はYouTubeで生配信され、自宅で『フジロック』を楽しむ“おうちフジロック”も盛況だったようだ。
HIATUS KAIYOTE (c)Taio Konishi
TOM MISCH (c)Taio Konishi
FOALS (c)Yuki Kuroyanagi

MURA MASA (c)Masanori Naruse
ステージ以外にも見どころが多く、大道芸や寄席、『オアシス:ネブワース1996』などの映画上映、ワークショップ、キッズランド、サイレントブリーズ、日本一長いロープウェイのドラゴンドラ、そして疲れた体を癒すフード&ドリンクなど、大人も子どもも楽しめるもので溢れていた。中でも靴メーカーとして知られるKEENによるキッズアドベンチャーでは、グリーンステージから聴こえる爆音をバックにライフジャケットを身につけた子どもたちがキンキンに冷えた清流をダイナミックに流れていて、大人の知らないところで子どもたちも大いに楽しんでいた。
(c)宇宙大使☆スター
こうして唯一無二の音楽空間として戻ってきた感のあった『フジロック』は無事に終了した。昨年はコロナ猛威のタイミングにヒットしてしまったが為にそれぞれが選択に迫られて苦しい思いをしたが、今年は出演者、スタッフ、来場者の協力により、完全復活への道は確実に開かれたと言えるだろう。
参加者それぞれが様々なアーティストからパワーをもらったはずだが、筆者の心を最も奮わせたのはジャック・ホワイトの音楽だった。彼と彼のバンドの圧倒的なパフォーマンスから放たれる一音一音には途轍もないエネルギーが込められており、その音を浴びたことで停止していた心が蘇り、再び人として機能し始めたような錯覚さえあった。あれから数日経った今もその衝撃は体内に健在で夢見心地のまま余韻に浸っている。なんと幸せなことか。
この3年、コロナ禍で蓄積されていた心の鬱憤を晴らしてくれたのはやはり『フジロック』だった。音楽フェス、『フジロック』は我々にとって必要な存在であるということを強く訴えたい。今回は出演アーティストのキャンセルと同様に来場予定者の中にも参加できなかった人が多くあったことと思われるが、来年こそ皆が健やかに参加できる、完全復活の『フジロック』が開催されることを心から願っている。
文=早乙女‘dorami’ ゆうこ
(c)宇宙大使☆スター
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