久保田秀敏・安里勇哉「役者と演出家
の熱いバトルで出番が増える」~舞台
「文豪とアルケミスト 嘆キ人ノ廻旋
(ロンド)」インタビュー

「文豪とアルケミスト」はDMM GAMESで配信中の文豪転生シミュレーションゲーム。2019年から始まった舞台「文豪とアルケミスト」(「文劇」)も5作目を迎え、ついに芥川龍之介を中心とした物語が描かれる。

今回、芥川龍之介役・久保田秀敏と久米正雄役・安里勇哉にインタビューを行った。年齢も近く、同じ師を持つ関係性のふたり。すでに新衣裳を纏う久保田の姿も公開されているが、今回の「文劇」はどのような話になるのだろうか。
「生きろ」という強いメッセージ
ーー久保田さん、今回ご出演が決定した時の感想を教えてください。
芥川龍之介役 久保田秀敏(以下、久保田):僕は前作より2年ほど期間が空いています。今回「文豪とアルケミスト 嘆キ人ノ廻旋(ロンド)」ではメインでお話を展開させていただくことになりました。もともと芥川龍之介は『文豪とアルケミスト』という作品の顔にもなっていますので、今回は本当に嬉しかったです。「文劇」は5作目となります。作品を続けていくのは本当に難しいことですし、ここまで愛してもらえている作品に長く関わらせていただいているのはとても光栄です。
久保田秀敏
ーー今までご出演されていた公演で、強烈に記憶に残っていることはありますか。
久保田:3作目、舞台「文豪とアルケミスト 綴リ人ノ輪唱(カノン)」の時ですね。目に見えないウイルスが流行り、多くの人が大変な思いをするというお話でした。現在の世の中ともリンクしていて、特に「生きろ」というメッセージが非常に強調されている作品でもありました。1作目、2作目と公演をやってきて、ひとつの集大成のようなとにかく熱い公演だったという印象です。とにかく今は耐えて。みんな辛いけれど心をひとつにして。前を向いて。という熱いメッセージを伝えるようでもあり、自分にも言い聞かせているようでもありました。脚本のなるせゆうせいさん、演出の吉谷晃太朗さんもですが、「こんなご時世打ち破ってやる!」というような意気込みがひしひしと感じられましたし、それを体現できた作品になったんじゃないかなと思います。
ーー安里さん、今回ご出演が決定した時の感想をお聞かせください。
久米正雄役 安里勇哉(以下、安里):長く続くシリーズの作品に出演が決まって嬉しいです。「文劇」ももちろん知っていましたし、これまでのキャストでも知っている方もたくさんいます。僕が演じる久米正雄とクボヒデくんの芥川は、ライバル的な存在ですね。
久保田:そうですね。ライバルでもあり同志でもあり。でもひとつのことをきっかけにだんだん生きる道が逸れて……離れていったという関係性ですね。
安里勇哉
安里:キービジュアルでもわかるとおり、今回は芥川と久米が戦うところがあるのではないか。そんなところも楽しみですね。なるせさん、吉谷さん、そしてほかのキャストも知っている方ばかりですし、現場に入る前から安心感が大きいですね。年齢もほぼ30歳越えで、20代は(菊池寛役の岩城)直弥だけかな。珍しいですよね。
ーー「文劇」にどんな印象をお持ちでしたか?
安里:まず、武器の形状が珍しいなと。
久保田:みんな特殊な武器持っているからね。
安里:「文劇」の過去作には平野良さん(太宰治役)もいるし、それに吉谷さんの演出と『文豪とアルケミスト』という作品が非常に合っているなという感じもしました。あと殺陣がやばそうだなと。椎名鯛造くん(室生犀星役)は武器が銃なんだけど、「ほぼアクションだから大変だった」というような話も聞いていました。殺陣どうです?
久保田:それぞれの武器に特徴があるからより大変だね。例えば良くん演じる太宰治は大鎌だから、アクションも大きい振りになる。狭い劇場の中で怪我しないようにやるのも大変だけどダイナミックにも見せたい。今回の久米に関しても刃先が鎌みたいになってるとか、どう戦うのって疑問に思うところも舞台の見せどころのひとつでもありますね。それにそれぞれのキャラクターの葛藤が見えやすいなと思っています。観ている方もここの背景にはこういうことがあるからここでこんな行動を取る——ということがすごく可視化されている。演じていても楽しいですし、見る側もわかりやすくて面白いのではと思います。
(左から)久保田秀敏、安里勇哉
ーー“「文劇」あるある”のようなエピソードがあったら教えてください。
久保田:稽古終わりに男気じゃんけんとかは何度かよくやっていましたね。あとは笑っちゃいけないゲームとか。そういうので稽古段階から交流を深めたりはよくしてたな。
安里:あとは役者と演出家として、吉谷さんと熱いバトルがあると。
久保田:稽古終盤になるとやっぱりそうなることが多いよね。吉谷さんの演出の特徴で、その人物の心情内情を他のキャストを使って表現するというのがある。アンサンブルさんが一番大変になるんだけど、スペースがあれば出てないキャストをどんどん付け足していって。
安里:その時のキャラクターの心情や背景がよりわかりやすくなるんですよね。そして出トチリそうになる。
久保田:うん、3作目が特に大変だったかな。稽古ラスト一週間くらいでいろんな演出が加わって、自分がいないシーンだったのに、どんどん出番が追加されていく……。
安里:観ているお客さんからしたら嬉しいですよね。出番も増えるし、よりわかりやすくなるし。
久保田:良い演出方法ではあるけど、僕らは裏で大変だった。っていう裏話です(笑)。
久保田秀敏
役者なのでお芝居で勝負したい
ーーお芝居、殺陣はもちろん、OPに一部ダンスもある舞台ですが、おふたりが一番得意とすることは?
安里:一番得意なこと。うーん。「人付き合い」でしょうか。
久保田:(笑)。
安里:ダンスは苦手ではないけど、極力ジャンプして飛び越えていきたい。乗り越えるではなく「飛び越える」感じで。
久保田:「文劇」でのダンスはオープニングで少しあるくらいで、全体で見ると多くないよね。まぁでも役者をやってるから、お芝居で勝負をしたいというところではあります。
安里:今回は東京、大阪とあわせて公演期間が長いよね。この舞台は珍しく僕より年上の方が多くて。僕やクボヒデくん、わごちゃん(江戸川乱歩役 和合真一)、鯛造くんが一緒の世代で、(夏目漱石役の)寿里さんがもう少し上。怪我だけはしないようにみんなで頑張りたいです。
久保田:身体とも相談しながら。労りあいながらね。
安里:うん。階段やアクションでの怪我よりも、疲労や蓄積によるものはどうしても気を付けられないものでもあります。
久保田:頭はわかっていても身体が追い付いていかないっていうのもリアルな現状。みんなで気を付けながら頑張っていきたいです。
ーーおふたりは本を読むのは好きですか? また、本にまつわるエピソードがありましたらお聞かせください。
安里:うーん、台本を読むようになってから読む頻度は減りました。他の文字を脳に入れたくなくて。舞台の原作とかはよく読みますが、趣味で読む本と台本で読むものを同時期に両方読み込んでいくのは苦手かもしれません。
安里勇哉
久保田:進んで本屋に行って小説を買う、という行為は最近あまりしていませんね。
安里:小さい頃はよく読んでいたんです。江戸川乱歩とか図書館にもあるミステリー系の児童文学は手に取る機会が多かった気がします。
久保田:僕はあまり読んできませんでした。夢中になる本もあるんですが、何かのきっかけで途中で止まってしまうと、そこから読まなくなってしまうことが何度もあって……今も家に読みきっていない本があります。見かけるたびに「ああ、これ途中だから読もうかな。でも、うーん。やっぱり今はこっち(違う本)にしよう」とか、そういうのがどんどん積もってしまっていますね。本を買うことは買うんですが、なかなか読了ができずにいます。
ーー最後にメッセージをお願いします。
安里:初の「文劇」に参加なのですごく楽しみにしています。殺陣もお芝居もボリュームのある舞台で、いまからとても楽しみにしていますので、ぜひ注目していてください。
久保田:今回は芥川龍之介を中心とした物語です。より彼の一面を知ることができると思います。そして久米や菊池の名前は今までの作中にも出ていたんですが、ようやく登場します。この作品がきっかけで芥川、太宰ら史実の方の知識にもなりますし、新しい発見もあると思っています。僕らはちゃんと舞台上で生きて、お客さんにエネルギーを渡して、楽しませる自信があります。ぜひ楽しみに劇場にお越しください。
ーーありがとうございました。
(左から)久保田秀敏、安里勇哉
ヘアメイク:佐々木渚香
スタイリスト:小林洋治郎(Yolken)
取材・文=松本裕美    写真=池上夢貢

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