【Happy Around! インタビュー】
ハピアラのいろいろな一面を
見せているアルバムになった
DJをテーマに、アニメ・ゲーム・声優によるライヴなどを展開するブシロードのメディアミックスプロジェクト『D4DJ』のグループ・Happy Around!(以下、ハピアラ)が1stアルバム『はぴあら★はぴあれ★はぴあられ』をドロップ。同作は『D4DJ』始まりの曲「Dig Delight!」から新曲「ラフ・ダイヤ・マジック」まで、ハピアラの2年半が詰まった一枚に。愛本りんく役の西尾夕香と音楽プロデューサーの斎藤 滋が、これまでの活動を振り返りながらアルバムの魅力や今後の展望などを語った。
新曲の編曲に込めた
ハピアラの成長
ついに1stアルバムが出るということで楽しみにしていました。
斎藤
長くかかりましたね。『D4DJ』の立ち上げが2018年ですけど、体感的には4年以上かかっているくらいの感覚です。
西尾
そうですよね。私はかかわるようになって“3年経ったかな?”くらいの感じなんですけど、アルバムが出せるほど曲が溜まったんだということが嬉しいです。最初のほうのライヴはオリジナルが2曲くらいで、あとはカバー曲をいっぱいやっていた感じでした。それが今のライヴではオリジナルとカバーの比率が逆になっている時も増えたので、そういうところでもいっぱい活動をしてきたんだなと実感します。
アルバムはその積み重ねの集大成のような感じだと思いますが、おふたりはどんな作品になったと思いますか?
西尾
今作にはシングル曲だけじゃなく、ゲームに実装されているけどCD化はされていなかった曲なども含まれていて。ハピアラと言えば、今まではおもちゃ箱をひっくり返したような明るさと元気さで、“イェ~イ!”っていう感じのテンションだったんです。でも、初めてCD化する曲たち、例えば「ふるふる♡ハートふる」や「パノラマリウム」などは今までと違った系統だったりするんですね。ハピアラらしさはあるけど、聴かせるタイプの曲。そういう意味ではハピアラのいろいろな一面を見せているアルバムになっていると思います。
斎藤
今、“おもちゃ箱をひっくり返した”と言ってもらいましたけど、その気持ちは今もあって。ハピアラは常に明るく、みんなのエネルギーになるようなポジションにいる。それはいい意味での縛りですし、その縛りの中でいろんな種類の楽しさを見つけていけたらと思っています。もし、2~3年前にアルバムを作っていたとしたら、全曲が“イェーイ!”という感じの曲だったと思うんですけど、この数年の間にコンテンツとしての充実度が増したのはもちろん、メンバーのみんなもすごく成長して。しっとり歌うことに対しても技術が上がったことで、そういう曲も作れるようになりました。楽曲の幅とともに、彼女たちの成長も感じてもらえるアルバムになったと思います。
西尾
ありがとうございます! でも、曲のテーマはゲームのストーリーやイベント内容に沿って作られるので、ゲーム内でのキャラクターたちの成長に合わせなきゃいけないから追いつくのに必死ですけどね。ただ、楽曲のレコーディングよりも前の段階でゲームに声を入れたりすることが多いので、そういう部分では歌に感情を乗せやすいと言えますね。例えば浴衣イベントだったら、“こういう曲なんだ、確かにな”って。だから、ゲームの内容を理解してからレコーディングに臨めています。
今作には『D4DJ』としても最初の曲である「Dig Delight!」も収録されましたね。
斎藤
最初の頃は『D4DJ』がどこに向かって行くのか、僕らも分からなかったし、キャストのみなさんはもっとそうだったと思います。当時も“DJ”と銘打ったからにはダンスミュージックでなければならないとか、EDMうんぬんとか大議論があって。ハピアラがやっている音楽は、ガチのEDM勢のみなさんからすると跳ねすぎだったり、テンポが速すぎたりすんですけど、「Dig Delight!」ができるまでには作っては議論して作っては議論してをかなり繰り返した時期がありました。だから、試行錯誤の末に生まれたのが「Dig Delight!」だったんです。
西尾
しかも、『D4DJ』全体としての最初の曲が「Dig Delight!」だったので、私たちとしてもプレッシャーが大きかったですね。これでディグラー(ファンの呼称)さんたちの印象が決まるのに、私たちが渡されていた情報がすごく少なくて(笑)。でも、“やらなきゃ!”という気持ちがあったので、すごくドキドキしていたことを覚えています。
斎藤
曲を作る側としても、まだ情報がそんなになかったですからね。「Dig Delight」の時なんかは、こういう服を着ていて、明るくて、主役となるユニットで…というくらいしか情報はなかったんです。正直言って迷いましたけど、りんくちゃんたちのキービジュアルがすごく笑顔で、楽しく歌いそうだなと思ったんですよ。そこで唯一見い出せたキーワードが、“楽しく明るく”だったという。
西尾
キービジュアルってすごく大事な材料でしたよね。それがないとどんな声で歌っていいか分からないし。それに私はこの時、ゲームなどの台詞をまだ一切録っていない頃で、愛本りんくとして発声した一発目が「Dig Delight」のレコーディングだったんです。ここで出した声でその後のゲームやアニメも演じていくことになるわけで…だから、“これでいいのかな?”と思いながらも提示して、声の太さや明るさについて“もうちょっとこうして、ああして”と言われて修正してを繰り返しながら少しずつ定まっていった感じでした。だから、「Dig Delight!」が試行錯誤の末に生まれたというのはキャスト側も同じだと思います。実際に楽曲自体が何回も変わっていましたよね。
斎藤
すごい変わった。
西尾
“現状はこういう感じです”という途中経過の曲を何度か聴かせていただいたんですけど、もらうたびに“結構変わったなぁ”という印象で。
斎藤
プロジェクト全体としても何度も議論していたので、それによって大きく作り変えることも多々ありましたね。