【安野希世乃 インタビュー】
ひと切れのケーキのような
人生の彩りになってほしい
ケーキみたいな甘さも出したので、
女の子リスナーを獲得したい!
その他、安野さんご自身が挑戦だったと思われることは?
幕開けの「宇宙の法則」でしょうか。メルヘンで可愛い楽曲で、作曲したh-wonderさんの仮歌詞の段階から《宇宙の果てには》という歌い出しにハートを掴まれて。大きな空間の中で世界観が広がる曲だったので、私からも“旅の途中”“自分の居場所の模索”といったキーワードを出して。自分自身のことが分からないまま、いろんな人と出会いすれ違う中での変化だったり、いつかは自分の居場所とか住処を見つけていきたいといったイメージが出せたらいいなと。なので、サラッと歌って流れてしまうのがもったいなくて、この世界観に負けないくらいの個性を出したいと思い、歌い方に癖をつけたんです。ちょっと自分としては珍しい歌い方を意識したので、リスナーのみなさんにも“この感じは聴いたことないな”と思ってもらえるんじゃないかな? あと、自分が中高生の頃に出会っていたら大好きになった曲だと感じ、若い女の子の心にヒットさせるような気持ちで歌いました。ケーキみたいな甘さを出したので、この曲で女の子リスナーを獲得したいと思います!(笑)
まさにいろんな“ひと切れのケーキ”を差し出しているアルバムですね。
鋭いですね(笑)。実はアルバムとの連動企画で、7月16日から発売日までのカウントダウンをケーキの食レポと一緒にやるんですよ。例えば「エトセトラ」はレアチーズケーキがイメージなので、それを食べながら“なぜ「エトセトラ」はレアチーズケーキなのか?”を語るっていう。つまり、収録12曲それぞれに当てはめたケーキをご紹介していくので、楽しみにしていただきたいですね。
それは面白そうですね。来年2月からはアルバムを引っ提げてのライヴツアーも予定されていますが、どんなものになりそうでしょう?
初日が仙台なんですけど、出身県である宮城県でライヴをさせてもらうのが初めてなんですよ。歌手デビューして丸5年というタイミングで初めての凱旋ライヴができるのは、すごく記念にもなるし嬉しいです。アルバムでひとつひとつ印象の違う、本当に色とりどりの楽曲を作っていただけたので、ライヴで表現するにあたってもまったく違った味わいになるように工夫したいと思いますね。どんなふうにアルバム曲たちが輝くか、生まれ変わるかというところを、私も楽しみにしています。
しかし、「エトセトラ」とかリズム的にかなり歌うのは難しそうじゃありません?
難しかったです! 音符の位置がすごく絶妙な位置にあって“ここどうなってるの?”みたいな。この曲は yuigot さんというすごく面白い曲を作る 方がいらっしゃるということで、プロデューサーさんがアプローチをしてくださり、一からお願いした曲なんですね。そしたらすごく可愛い曲 が上がってきたので、私からは、躓いた過去を乗り越えて新たな気持ちで一歩を踏み出すような曲にしたいと、“リセット”“再スタート”というキーワードをお渡ししました。結果、少女の繊細な心を表しているような素敵な曲になったと思います。
この曲にせよ、そのあとに続く「OUTな夜」にせよ、ちょっとウィスパー気味の曲は、ただでさえライヴでのハードルが高いですよね。
確かに今回はウィスパーな曲が多いですね。「OUTな夜」は色気を乗せたウィスパー感を大事にしていて、こういうお洒落なんだけど切なく、ウィスパーが似合いそうな曲を、実はずっと歌いたかったんです! この曲に関して私がお伝えしたキーワードは“交差点”とか “出会いと別れ”、“すれ違ってしまったけれど一瞬だけ交わった、その刹那の情景”とか“IF に後ろ髪を引かれる感情”…といったものでした。そしたら、とてもニュアンシーで色っぽい詞をつけていただけて。
“何が OUT なの?”と訊きたくなるような不思議な歌詞ですよね。
なので、とにかく楽曲の持つリズム感やノリを重視して、音の波に揺られて気持ち良くなる感じで歌いました。また、堂島孝平さんが書いてくださった「Bad Temptation」もスケールがマイナーなので、曲が体に馴染むまでは戸惑う部分もあったんですけど、楽曲が持つ世界観や音の配置に慣れてしまったら“これ以外ない!”って感じられるようになって。他の楽曲からは摂取できない良さがある曲なので、ライヴでイントロが鳴ったら、お客さんも“来たー!”って一気に湧くのではないかと期待してます。
期待と言えば、やはり「世紀の祝祭」では踊っていただけるんですよね?
やっぱり、そこに期待しちゃいますか?(笑) 確かに今回、わりとスンとした曲が多くて、踊るような曲はあまりないですもんね。どんなステージングになるのか。目で観ても耳で聴いても面白いライヴになるようにこれから練っていくので、楽しみにしていてください!
取材:清水素子