有華

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【有華 インタビュー】
10年分の想いを込めた
過去と未来をつなぐ作品

例えつらく悲しい思い出でも
共感し合えば乗り越えられる

心強いなぁ。「Marry me」は女性に贈る応援歌でもありますが、誰かのためよりは、20代後半である今の有華さんの年齢で残したかったという想いのほうが強いんですか?

そうですね。最近は自分のために曲を書くようになりましたし、むしろ自分のことしか書けなくなってきました。「サヨナラのはじまり」や「終わらない唄」がまさにそうですけど、自分の身にあったリアルな出来事を音楽というかたちで残したかったんですよね。『キミノサプリ』(2019年7月発表のミニアルバム)という作品に入っている「捨て猫」は、当時付き合っていた人にフラれたことがきっかけで作った曲だったんです。それをInstagramにサビだけアップしたら、たくさんの人に共感してもらえ、そこで初めて“自分に起きた出来事でも共感してもらえるんだ!”と思えたし、自信につながったんです。それ以降、マイナスな思い出も全部曲にして残していくようにしています。

“どこまで書いていいんだろう?”とか、恥ずかしさみたいなものはなかったですか?

なかったですね。それよりも思い出を残せる喜びが勝ちました。「サヨナラのはじまり」は長く付き合っていた人との別れを歌った曲ですけど、思い入れがあまりに強すぎて、歌詞の中にその人の名前を入れたかったくらいなんですよ。その人がこの曲を聴いた時に“俺のことを歌ってる”と優越感に浸ってほしいわけではなく、私が“あんたの耳に届くくらい、私の曲は広まったんだぞ?”と優越感を得るためで(笑)。

勝気だなぁ(笑)。曲として残ってしまうことが嫌だとは思わなかったんですか?

恋愛って自分がしようと思ってできるものでもないし、好きだと思う気持ちを止めることもできないじゃないですか。そこに楽しみや喜びを見出すタイプなので、そんな恋愛ができた奇跡を詰め込みたかったんですよね。

思い出を自分の中に閉じ込めるのではなく、良いも悪いも関係なく人生の全てを歌にしていきたいという考え方は、シンガーソングライターとしての意識的成長の表れのようにも思えますね。

そうかもしれないです。最近は何かあったら全部歌にしようと思う癖がついてきましたし、例え嫌なエピソードだったとしても、聴いてくれる人が共感してくれたら味方が増えたような気持になるんですよね。なので、良いエピソードを書きたいというよりは、むしろつらかったエピソードを書いて、みんなで清算していきたいです。

リスナーと一緒に悪い思い出を成仏させているような感じですね。

あぁ、まさにそうです! リリースすることで派手な葬式を上げて、コメントを用いて
みんなに列席してもらうっていう感じです(笑)。

そんなパワフルな恋愛の曲が続く中、最後の「終わらない唄」は有華さんの決意ともとれる気持ちが色濃く出ている楽曲ですね。

はい。私は一生夢を追い続けると思っているので、この10年、良いことも苦しいこともたくさんあったけれど、“終わることはないんだよ”というメッセージを込めた楽曲です。大学在学中に就職活動をして、一般企業に就職していた時期があったんですけど、その時にずっと“本当は音楽をやりたいのに”と思っていて、サビの《ただ自分の好きなことだけをしていたいだけなのに》というフレーズが生まれたんですよ。それからずっと寝かせていたんですけど、今作を作るにあたって自分の想いが強く乗っていて、かつ、コロナ禍でも音楽を続けていこうと決めた自分とリンクするところから、改めて完成させようと思って着手しました。

就活時代のメンタルが図らずとも今の時代とリンクしたところもありますけど、改めてこの曲に乗せた想いはどういうものですか?

《10年前の僕らへ/どんな日も今に繋がっててさ/無駄な事なんてない/だからその笑顔忘れないで》と歌っている部分が、この曲の中で一番伝えたいところですね。昔は仲間内でも夢や理想を話すことが多かったんですけど、歳をとるにつれて現実的に考えがちになってしまっているように思うんです。でも、10代の頃に語った夢って振り返ってもものすごく尊くて、大事なことなんですよ。なので、聴いてくれる人にはその頃に抱いた理想を忘れずに歩んでいってほしいと思っています。

7月14日からは全国ツアーも始まりますし、そうした有華さんの実直な想いがもっとたくさんの人に届くきっかけになりそうですね。

そうですね。初めてライヴに来てくださる方もいるでしょうし、今までずっと観てきてくれている人もいるでしょうし、そうした方々全員に楽しんでもらえるようなセットリストを考えています。私はしゃべるのがめっちゃ好きなんですけど、やっぱり一番は音楽で伝えることなので。今からとても楽しみですね。

取材:峯岸利恵

配信EP『Stamp Rally』2022年6月22日配信 flowernote

ライヴ情報

『有華ワンマンツアー2022 「Stamp Rally」』
7/14(木) 大阪・梅田CLUB QUATTRO
7/16(土) 福岡・Drum Be-1
7/22(金) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO
7/24(日) 東京・渋谷CLUB QUATTRO

有華 プロフィール

ユカ:幼少期からピアノと合唱を始め、18歳から大阪を中心にシンガーソングライターとして活動開始。2015年以降、Instagram に写真や動画を公開 したことにより、インフルエンサーからのフォローや 大好きなお喋りと容姿のギャップが共感を 得て、現在までに同性を中心に約 14 万人、TikTok では 78 万人のフォロワー 数を獲得。他 SNS のフォロワーを合わせると 110万人以上の登録者数を記録。22年4月発表の配信シングル「Partner」は、同年7月現在でストリーミング総再生回数が6,000万回を突破。同年6月発表の配信EP『Stamp Rally』を引っ提げて、全国4カ所にて『有華ワンマンツアー2022 「Stamp Rally」』を開催した。23年1月に配信シングル「Baby you」でメジャーデビューを果たし、同年10月にメジャー1stフルアルバム『messy bag』をリリース。有華 オフィシャルHP

「Partner」MV

バースデーソング -2022 ver.-
(Official Audio)

「Marry me」MV

「一蓮星」MV

OKMusic編集部

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