【THOUSAND EYES インタビュー】
いろいろ試してみたけど、
できることを
全曲でやろうと開き直った
ツアーでまた新たなTHOUSAND EYESの
魅力を示すことができる
ギター周りについては?
KOUTA
今回使うピックを替えました。ピックはもう10年くらい悩んでいるんですけど、もともとはイングヴェイと同じデルリンの1.5ミリのティアドロップを使っていて、音も好きなんですけど、どうしてもリフにちょっとエッジが足りないんですよね。すごく悩んで、今回はジム・ダンロップのトーテックス・ピッチ・ブラック・ジャズIIIを使いました。1.14ミリのタイプ。僕は小さいピックにすることに、どうしても恐怖心があったんです。音圧が出ないんじゃないかとか、細い音になるんじゃないかという気がしてしまって。でも、もう3枚のアルバムで自分のやりたいことをやったし、ちょっとくらい失敗してもいいかなと試したところ(笑)、結果的に一番いいトーンになったと思っています。
確かに今作のエッジィ&クリアーなギターの音はすごく魅力的です。
KOUTA
ありがとうございます。あと、ギターも替えたんです。今まではジャクソンでしたけど、今回はIbanezのRG J Customを使いました。ダンカンPUが乗っているタイプで、少し音の質感が変わったと思います。アンプはSTUDIO PRISONERに置いてあるエングルのパワーボール(ヘッド)で、キャビネットはオレンジ。あとは、MAXONのOD808をブースターとして使いました。最近はライン録りするギタリストも多いけど、僕は全部のパートをキャビで鳴らしています。
いいですね。ギター関連はお聞きしたいことがいろいろあるのですが、チューニングはどうなっているのでしょう?
KOUTA
1音半下げです。“ドロップC#”ではなくて全弦を1音半下げるパターン、一番中途半端なチューニングだと僕は思っていて、ジャーマンメタルは半音下げ、Children of Bodomは1音下げ、モダンな人はローBチューニングとかですよね。1音半下げという人はあまりいなくて、あまりいないから最初にチョイスしたというのと、僕はSlayerの『悪魔の鎮魂歌』というアルバムが好きなんですけど、それが1音半下げなんですよ。あのクラシカルなスラッシュメタルのビートに、ちょっとだけモダンなテイストを合わせた感じが、僕が当初THOUSAND EYESを始めるにあたって方向性として合うんじゃないかと思ったんです。
ダウンチューニングならではのヘヴィさとレギュラーチューニングに近い張りを兼ね備えた音と言えますね。続いて、ギターソロにいきましょう。ギターソロはテクニックと歌心を両立させたフレージングや速弾きの一音一音が非常にクリアーなことなどが印象的です。
KOUTA
THOUSAND EYESのもうひとりのギターのTORUは本当にテクニックが素晴らしいので、速弾きもクリアーに聴こえるんだと思います。僕に関しては自分の限界を超えない範囲というか、難しいことをなるべくやらずに、クリアーに弾けるフレージングを決め打ちして弾くことを心がけています。ギターの歌心やニュアンスといったことはすごく大事にしていますね。テクニックも大事だけど、僕は響くかどうかということにこだわっています。
さすがです。「Garden Of Thorns」や「Bastard Angel」を筆頭にKOUTAさんとTORUさんが交互にソロを弾く曲もたくさんありますが、そういう場合のソロはどんなふうに構築されているのでしょう?
KOUTA
TORUにデモを渡す段階で、“俺はだいたいこんなソロを弾くから”というのを入れておくんです。あとは、“ここはこういう雰囲気でお願いします”という、ある程度の方向性だけは伝えて、TORUはそれを踏まえてソロを考えるという感じです。TORUから返ってきたトラックを聴いて、それに合わせて自分のソロを変えることもありますけど。自分のギターソロでは「Behind Blue Tears」とか「Shadow Dancer」はシンプルに気に入っていますね。「Shadow Dancer」はかけ合いのソロですけど、僕は基本的にペンタトニック主体で、いわゆる“ボックスペンタ”ではなくて、スライドするほうのペンタトニックを活かしているんです。僕は宮脇敏郎さんにギターを習っていたことがあって、宮脇先生が弾くペンタトニックに憧れているので、ちょっとでも近づきたいなという想いから今回はスライドのペンタトニックで頑張ってみました。まだまだですけど、そういうアプローチをかたちに残せたので気に入っています。
メタルアルバムに相応しくギターの聴きどころが満載なことも『BETRAYER』の魅力になっています。『BETRAYER』は密度の濃い一作に仕上がりましたし、9月から10月にかけて行われる全国ツアーも楽しみです。
KOUTA
ツアーでは『BETRAYER』の全曲を披露したいと思っています。一回のライヴで全曲を演奏するんじゃなくて、ツアーを振り返った時にちゃんと全部の曲を披露できたというパターンで。最高傑作ができたという自負もあるので、全曲をちゃんと聴かせたいんですよね。もちろん自分たちのライヴに欠かせないこれまでの曲も演奏するので、『BETRAYER』の楽曲が加わった最新かつ最強のTHOUSAND EYESを、ぜひ体感しに来てほしいです。
DOUGEN
『BETRAYER』の楽曲はさっきも話したようにエクストリームでアグレッシブな側面とメロウな側面が今までの3枚よりもくっきりとしているので、逆にライヴで盛り上がれるんじゃないかと思っています。コロナ禍でモッシュとかはできないけど、激しい曲では一緒に手をあげたりして、メロウな「Shadow Dancer」とかはその場にいるお客さんと全員で浸れるといいですね。コロナ禍の中でのツアーということで、モッシュとかサークルだけがライヴではなくて、聴く楽しみも表現できるいい機会になる気がしているんです。そういう意味では、ツアーでまた新たなTHOUSAND EYESの魅力を示すことができると思うので期待していてください。
取材:村上孝之
「Everlasting Trail」
(Official Video)
「Dead Blind Nightfall」
(Official Video)
「Betrayer」
(Official Video)
「Lost Forever」
(OFFICIAL LYRIC VIDEO)
「Day Of Salvation」
(OFFICIAL VIDEO)
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