水樹奈々

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【水樹奈々 インタビュー】
みなさんの心に寄り添えるような、
愛に満ちたアルバムにしたいと思った

約2年半振りとなるフルアルバム『DELIGHTED REVIVER』は「FIRE SCREAM」や「Get up! Shout!」などのシングル曲をはじめ、水樹奈々自身が作詞作曲を務めた「HOME」など新曲10曲を収録。コロナ禍を経験したからこそ改めて感じた大切なものと、水樹がみんなに伝えたい想いが全15曲に詰まっている。

オラオラ〜〜!と攻撃的でも、
心の中は穏やかな気持ちでいる

コロナ禍の2年ちょっとの間、水樹さんが何を考え、何を伝えたいと思ったのかが、すごく伝わってくるアルバムでした。“また頑張ろう!”と思う時の、新たな起点となるような。そんな今作に込めた想い、タイトルに“DELIGHTED REVIVER”とつけた意味など教えてください。

“DELIGHTED REVIVER”は“喜びいっぱいで復興させる人”という意味で、まさしくそんなアルバムにしたいいう想いで作った一枚です。これまではアルバム収録曲が半分くらい見えたところで、楽曲の傾向に合わせてタイトルを考えていたのですが、今回はまず“DELIGHTED REVIVER”というタイトルを掲げ、その旗印のもとに曲を集めていくという、今までとは違う制作スタイルになりました。この2年半の間はコロナでエンターテインメントがストップしてしまって、本来ならみなさんに直接笑顔や元気を届ける場所が奪われてしまった。そんな中で、今の自分にできることは何かということを模索し続けた2年半でした。まだ油断できない状況は続いていますが、諦めず光を探し続けられるように、ある時はみんなを奮い立たせ、またある時は寄り添うような、そんな一枚を作りたいと思って制作に入ったんです。

ステイホーム期間はエンターテインメントの存在意義が問われる場面がありましたが、1曲目の「MY ENTERTAINMENT」はその問いに対する水樹さんの答えだと思いました。

“DELIGHTED REVIVER”をテーマに、このアルバムを象徴する一曲を作ってほしいとヨシダタクミ(saji)さんにお願いし、作詞作曲していただきました。イントロはここから立ち上がっていくイメージで、みんなが共鳴し奏で合えるように《Wow...》というコーラスで始まって。アレンジャーの藤永龍太郎(Elements Garden)さんには、いろんなニュースが飛び交っていて、何が正しくて、何を信じていいのか分からない中、道を模索している様子を表現してほしいとお願いし、ラジオ音声でいろんな言葉が飛び交っている中で私の歌が逆再生されていくというアイディアを落とし込んでくださいました。混沌としたこの状況から立ち上がっていく様子を、曲全体を通して表現しています。

暗闇に光が差し込めるような曲ですね。

はい。その光を追い求めて体当たりで挑み続ける様子を表現するために、音域も2オクターブ以上使われています。しかも、間奏がないので1コーラスが終わって息を整える暇もなく、ノンブレスで畳みかける鬼のような展開(笑)。でも、次から次へと起きる問題に翻弄されながら生きる道を探していく様子が、そのメロディーに表現されていて。ひと筋縄ではいかない曲でしたが、この曲をみんなに届けられると思うとすごく嬉しくて、レコーディングはとても楽しかったです。

美空ひばりさんに「歌は我が命」という曲がありますが、そこに込められた想いと通じるものを感じました。

大変恐れ多いです。コロナ禍に突入し、“私にとってのエンターテインメントとは?”と考え続けた2年半だったので、ヨシダさんから作詞の方向性を相談された時に“声をテーマに書いてほしいです”とお願いしました。私の活動は声優と歌手なので、声はなくてはならないものなのに、コロナで声を出せない、しかもマスクで常に声が覆われてしまっている。これは私にとってすごくショッキングなことで。その中で改めて自分の声と表現に向き合い、“それでも声を届けたい! その声がみんなの明日につながることを信じて、これからも活動していきたい!”という想いを歌詞にしていただきました。

水樹さん作詞作曲の「HOME」は、この夏に開催されるツアーのタイトルでもあります。今回もプロデューサーの三嶋章夫さんから難しいお題があったそうで。

はい。今回は“ミディアムテンポで明るいのに泣けて、さらに夏が感じられる一曲”というお題でした。しかも、私の既存曲の中で「夏恋模様」(2010年7月発表のアルバム『IMPACT EXCITER』収録曲)や「恋想花火」(2016年7月発表のシングル「STARTING NOW!」収録曲)のような曲と言われ、求められている空気感をイメージすることはできたのですが、“DELIGHTED REVIVER”というテーマを掲げているのに自分が今恋愛の歌を書くのはフィットしないような気がして、“今だから書ける曲は何だろう?”と1カ月くらい悩みました。いったん「夏恋模様」や「恋想花火」からは離れて、改めてお題を頭の中で巡らせた時に、“ライヴのアンコールだ!”と浮かんだんです。私のライヴはほぼ毎年夏に開催されているし、みんなで作り上げた幸せな空気に満ちつつも、アンコールはもう少しで終わってしまう切なさがある。そこからは歌詞もメロディーも一気に仕上げることができました。ツアータイトルに“HOME”とつけたのも、今年1月に開催した『LIVE RUNNER』を終えた時に“私の居場所、帰って来る場所はここなんだ! ライヴがホームグラウンドなんだ!”と実感したことから“HOME”という言葉が浮かんだんです。この楽曲もそのステージで改めて感じたことをそのまま書きたいと思ったので、ストレートに “HOME”とつけました。

歌詞にある《地球-そら-より熱く青い海は》は、ファンが掲げてくれるペンライトの情景ですね。

スケールがかなり大きくなってしまいましたが(笑)、私にはあの情景は地球を飛び越えて、まるで宇宙空間にいるかのように見えているんです。みなさんに会えた喜び、歌える幸せ、いつもステージで感じている気持ちをそのまま言葉にしました。《歌う-生きる-》は大袈裟に見えるかもしれませんが、この2年半の間に改めて感じた気持ちです。

水樹さんのライヴはいつもアツく燃え上がっているようなイメージですけど、ステージにいる水樹さんはこの曲のような穏やかで温かい気持ちでいるのかと思って、意外な感じもありました。

迸るようなアツさがある体育会系のライヴですけど、心の中はいつもこういう穏やかな気持ちなんです。客席にはキラキラの笑顔がいっぱいで、それを見て“幸せだ〜!”と噛み締めていて。オラオラ〜〜!と攻撃的にスパークしてますが、心の中は常に穏やかなんですよ(笑)。
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アルバム『DELIGHTED REVIVER』【初回限定盤】(CD+Blu-ray)
アルバム『DELIGHTED REVIVER』【通常盤】(CD)

OKMusic編集部

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