Nulbarichらが彩ったプレミアムな夜
 AUGER® MUSIC SESSION VOL1.

『AUGER® MUSIC SESSION VOL.1』 2022.05.17 代官山UNIT
貝印によるグルーミングツールの新ブランド・AUGER®が主催する、完全招待制イベント『AUGER® MUSIC SSION VOL.1』が代官山UNITで開催された。
出演はNulbarichTENDRE、sankaraとChilli Beans.の4組。Nulbarichのパフォーマンスを500人キャパの会場で観られることはまずない。そこにTENDREまでいて、sankaraとChilli Beans.というアップカミングなグループも。“Kiss our humanity”をコンセプトに、グルーミングツールを通じて人々に豊かな時間を提案するブランドらしい贅沢なイベントだった。
Chilli Beans.
1組目のChilli Beans.は音楽塾ヴォイス内で2019年に結成された3人組のバンドで、2021年8月に初の音源『dancingalone』をリリース。すなわちメンバーそれぞれに音楽的な基礎体力はあったにせよ、コロナ禍の煽りをもろに受け満足なライブ活動ができなかったニューカマーなのだが、そんな厳しい時代を吹き飛ばす“これぞバンドのライブ”なパフォーマンスに会場が沸いた。
Chilli Beans.
90年代のオルタナティブロックを思わせる重心の低いグルーヴをモダンなポップのフィーリングと掛け合わさった「See C Love」に始まり、スムースなR&Bの香りとパワフルなバンドサウンドが融合した「lemonade」、ロックバンドとしてディスコの真ん中を射抜いたような「Tremolo」、キャッチーなメロディーとどこかドリーミーなアンビエンスが疾走して力強さを帯びていく「シェキララ」など全8曲を披露。さまざまな年代感覚やジャンルを往来する足取りの軽さと濃厚な生演奏による、Chilli Beans.流ポップの世界を展開した。
sankara
2組目はsankara。ラッパーのTossとシンガーのRyoからなるデュオで、今回のイベントのトリを務めたNulbarichのJQがプロデュースするEPのリリースを控えている。実はsankaraの2人とJQは旧知の仲。ここにきてリリースだけでなくライブでもJQと同じ場所に立てることは特別なことだと、MCでTossが話していた気持ちを観客に向けた表現に昇華したようなパフォーマンスにフロアが揺れる。
sankara
DJ SHOTAの流すこの日のためだけのオリジナルSEで2人が登場する。そのままEPからの先行シングル「Lullaby」に繋いだあとは、「lemon Man」、「Butterfly」、「Stupid」と同じEPに収録予定でまだ公開前の新曲を惜しげもなく披露。Tossのエッジの効いた等身大のラップとRyoの優しく包容力のある歌声の絡み合いが、JQとともにさらなる進化を遂げた新たなフェーズのパワーが伝わってくる。そのパフォーマンスに大きく手を振ったり、思い思いに踊りながら答える観客。そしてラストはsankaraの曲のなかでも、もっともアッパーでダンサブルな「Eelevator」でしっかり上げて締め、2人はステージをあとにした。
TENDRE
続いてはTENDREがドラムの松浦大樹と2人だけのセットを繰り広げる。長い間TENDREのサポートドラマーを務めてきた松浦とだからこそできるセッション性の高いパフォーマンスは、この日のプレミアム感をもっとも体現していたと言っていいだろう。「チークタイム担当なので」と緩く始めながらそのディスコ的魅力を開花させていった「DOCUMENT」から、「そのまま繋ぐね」とTENDREが松浦に声をかけ「LOOPNESS」へ。自分たちの音色だけでなくオーディエンスの反応を見ながら空気に身を委ねるような演奏が優しくて美しい。

TENDRE
終盤はほんとうに緩くムーディーな時間を作ろうと思っていたところに、予想していなかった上昇気流が生まれているフロアの状況を感じ取り、「上げていくぞ」と言いつつ「LIFE」を。ダンサブルなビートを絡めながらポップなメロディを展開する原曲とは違うゆったりムードで始め、「あれ?ぜんぜん上げてねえじゃん。最初だけこうか」と松浦と顔を合わせながらビートの力を前面に出していく。そして松浦もボーカルを取り、大きな手拍子とダンスの波が巻き起こった。
Nulbarich
最後はNulbarich。まずはフロントマンのJQがドラムセットに座りメンバーともにセションを披露する。まるで彼らのスタジオのなかに入れてもらえたようなレアな親近感と、フロアの熱を上げていく牽引性を兼ね備えたパフォーマンス。そして絶妙なタイミングで初期の代表曲「Lipstick」へ。圧倒的な柔軟性とパワーで観客の盛り上がりは一気にこの日ここまでのピークに達した。
Nurbarich
続いて2019年のアルバム『Blank Envelop』から「SUPER SONIC」、2021年の最新アルバム『NEW GRAVITY』から「TOKYO」、「BREAK FREE」をバンドの歩んできた時代を駆け上がるように披露し、フロアのレスポンスは声に出すことはできずともぐんぐん上昇。次はJQが今回の会場である代官山UNITによく遊びに行っていたことや、2017年にはワンマンライブを開催したことを懐かしみながら当時へと帰るように「NEW ERA」を演奏する。初期衝動に溢れたアンセムに熱狂するフロア。そこからラストはAUGER®への感謝の気持ちともに、同ブランドのコンセプト“Kiss our humanity”をもとに制作した「STEP IT」へ。生々しくオーセンティックな側面とモダンでスタイリッシュな側面の両側から、ジャズやファンクを捉え踊れるグルーヴを練り上げたような老若男女を巻き込むパフォーマンスによって大団円を迎え、『AUGER® MUSIC SESSION VOL1.』は幕を閉じた。
Nulbarich
Chilli Beans.のフレッシュな生演奏。sankaraのJQとの関係性があったからこそのステージ。TENDREのユーモアと起点の効いた展開。それを受けてNulbarichiのセッションがより際立った部分もある。各アーティストのこの日、この瞬間のパフォーマンスが起こすシナジー。それは“Kiss our humanity”というコンセプトを掲げるAUGER®の主催だったこその現象だったのかもしれない。イベントタイトルに“VOL.1”が付いているということは、2回目もあるのか。その日を楽しみに待つとしよう。

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