バズ・ライトイヤー役の鈴木亮平 (C)エンタメOVO

バズ・ライトイヤー役の鈴木亮平 (C)エンタメOVO

「この映画の、受け入れることの強さ
、受け入れることが成長につながると
いうテーマに感動しました」鈴木亮平
 映画『バズ・ライトイヤー』【イン
タビュー】

 ピクサー・アニメーション・スタジオの代表作「トイ・ストーリー」シリーズで活躍した、おもちゃのバズのルーツが明らかになる長編アニメーション『バズ・ライトイヤー』が7月1日から公開される。バズのモデルは、スペース・レンジャーのバズ・ライトイヤーという映画の主人公。本作は、バズの持ち主のアンディが大好きだったこの映画の物語を描く。今回、バズ役の日本版声優を務めた鈴木亮平に、バズというキャラクターへの思い、映画のテーマ、吹き替えの裏話などを聞いた。
-この映画を見て、心を動かされたテーマや価値観、教えられたことなどはありましたか。
 いろいろあるんですが、一番は「受け入れること」ということですかね。バズは過去の自分の失敗も、自分が完璧なスペース・レンジャーではないということも受け入れて、そこから彼の成長が始まっていきます。そして、周りの仲間を受け入れて、信じることを学んで成長していきます。あとは、バズの時間は途中で止まってしまうので、彼が時間の経過を受け入れる話でもあると思います。時間が進む無常さも全て受け入れて、だからこそ今の人生や仲間は素晴らしいと気付くところが、この映画のテーマだと思います。僕は、この映画の、受け入れることの強さ、受け入れることが成長につながるというテーマに感動しました。
-今回、バズの声を演じてみて、改めて感じたことはありましたか。
 今回は、バズの人生の一部を切り取って描いているので、彼がなぜスペース・レンジャーになったのかは描かれていません。だから、彼が訓練していた時代も見たいと思いますし、この話の後はどうなるのかとか、奥行きが果てしない物語ですよね。
-今回は“人間のバズ”でしたが、これまでバズの声といえば、所ジョージさんのイメージがありました。今回、演じるに当たってプレッシャーは感じましたか。
 正直にいうと、プレッシャーは非常にありました。僕も、アンディと同年代で、所さんのバズで育ってきているので、「どうすれば見る人が納得してくれるのか」と考えましたが、クリス・エバンスさんが声を入れられたものを見て、方向性がはっきりと分かりました。それは、「トイ・ストーリー」シリーズのバズとは完全に違うものにする、主人公として、人間としてのバズを表現するということだと思いました。とはいえ、「さあ行くぞ!」の言い方を、場面によっては、観客が気付かないようなレベルで、コンマ何ミリか所さんに寄せて、英語版と聴き比べてみたら、ちょっとやってるなぐらいの話なんですが、そういうこだわりは入れたつもりです。最初はバズの声に違和感を抱くのは当然だと思いますが、聴いているうちに、物語を見ているうちに、「あっ、これはおもちゃのバズじゃないな」ということが分かってくるはずなので、見てくだされば、皆さんにも納得していただけると思います。
-では、実際に自分が吹き替えた映画を見た印象は?
 恐らく観客の皆さんと同じだと思いますが、最初は、「あれ、所さんのバズじゃない」と自分でも思いました(笑)。でも、「トイ・ストーリー」シリーズとは世界観が全く違って、遥かにリアルに描かれているので、気が付けば、自分がやっていることも忘れて、「バズ、渋い声だな」と思って聴いていました(笑)。
-この映画のバズは、誰にも頼らず、自分一人で全てを背負い込んでしまうところがありますが、鈴木さん自身はいかがでしょうか。
 非常に共感できますね。僕も20代の後半になるまでは、全く同じような感じでした。人から評価されたいし、頼れる人だと思われたい、しかも自分にはその価値があるというか、一人でできると思っていました。全くこの映画のバズと同じです。そこから、「何て自分は何もできないんだ」とか、「人と比べて劣っている俳優なんだ」と気が付いて。そうなったときに、人が自分のことを信用してくれるようになった感じがします。頼られたいとか、頼れるようにしなければと思っているうちは、多分、人から見ると頼りたくないんですよね。自分の弱さを受け入れた人にこそ、ほかの人も弱みを見せてくれるというか、頼ってくれるんじゃないかなという気はします。
-今回の吹き替えを通して何か得たものはありましたか。
 一番得たものは、自分がバズ・ライトイヤーを演じられるようになったという誇りです。もちろん、反省点もたくさんありますが、今回、バズの声の収録と向き合ったことで、次にもし演じられる機会があれば、バズ・ライトイヤーになれるという引き出しが一つあるというのは、すごく光栄なことだと思います。子どもの頃から見ていたあのバズになれたということは、とても大きなことでした。
-英語版でバズを演じたクリス・エバンスについては、どう思いましたか。また、アフレコの準備は何かしましたか。実際にやってみて感じたところを教えてください。
 クリスさんの演技を一通り聴いて、どういうふうにバズを捉えているのか、分析し、研究もしました。もちろん、監督のチョイスもあると思いますが、「このせりふをこういうふうに言っているのはこういう解釈か」とか。とても勉強になりました。ただ、日本語と英語の違いはすごく感じて、英語ならこのトーンで成立するけれど、日本語ではそれだと物足りないなということが多かったです。母音や子音の構造の問題もあるでしょうし、僕らは、子どもの頃から、割とデフォルメされた声優さんの話し方を聴き慣れていますが、あちらはもっとリアリティー寄りという感じがしました。なので、クリスさんと同じようなトーンで言ってみたり、ちょっとデフォルメしたり、日本のアニメっぽく言ってみたりと、いろいろと試す中で、このぐらいがちょうどいいかなというところを狙っていきました。
-最後に、映画の見どころや、アピールポイントをお願いします。
 とにかくかっこいい宇宙での戦いの中で、マシンやロボットなどもたくさん出てくるので、小さなお子さんは大満足だと思います。親の世代にとっても、子どもにどう引き継いでいくかという話でもあるので、すごく感動できると思います。大人も子どもも、どちらも感動できる映画が作れるのは、やっぱりピクサーならではだと思いました。ぜひ劇場に行って、楽しんでいただきたいと思います。あとは、(バズの相棒の猫型ロボット)ソックスがめちゃめちゃかわいいです。ソックスグッズの買い過ぎに要注意です(笑)!
(取材・文・写真/田中雄二)

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