ヴァイオリンでV系ロック! 石田泰尚
&﨑谷直人「ドス・デル・フィドル」
のふたりが語る『V CLASSIC』

石田泰尚と﨑谷直人による最強ヴァイオリンユニット「DOS DEL FIDDLES(ドス・デル・フィドル)」がビジュアル系ロックの大ヒット曲を演奏するコンサート『V CLASSIC』を行う。2022年7月22日(金)によみうりホール(東京)で、同年8月20日(土)にザ・シンフォニーホール(大阪)で開催するステージを前に、ふたりに意気込みを聞いた。
――2020年、21年とライブを行われてきました。バルトークなどのクラシックやフィドル系の楽曲などを演奏されてきましたが、今年の演奏曲目を見て驚きました。22年のステージでX JAPANLUNA SEAなどの曲を演奏されようと思ったきっかけからお話いただけますか。
﨑谷:僕も石田さんも元々、ロックが好きだったこと。それから、ドス・デル・フィドルを立ち上げた時に、「ヴァイオリンという楽器の可能性を広げたい」と思っていたので、クラシックだけではなく、ジャンルを問わず、色々な音楽をやりたいと思っていたことが理由です。
――ビジュアル系の音楽についてはどのようなイメージをお持ちでしたか。ちなみに石田さんは1973年生まれなので、ビジュアル系の中で人気があるGACKTさんと同い年でした。
石田:同い年なんだ。知らなかった。
﨑谷:いいバンドがいっぱいいるなと思っていました。バンドマン特有のカッコよさもありますよね。X JAPAN(1989年デビュー)はもちろん、清春さんの黒夢(94年デビュー)とか、今回は演奏しませんがシャ乱Q(92年デビュー)やSIAM SHADEも好きでした。ビジュアル系は、日本独特のロックの発展の仕方をしていると僕は思っていて、個人的にとてもリスペクトしています。
﨑谷直人(手前)
――﨑谷さんは1987年生まれですよね。X JAPANが旋風を起こしていた時は、まだ幼かったと思うのですが、ビジュアル系の音楽については、いつ頃知ったのでしょうか。
﨑谷:実は僕、初めてお金を出して買ったCDがシャ乱Qの「ズルい女」(95年)なんです。何歳ごろかは覚えていませんが、小学校くらいだったと思います。その世代のビジュアル系音楽は、めっちゃ聴いていた覚えがあります。
――石田さんは、ビジュアル系の音楽を(当時)聴いていた覚えや、記憶していることはありますか? メークや衣装なども独特だと思うのですが。
石田:僕はあんまり記憶がないのですが、(お笑い芸人の)ダウンタウンが好きで、(二人が司会を務めていた音楽番組)『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』にXが出演したことがあったので、そこで知ったと思います。
――X JAPANはHIDEさんが横須賀。LUNA SEAは5人全員が神奈川県出身です。お二人に縁がある神奈川から生まれたビジュアル系バンドも多いんですよ。
﨑谷:そうですよね。SUGIZOさんのご両親はクラシック奏者と聞いたことがあります。僕はSUGIZOさんのギターが好きで、ソロのアルバムもよく聴くんです。一音の伸びが全然違います。
石田:僕もSUGIZOさんがヴァイオリン演奏をするところを、YouTubeで観たことがあります。
﨑谷:SUGIZOさんに僕らのオリジナル曲を書いて欲しいと思っているので、LUNA SEAの良さをここで言っておきますね(笑)。LUNA SEAの良さは役割がはっきりしていること。ツインギターは、SUGIZOさんが歌って、INORANが下で支えて。真矢さんの歌うドラムも好きだし、RYUICHIさんのボーカルが甘くて、LUNA SEA独特のサウンドがありますよね。一番好きな曲は「Sweetest Coma Again」。アルバムだと「LUNACY」が好きでよく聴いています。
――ドス・デル・フィドルとして3年目のステージです。どのような構成になるのでしょうか。
﨑谷:前半はピアソラを中心に「ブエノスアイレスの冬」(「ブエノスアイレスの四季」より)と「リベルタンゴ」。ここではこれまでの活動を振り返るような時間にします。後半はビバルディの「四季」の協奏曲イ短調を。どちらもロックアレンジで聴かせる予定です。そしてPENICILLINの「ロマンス」、GLAYの「グロリアス」、LUNA SEAの「END OF SORROW」、X JAPANの「紅」へと展開していきます。
石田:僕はまだ演奏する全曲は聴いていないのですが、絶対いいのは間違いないと自信があります。
石田泰尚
――メイクをしたり、ヘアスタイルなど、ビジュアル面でも遊びがあるのか楽しみです。
﨑谷:そうですね。いいですね。
――石田さんは、神奈川フィルハーモニー管弦楽団での活動はもちろん、現在は2014年に結成した弦楽アンサンブル「石田組」で全国ツアーの真っ最中です。﨑谷さんは今年3月に神奈川フィルを離れられ、個人活動に力を入れておられます。おふたりはドス・デル・フィドルでのパフォーマンスはどのように位置づけておられますか。
石田:僕にとってはチャレンジの場です。普段はクラシックのフィールドにいる僕らが、ヴァイオリンのユニットを組むということもそうですし、今回は演奏する曲もクラシックではなく、ビジュアル系の音楽。クラシック寄りにもなるであろうアレンジも楽しんでいただきたいですし、ドラムなどがいない中でヴァイオリンをどう際立せていくかなど、挑戦することが多いステージになると考えています。
﨑谷:僕は「キレイな音だね」と言っていただくことが多いのですが、カルテットなどではちょっとの止めとか、カッティング要素とかも実は入れているんです。クラシックが好きな方は、キレイな部分に目がいきがちもしれないのですが、ヴァイオリンを弾く上では、歪みや濁りなど人間らしい部分もとても大切。ほかとは少し違うことをするドス・デル・フィドルでは、そういう部分にも注目をしていただきたいです。
――ステージごとに新しい側面を見せていただけることを楽しみにしています。今後の展開は。
﨑谷:いろんなジャンルに触れて、引き出しを増やして行きたいです。今回はビジュアル系ですが、海援隊や昭和歌謡などをジャジーにしてみるとか。色々な可能性があると思います。そうやって経験を積んで、将来的にはオリジナル曲だけのアルバムを作りたいですね。山中(惇史)先生にも頑張ってもらって、「晴れのちケルト」に続く曲を書いていただきたいですね。
――最後に来場される方へ、メッセージをお願いいたします。
石田:今回は全曲がロック調になるので、たぶんお客さんはびっくりするのではないでしょうか。これまでドス・デルはクラシックばかりでしたから、こういうジャンルもうちらは出来るんだぜっていうのを、見せつけたいです。よみうりホールでの公演も楽しみにしていますが、僕は大阪のお客さんが大好きなので、一緒に盛り上がりましょう!
取材・文=翡翠

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