トラウデン直美インタビュー 『ルー
トヴィヒ美術館展』ドイツから来日す
る珠玉のコレクションへの期待

『ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡—市民が創った珠玉のコレクション』が、2022年6月29日(水)から9月26日(月)まで、東京・六本木の国立新美術館にて開催される。本展では、ドイツ・ケルン市にあるルートヴィヒ美術館が所蔵するポップ・アートなどの作品が来日。同館は、世界で3本の指に入るピカソのコレクションやヨーロッパ随一の優れたポップ・アートのコレクション、写真史を網羅する質量ともに優れた写真コレクションや世界各地の現代美術の収集によって国際的にも高く評価されており、珠玉の作品を鑑賞することのできる見逃せない機会となりそうだ。

本展のオフィシャルサポーターを務めるのは、ドイツ人の父を持つモデルのトラウデン直美。ドイツから来日する傑作への期待とともに、本展の魅力、芸術への想いを語ってくれた。
アートの知識がなくても、感覚的に楽しめる展覧会になりそう
ーーナレーションの収録お疲れさまでした。いかがでしたか?
音声ガイドのお仕事をさせていただくのが初めてだったので、どのように読んだらいいのかおうちでもイメージを膨らませていたんですけど、見ている方の邪魔にならないように、音声ガイドに意識をとられすぎないようにできたらいいなと、意識しながら読ませていただきました。最初と最後には、ドイツ語の挨拶も披露しています。うまくできたかな〜?(笑)
ーー本展への期待のほどはいかがでしょう? 楽しみにしている作品があれば教えてください。
ピカソなど皆さんが知っているような有名なアーティストの作品もあるので、そういった目玉作品はもちろん楽しみにしていますし、近現代のアートもじっくり鑑賞したいですね。事前に資料を見せていただいたのですが、見ただけでは何を描いているのかわからない作品、これはなんだ? と不思議な感覚になるような作品も多く展示されるようなので、それは実際に鑑賞するのを楽しみにしています。
音声ガイドで読ませていただいた《天使の5つの翼》という作品に「光のレリーフ」という一節があったのですが、これは資料の写真を見るだけではなく、実際に本物を見たほうが感じるものがありそう。もちろん全ての作品がそうでしょうけど、やはり実物を鑑賞したいですね。
ーー現代アートというと、見てもわからないもの、難しそうだなと思う人も多いです。アートに詳しくない方でも本展を楽しむことはできるのでしょうか……?
できると思います。私も全くアートは詳しくないんですけど、ただ「なんか好きかも」みたいな感覚ってあるじゃないですか。特に今の若い人たちってこの感情を大事にされる方が多いと思うので、展示作品のうちのひとつには「なんか好きかも」って感じる作品があるんじゃないかな。あと、抽象的なものであればあるほど説明のつかない「なんか好きかも」を感じると思うので、そういう意味では私みたいな素人でも感覚的に楽しめる作品がすごく多いなと、資料からも感じます。
ちなみに、私の「なんか好きかも」は……これ! 《正方形へのオマージュ:緑の香》ですね。緑の正方形が並んでいるだけなんですけど、感覚的になんか好き、です(笑)。
ーー音声ガイドのうち、ここは聴いてほしいと思うオススメポイントはありますか?
私が好きだと感じた《天使の5つの翼》は、見てみたいと思っている感情がもしかしたらにじみ出ているかもしれません(笑)。ここはぜひ聴いてほしいです。なるべく声のトーンを変えずに読んだつもりではあるんですけど、気持ちが入っているかも……!
それから、歴史を背景に描いている作品も多く、その歴史を説明するパートは私自身も「へえ〜!」と感心しながら読ませていただいたので、歴史が好きな方はこのあたりも面白いのではと思います。
芸術・アートの魅力は「自由さ、想い」
ーールートヴィヒ美術館はドイツにあり、トラウデンさんのお父様の故郷でもあります。現地に行かれたことは?
これがですね〜、2歳の頃に行ったらしいんですけど、ちょっと覚えていなくて(苦笑)。残念です……。実は今年、おじいちゃんが95歳の誕生日を迎えるので、夏におじいちゃんに会いに行く予定なんです。今年こそドイツに行こうと両親と話していて、そうなったらルートヴィヒ美術館にも絶対行こうねと言っているので、今年の夏にしっかり目に焼き付けてきます!
ーールートヴィヒ美術館は近代的な建物ですが、そのすぐ近くには世界遺産でもあるケルン大聖堂もあり、新旧の対比も美しい場所ですよね。
すごく勝手な印象なんですけど、ケルン市は、私が生まれ育った京都と近いものを感じます。伝統的な昔からのものを受け継ぎながらも、革新的で新しいものもたくさんあるところが共通しているようで、“ふるさと” を感じます。確か、ケルンと京都って姉妹都市だったんじゃないかな? 新旧が共存しているのが面白いですし、ワクワクもしますし、どちらも否定しない感じがすごく素敵だなと。古きものを守りながらも新しいものを受け入れることはすごく大事なことだと思います。
ーートラウデンさんが思う「芸術・アートの魅力」とは?
本当に素人目線で私なりの考えですけど「自由さ、想い」という部分なのかなと思います。アートって禁止がないというか……。ナチスの時代に退廃芸術だと言われたり、第一次・第二次世界大戦を経験しているアーティストもいたりなど、いろんな時代を経てはいるけど、自分が感じていることを表現できる場所なんだと思います。思想警察みたいなものがいて捕まってしまうような時代背景のなかでも、伝えていける手段であり、それに心に動かされる人がいたし、守りたいと思う人がいる。そういった意味では、自由であるべき場所ですし、実際に自由な場所だったのだろうとすごく感じますね。
それと「想い」という部分では、言葉にしてはいけないような空気のなかでも想いをのせて伝えられるもの、言葉にできない想いも表現できるもの……かなと思います。そのうえ、言語をも超えるじゃないですか。人間の共通言語がアートなのかなぁと思ったりもします。鑑賞者は作者と全然違う文化で育って、作家の想いとは違った見え方、捉え方をするかもしれないですけど、それをも肯定してくれる。そういう寛容さとか、壁や境界がない素晴らしさがアートの魅力じゃないかなと素人ながらに感じています。
ーー本展タイトル『〜珠玉のコレクション』にちなんで、トラウデンさんがコレクションしているものがあれば教えてください。
コレクションしたないな〜と思っているのは “お皿” です! 私、ご飯がとにかく好きで(笑)。食べることが好きで、作るのも結構好きなんですよ。で、料理をするとやっぱりお皿って重要だなってすごく思うので、最近お皿を集めはじめました。実は、おばあちゃんの家をリフォームすることになって、家の中を整理したんです。そしたら素敵なお皿とか小鉢とかが出てきて。「おばあちゃん、これちょうだい〜!」って貰ってきました(笑)。お皿も大事に使えば長く使えるものだし、受け継いでいけるものじゃないですか。そういう魅力もあって、お皿をコレクションしたいと思っています。
ーー最後に、本展を楽しみにしている方へ、メッセージをお願いします。
本展はカラフルな作品も多く、絵画だけではなく写真も展示されるので、私のような素人でも飽きずに楽しく見て回れる、「目にうれしい」展覧会になると思います。音声ガイドを聴いていただけると、市民コレクターの方々の想いを受け取りながら鑑賞できて、より一層楽しめるんじゃないかなと思います。皆さんもぜひ、自分なりの「なんか好き」を見つけて帰ってください。
『ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡—市民が創った珠玉のコレクション』は、2022年6月29日(水)から9月26日(月)まで、国立新美術館にて開催。トラウデン直美による音声ガイドの料金は、会場レンタル版がおひとり様1台600円(税込)。

取材・文=SPICE編集部 撮影=大橋祐希

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