ツユ「いつかオトナになれるといいね。」歌詞の意味を考察!「オトナ」になるのは危険かも?

ツユ「いつかオトナになれるといいね。」歌詞の意味を考察!「オトナ」になるのは危険かも?

ツユ「いつかオトナになれるといいね
。」歌詞の意味を考察!「オトナ」に
なるのは危険かも?

「大人」像に迫るツユの人気曲を解釈

2019年6月12日に結成された音楽ユニット・ツユ。
作詞作曲/ギター・ぷす、ボーカル・礼衣、ピアノ・miro の3人からなる今注目のアーティストグループです。
代表曲には『くらべられっ子』や『あの世行きのバスに乗ってさらば。』『泥の分際で私だけの大切を奪おうだなんて』などがあります。
そんなツユが2022年5月25日、デジタルシングル『いつかオトナになれるといいね。』をリリース。
▲ツユ-いつかオトナになれるといいね。【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
同日に公開されたMVの再生回数はわずか5日で100万回超え。
勢いは止まらず、さらに3週間ほどで300万回再生を突破しました。
そんな人気曲『いつかオトナになれるといいね。』は、ポップな世界観ながら「大人とはどういう状態のことなのか」という深いテーマを含んでいるようです。
歌詞を読み解くことで、一体どのような「大人」像が浮かび上がってくるのでしょうか。
盲信女子を哀れむ主人公
『いつかオトナになれるといいね。』は、「推しぴ(=人に薦めたいほど応援しているアイドルや俳優・キャラクター)」を盲信する女子の視点と、それを冷めた目で見る主人公の視点で展開される楽曲です。
ここからは便宜上、前者を「盲信女子」、後者を「主人公」として考察を進めます。
まずは歌い出しです。
冒頭から「盲目!信者!」とあおりながら軽快なサビが始まります。
いつかオトナになれるといいね。 歌詞 「ツユ」
https://utaten.com/lyric/ac22042815
どうやら盲信女子の推しぴは、何らかのスキャンダルを押さえられたようです。
証拠写真が上がっていながら、「彼がそんなことするわけない!」「この写真は別人でしょ?」と現実から目を背けている様子の盲信女子。
そんな人たちを哀れみ、小馬鹿にする主人公は「いつかオトナになれるといいね。」と言い放ちます。
きっと主人公から見た盲信女子は、キラキラした言葉とアイコン写真に洗脳された「かわいそうな人」なのでしょう。
続く1番では、そんな盲信女子の過去(推しができた頃)が描写されているようです。
いつかオトナになれるといいね。 歌詞 「ツユ」
https://utaten.com/lyric/ac22042815
スマホを手に入れ、「情報弱者(=情報の真偽の判断力に乏しい人)」のまま推しができたらしい盲信女子。
あらゆるメディアに参入し、その推しに尽くすことを決めたようです。
「あなたの言葉で脳がとろけそう」や「好きだよ 他の誰よりも」からは盲信女子のメロメロ感がよく伝わってきます。
さらに推しぴのSNSは毎日チェックし、遠くで開催されるライブにも頑張って足を運ぶつもりのようです。
そんな盲信女子にあきれるように、主人公から一言。
「はい、おしまい」
いつかオトナになれるといいね。 歌詞 「ツユ」
https://utaten.com/lyric/ac22042815
時間は現在に戻ります。
すっかり推しぴに夢中になっている盲信女子は彼のスキャンダルを受け入れられません。
「こんな酷いことしないよ」や「この女 虚言だね!」から、どうやら推しぴは女性問題のスキャンダルで話題になっているようですね。
主人公目線では単なる最低男の「ペラペラな言葉」でも、盲信女子にとっては「脳がとろけるような癒しの言葉」。
すでにメロメロな盲信女子は「女の方が嘘をついているんだ!」と、推しぴのスキャンダル相手に敵意むき出しです。
思い込みで他人を攻撃する救いようのない「害悪行為」の始まり。
それを冷めた目で見る主人公は言います。
「いつかオトナになれるといいね。」
盲信女子の抵抗、闇落ちする主人公
ここからは2番以降の歌詞を見ていきます。
AメロとBメロでは盲信女子の抵抗が描かれているようです。
いつかオトナになれるといいね。 歌詞 「ツユ」
https://utaten.com/lyric/ac22042815
「これくらいで騒ぎすぎ」やら「スキャンダルが事実でも降板はしない」やら、すっかり開き直っている様子の盲信女子。
それでも残る不安をかき消すように、推しぴを援護する投稿を拡散させようとしています。
そして何より本人の口から「事実無根です」と聞きたいようですね。
そんな盲信女子のもとに届いた朗報「トレンド入り」。
ネット上で推しぴ関連の話題が盛り上がりを見せたらしく、盲信女子は「仲間たちとの抵抗運動が報われた」と安心した様子。
しかし、主人公の「はい、頭お花畑おつー」から察するに、トレンド入りは盲信女子たちの戦いの成果とは無関係だったと思われます。
そして、トレンド入りの真相は次のサビに。
いつかオトナになれるといいね。 歌詞 「ツユ」
https://utaten.com/lyric/ac22042815
抵抗も虚しく、推しぴ本人がスキャンダルを事実と認めました。
そして活動休止にもなったみたいです。
それでも「まだ信じてるからね?」と執念を見せる盲信女子。
変わらず冷めた目で見る主人公。
「推しも所詮は人だから 君も所詮は人だから」過ちを犯すのも仕方のないことでしょう。
そんな彼ら彼女らに「いつかオトナになれるといいね。」と主人公はお決まりのフレーズを言い放ちます。
そして最後の歌詞です。
いつかオトナになれるといいね。 歌詞 「ツユ」
https://utaten.com/lyric/ac22042815
MVでは、これまで盲信女子を馬鹿にしていた主人公自身が盲信女子へと変貌します。
もしかしたら主人公は、最初から「キラキラした人ではなく弱っている人を応援したくなるタイプの盲信女子」だったのかもしれません。
注目すべきは「ところで大人ってどういう状態のことをいうの?」の「大人」。
主人公の決め台詞である「いつかオトナになれるといいね。」ではカタカナの「オトナ」でした。どこか得体の知れない生き物のような印象を受けます。
ここから読み取れるのは、一見すると真っ当なツッコミを入れていた主人公さえ「大人」を知らなかったということ。
きっと主人公は、自分と似た人間の悪いところをあざ笑い、自分が優位に立つことで「オトナ」になれる(=大人になった気になれる)幼稚な精神の持ち主だったのでしょう。
そして見下していた盲信女子と同じ「情報弱者」のまま、自分が陶酔できる対象を見つけてしまったようですね。
一人として「大人」が登場することなく、曲は「バッドエンド」で終わりました。
結局のところ「大人」とは?
今回はツユ『いつかオトナになれるといいね。』の歌詞を考察しました。
主人公と盲信女子のコミカルな掛け合い、「大人」に見えた主人公さえ闇落ちする急展開など、ポップながら毒っ気のある風刺的な楽曲でしたね。
最後に、この歌から分かる「大人」像について考えてみましょう。
主人公と盲信女子の共通点は「情報弱者であること」と「全財産をつぎ込む盲信っぷり」でした。
これらを踏まえると、「大人」というのは「情報リテラシーのある、過度に他人に依存しない自立した精神の持ち主」だといえるかもしれません。
あなたも私も、大人を装った「オトナ」ではなく、名実ともに「大人になれるといいね」。

アーティスト

UtaTen

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