Editor's Talk Session

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【Editor's Talk Session】
今月のテーマ:
面白いと思うものに光を当てる
新レーベル“highlight”

新しいレーベルとして
素晴らしいアーティストを迎えられた

千々和
以前はライヴ会場の物販で出していた自主制作のCDが最初の作品というアーティストが多かったと思いますが、今は配信リリースが先のアーティストがかなり多いですよね。昨今の新人発掘でも何か変化を感じることはありますか?
今井
特にメジャーレーベルが顕著だと思うんですけど、まずTikTokで探すっていうのはどこもやっていることだと思います。うちはまだ頑張りきれていないところではあるんですけど、やっぱりSNSで知ことが一番多いです。peanut buttersはどんなきっかけで知ったんでしたっけ?
たまこ
peanut buttersは紹介がきっかけではあるんですけど、ライヴはまだ一回もやっていなくて、配信シングルが一作リリースされている状態でした。その時にUK.PROJECTで定期的にやっていた新人発掘的なイベント『UNKNOWN SPICE DAY』に出てもらいたいというお誘いをして、ライヴのためにメンバーを集めてくれたという流れでしたね。
千々和
peanut buttersはコンポーザーのニシハラさんのソロプロジェクトですが、どんなところに魅力を感じましたか?
オガチョ
一番初めに自分が聴いた音源は、ニシハラが宅録で制作したものでした。一辺倒なリズムの上に乗っているメロディーだったり、ギターのリフだったりがすごく心地良く自然体に聴こえて。かつ、しっかりと頭の中ではメロディーが残っていたんです。最初の音源ではニシハラが自分の声のピッチを上げて女性ヴォーカルっぽく表現しているのも面白くて、初めに聴いた時は女性だと思っていたんですけど、実際に会ってみたら男性だったので驚きました(笑)。歌詞はすごくネガティブで日常の負の部分をストレートに歌っているけど、楽曲はポップっていうギャップにもやられました。
たまこ
私はThe Drumsが好きなんですけど、peanut buttersもThe Drumsが大好きで、曲を聴いた時に“これは私の好きなやつじゃん!”と思いました。音作りやメロディーの良さにもThe Drumsを感じます。
千々和
ルーツにはThe Drumsをはじめ、Red Hot Chili Peppers、Weezer やThe Beach Boys、筒美京平さんが手がけたものを中心とした歌謡曲も好きだそうで、まだ特徴が掴み切れないところも魅力に感じます。
今井
プレイリストを作ってもらったら海外のレジェンドアーティストから日本のあまり知られていないアーティストが入っていたりと雑多なんですよね。音楽性は洋楽のインディーロックが背骨にあると思うんですけど、ニシハラくんの琴線に触れる音楽はひと括りにできない何かがあって独特のセンスが感じられるので、僕らはそういう部分にも惹かれているんだと思います。激烈ポップなメロディーととんでもなく暗い歌詞というのも、誰も持っていない組み合わせ方だと思いましたね。歌詞には嘘がないというか、ただ暗いだけじゃないので、自分がその状況になくても胸を打たれるものがあります。
千々和
highlightの第一弾アーティストとして選んだ理由は何だったのでしょう?
今井
第一弾としてこれ以上ぴったりなアーティストはいないと思いました。楽曲の良さもそうですが、彼がヴォーカルとしてやっているものではなく、あくまでニシハラくんが中心になってサポートの人たちと一緒にやってもらうというかたちをとっているので、彼自身がどんな人なのかをフィーチャーしているわけではないんですよね。アーティスト写真もイラストで表現していますけど、俺が俺がって感じじゃないのも新鮮でした。そこも含めて、新しいレーベルとして素晴らしいアーティストを迎えられたと思っています。
千々和
もうひと組のLAYRUS LOOPさんはどんな流れで出会ったのでしょうか?
今井
LAYRUS LOOPは京都MOJOからの紹介がきっかけでした。MOJOのスタッフの方はよくお勧めのバンドの情報をくれて、複数のバンドのライヴ映像を送ってくれた中にいたのがLAYRUS LOOPだったんです。highlightのスタッフが“すごくいい!”っていうので社内のチャットで話題に出て、僕も魅力を感じたので、MOJOでのライヴを観に行きました。
千々和
どんなところに魅力を感じましたか?
今井
3ピースバンドなのはスタンダードだと思うんですけど、女性ヴォーカルであることはUK.PROJECTからのリリースアーティストとしてはかなり珍しいんですよ。なおかつ、ライヴハウス界隈だけじゃなくて、ポップスを聴いている人にも届くポピュラリティーがあるんじゃないかと思って、そこのポテンシャルに魅力を感じています。
たまこ
声がすごく魅力的で、どこか椎名林檎さんを彷彿させるのもいいなと。楽曲もキャッチーだし、すごい才能だと思いました。
オガチョ
昨年初めてライヴを観させていただいたんですけど、3人ともすごく明るくて、周りの人が応援したくなる感じが魅力的だと思いました。
今井
ダイヤの原石なので、もっとブーストさせるには彼女たちにとっての音楽の家庭教師みたいな存在がいるとより成長するんじゃないかと思ったので、EP『ポップコーン』(2022年5月発表)は僕自身も尊敬している真部脩一さん(ex-相対性理論/集団行動)にお声がけをして、全曲のプロデュースをしていただきました。これからリリースする楽曲も真部さんと一緒に制作を進めています。

とにかくアーティストには
やりたいことをやってほしい

千々和
highlightはアーティストの個性が豊かな上に、スタッフの方それぞれの思考も活かされていくレーベルに感じましたが、最後にA&Rで個人的に大事にしていることを挙げると?
オガチョ
peanut buttersにかかわって何だかんだ2年が経ち、1stアルバム『peanut butters』(2021年9月発表)を区切りにして、今年からは新しいヴォーカルを迎えて新体制で動いているんですけど、彼からは思いもよらぬ発想が頻繁に出てくるので、こちらで軌道修正できるところはしつつも、アーティストの意向を常に基軸に置いてサポートしていきたいと思っています。
今井
完全に新しい音楽というのはなかなかあり得ないと思うんですけど、何かと何かの組み合わせで思わぬフレッシュなものができたり、ハッとさせられる要素が感じられた時に人の心が動くと思っているんですよ。最初の話に戻っちゃいますが、音楽以外のことにも興味があって、いろんなものに魅力を感じる楽しさを大切にしています。
たまこ
とにかくアーティストにはやりたいことをやってほしいと思っています。こっちから“こうしてほしい”とかではなく、やりたいことを全力でやってもらう中でコミュニケーションをとって、“もっとこうなるんじゃない?”と少しだけスパイスを加えることができる存在になりたいというのがあります。そういうサポートの仕方をしながら、やりたいことを長くやり続ける環境を作りたいと思っています。
highlight

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OKMusic編集部

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