+α/あるふぁきゅん。

+α/あるふぁきゅん。

【+α/あるふぁきゅん。
インタビュー】
最後には必ず
“やっぱり生きていたい”
というマインドで歌っていた

どのアーティストにもその人にとってエポックメイキングと言える作品が存在するものだが、+α/あるふぁきゅん。にとって今回のコンセプトアルバム『#わたし以外、全員、幸せそうに見える。』は、まさしくそういう作品だと言っていいだろう。シンガーとしての矜持、クリエイターとしても覚悟を持って時代と対峙する己の姿をドキュメンタリーさながらに、見事に音源に閉じ込めている。

生きていたくない人に
“頑張って生きろよ!”は意味がない

今作は過去に投稿した“歌ってみた音源”と、それをリアレンジしたもの、そしてオリジナル曲で構成されています。歌詞のテーマは一貫性があって、まさしく“+α/あるふぁきゅん。から見る世界”というコンセプトを掲げたアルバムとなっていますが、どうしてこうした作品を制作しようと考えたのか、まずそこをストレートにおうかがいしたいと思います。

その辺を歩いている人も、私と仲が良い人も、誰だって絶対に他人に話していない闇の部分ってあるんですよね。私はそれを選曲とか歌詞とかで曝け出しているので、これを聴いた人は“あっ、もっと自分を出していいのかな?”と思うのかなとか、“私はこういう感じで、私から見える世界ってこんな感じだけど、あんたたちにもそう見えているんじゃないの?”という気持ちがあります(笑)。自分が今、生きていて一番腑に落ちなくて、許せなくて、モヤモヤしている部分を表したアルバムですね。

モヤモヤしている部分を出してしまいたかった?

そうです。“私にはこういう過去があって、こういうことがあってさ〜”って長々と話す気はまったくないけど、アルバムとして出すことによって、私が見えている世の中や意識の共有ができると思って。その共有をすることによって、聴いてくれる人の心が“だよね? だったら私ももっと言っていいんだ!”ってなるかもしれないという部分はすごくありましたね。

そう思うに至るきっかけは何かあったんですか?

そうですね。地獄のもっと下の下の奈落までズドンと突き落とされた上に、砂をかけられて、顔を踏まれたみたいな感覚になったことがあって(苦笑)。だから、誰の気持ちも分かっちゃうんです。このアルバムって気持ちの共有でもあるし、“大丈夫ですか?”ってちょっと背中をさすってあげているようなアルバムにもなっていると思います。すごい簡単に言うと、私から見える世界そのもので、もっと分かりやすく言うと、痛みとか苦しみ、悲しみ、“何が愛なのか?”とか、そういった人々が持っている感情を私なりに表したアルバムなんですよね。それを統一して“+α/あるふぁきゅん。から見る世界”という言い方をしているんですけど。

これは個人的な感想になるかもしれませんが、今作は前向きでアグレッシブなアルバムだととらえました。

そうですねぇ…私から見える世界はすごく汚いですし、愛情といったものもフワッとしたもので、“愛って何なんだろう? 良いものものなのか、悪いものなのか…”みたいな感じなんですけど、これだけは揺るがないというものが、“死にたいけど、生きていたい”ということで。だから、最後に必ず救いの言葉を入れたり、“すごいしんどいことを言ってるけど、この歌を歌っている人は大丈夫そうだな。この先も生きていそう”と思うような主人公が歌っているんです。最後には必ず“やっぱり生きていたい”“生きていたほうがそりゃぁいいよね”というマインドで歌っていました。

今、申し上げました本作の前向きさ、アグレッシブさというのは2種類に分類されると思っていて。ひとつは“行動を促す”ようなタイプで、これは「恍惚に病む。(feat. たかやん)」などに代表されているように思います。この辺は先ほどおっしゃられた、“だったら私ももっと言っていいんだ!”という気持ちを促すものかと。

「恍惚に病む。」は“嘘”がテーマなんですけど、嘘って嫌だし、許せないけど、“あまりにも心が不健康すぎると嘘を信じたくもなるよね?”とシンプルに歌っていて。歌詞の主人公は“嘘を信じてこのまま生きていていいのかな?”と悩んでいるんですが、たぶんこの人は生きたいんですよね。しんどい人や生きていたくない人に“頑張って生きろよ!”と言っても1ミリも意味がないんで。たまに根性論みたいに、あえてキツいことを言うような風潮がありますけど、私はそれを見ていて“それで死んでしまったらどうするの?”と思うんですよ。なので、そういう“大丈夫だよ”“頑張れよ”ってことは絶対に言いたくないという信念があって。

“前向きな行動を促す”と言っても、それをストレートに伝えるのは違うということですね。

はい。“私はこう思うけど、あなたはどう?”という時に出た答えが“生きたい”だったら生きればいいし、それは受け取り手の自由と言えば自由ですよね。“あぁ、私もそう思う”って共感でもいいし。

確かに“それでいいの?”といったようなニュアンスのほうが強いですよね。無理に背中を押すのではなく、“自分で考えなさい”という。そうしたテーマは「敗北の少年」や「限りなく灰色へ」にも通底していると思ったのですが、だからこその選曲だったのでしょうね。

…そこはですね、「恍惚に病む。」という楽曲があったから選んだというよりは、“#わたし以外、全員、幸せそうに見える。”というアルバムタイトルがもうテーマですから、その言葉に沿ったら一本筋が通っちゃったって感じなんですよね(笑)。アルバムタイトルを決めたら選曲はめちゃ楽でした。

私はいわゆるボカロや“歌ってみた”には詳しくないのですが、本作に収録されている楽曲は、ボカロや“歌ってみた”界隈の方々にとってはスタンダードナンバーなんでしょうか?

ディレクターさんと一緒に選曲してるんですけど、“なるべく新しい曲を”とか“流行っている曲を”ってやらなくても、私も心に嘘をつかない選曲をしたらこの曲になっちゃったという。それがたまたま新しめの曲や流行っている曲が多かっただけですね。私が歌う時に絶対に譲れないものって“嘘をつかない”ってことで、歌詞は私の口から出るものだから、嘘を歌っても気持ちが乗らないし、嘘をつかない選曲をしているので、今言われた“この曲が通じている”というお話も、今の若い人たちに耳馴染みがあるというお話も、本当にたまたまだと思うんですよ。私は感情的に選んでいるので。

“コンセプトアルバムだからこういう楽曲を選ばなきゃいけないはず”といった作為はなかったということですね。

そうですね。理論的に考えて練り練りしたというよりは、アルバムタイトルを一生懸命に考えて(笑)、“このタイトルなんだから収録曲はこれだ!”という感じで。タイトルに嘘がない選曲をしたという感じです。

まず“聴いてくれる人と共有する”という前提があって、それを考えた上で制作し、選曲したものがこれらであるという。

私は自分の心と会話をして、こういう歌詞が出てきたので、聴いてくれる人にも“自分自身とちゃんと話してみれば?”という気持ちはありますね。
+α/あるふぁきゅん。
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アルバム『#わたし以外、全員、幸せそうに見える。』【初回限定盤】 (2CD)
アルバム『#わたし以外、全員、幸せそうに見える。』【通常盤】(CD)

OKMusic編集部

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