月曜から野外フェス、『BOB ROCK FE
STIVAL 2022』の開放感あふれるライ
ブでハッピーマンデー

『BOB ROCK FESTIVAL 2022』2022.5.23(MON)大阪・服部緑地野外音楽堂
「土日は休みづらい。でもフェスに行きたい!」そんな週末に仕事を頑張る音楽好きのため、平日の月曜・5月23日(月)に大阪・服部緑地野外音楽堂で開催された、野外音楽フェス『BOB ROCK FESTIVAL 2022』。ヘアサロンの経営支援などを行う大手美容ディーラー「ガモウ関西」が主催するイベントで、今回で3年ぶり2回目の開催となる。
『BOB ROCK FESTIVAL 2022』
週末の多くの人が休みの時ほど忙しい、美容師さんのような週末お仕事の人たちのために、月曜日に開催するという心意気、それは「美容師早割」というチケットが用意されていたところからも感じられた。実際、この日訪れた観客の多くが美容師さん。月曜日のお昼から、お酒を片手にグッドミュージックに身を委ねて踊る、晴れ晴れとした表情で野音がいっぱいに。日本中のどこよりも、月曜日から盛り上がっていたといえる(いいたくなるほど)アツいステージを繰り広げたライブ模様をレポートしよう。
CHAI
この日のトップバッターは、CHAI。お揃いのエキゾチックな衣装に身を包み、フードを深く被ったまま整列してダンス。観客の心をグッと引きつけ「NO MORE CAKE」でライブをスタート。次々と曲を畳み掛けていく中で登場時の衣装を脱ぎすてると、ピンクのドレスに変身。キュートな装いやダンスとは裏腹に、ユウキ(Ba)、 カナ(Vo.Gt)、マナ(Vo.Key)、ユナ(Dr)の4人がなりふり構わず楽器を鳴らせばゴリゴリの分厚い音が押し寄せる、ギャップに全身がもっていかれる。観客も自由に踊り手を挙げる。フロアのテンションがぐんぐんと高まっていく、のっけからアツい展開に。
MCでは、月曜日に野外イベントが開催されたことに触れ、CHAIが月曜に野外出演することが初めてかもしれないと振り返る。そのまま、「月曜日は、週の始まりで気持ちが重かったりするかもしれないけれど、スタートの時だからこそ自分の個性もぜんぶ認めていけたら」という想いを込めて「まるごと」、そのまま「sayonara complex」と自分らしく、ありのままに生きていく人たちの背中を押す楽曲を立て続けに披露。ラストの「N.E.O」にいたるまで、世界中を魅了しているCHAIのポジティブなエネルギーで心満たされるステージだった。
CHAI
空音
続いて颯爽とステージに登場した空音は、「Mr.mind」で幕を開ける。BASIとの「月ひとつ」でメロウに、そして「T.O.P」を披露。ステージを縦横無尽に渡り歩きながらリリックを畳み掛ける。「おばあちゃんが美容師だったから、すごく縁を感じる」というエピソードを明かし今度は「all done」へ。「『BOB ROCK』、お前らの怒りも今日は俺が歌うぜ!」と口火を切って「B RAGE」でアグレッシブに。「バンドもいない、DJがふたりいるわけでもない。1MC、1DJが一番かっこいいと思うんで」とフェス出演への喜びと実感を語り、次の曲「planet tree」では、野外にピッタリな浮遊感ただよう展開に。
空音
大ヒット曲「Hug」で会場のテンションが更に高まり、MCでは月曜がお休みの美容師さんたちに向けたイベントで、多くのひとが集まったことに触れ、「みんなカルチャーに愛を持ってるんやろなと、パワーをもらってます。生きがいとして、天職として音楽を選んでライフワークとしてやっている。俺はこんな感じやけど、みんなはどんな感じ?という曲を作りました」と、「Life Work」を披露。「相棒」「拝啓」へと続き、より曲に込められたメッセージ性に胸を打たれたラスト。体ひとつで聴く人の心を突き動かし、フロアにハンズアップの波を起こし堂々たる存在感を見せつけステージを後にした。
空音

chelmico

リハーサルからひときわ盛り上がっていたのは、chelmico。暑い野外にピッタリな「Player」ではタオル振り回して一体感を生み出し、さっそく6月1日(水)にリリースされたニューアルバムから「O・La」も披露。初めましての人でも楽しめるように丁寧に振り付けを説明して、一緒にステージを作りあげていく。
chelmico
途中で靴が脱げてしまったり、曲の最後にはお笑いが好きすぎるあまりダイアンの「ゴイゴイスー」なポーズを決めたり、RachelとMamikoの自由な抜け感がちょうどいい。「今日、メンツ最高じゃない?」と豪華なラインナップに触れつつ、汗を拭って水を飲みながら、Mamikoが大阪のラジオを聴きまくっているという話から、マユリカや黒帯というツウなコンビ名が上がりポカンとする人と喋りたくてウズウズしている人で会場が不思議なムードになったりする、オフトーンでマイペースなMCもまたしかり。靴紐がすぐにほどけるので、ほどけにくい結び方を2人で教え合う場面も。曲が始まるとノリノリに楽しい、けど力が入りすぎていないラフな心地よさと胸の高鳴り。ほかにはない、chelmicoにしかつくりえないステージにみんな首ったけ。それこそ深夜ラジオのような、ずっと聴いていたい、見ていたい時間だった。
chelmico
yonawo
涼しくなった夕方にピッタリなナンバーで、心地よく踊らせてくれたのは福岡発のyonawo。「浪漫」からライブが始まり、日中の暑さで火照った体を労うかのように優しく風が吹き抜ける。荒谷翔大(Vo)が「陽も落ちてきてちょうどいい感じですね。ゆっくり楽しんでいってください」と声をかけ、「トキメキ」「ミルクチョコ」とミディアムなナンバーを鳴らし、観客も身を委ねて揺れる。
yonawo
chelmicoと同じく、『BOB ROCK FESTIVAL』は2回目の出演となるyonawo。「この感じ、久々やな」と懐かしみながら、「ここ好きなんよね」緑豊かな服部緑地野音のロケーションのよさにしばし黄昏れるメンバー。たしかに、大阪の都心から電車で20分とかからない好立地でいて、緑も豊かで独特の静けさと木々のざわめきや鳥の声が聴こえる自然の中にいるような会場であるため、より音楽への没入感が味わえる。そんな、この会場ならではのライブ感を再確認させてくれた美しい黄昏時。ゆったりと、しかしジリジリと熱を高めていくようにグルーヴを高めていきながら鳴らされた「苺」、そして「矜羯羅がる」「天神」と続く終盤の気持ちよさはロケーションも相まって格別の音楽体験となった。
yonawo
TENDRE
この日のトリを飾ったのは、TENDRE。ドラム、キーボード、コーラスにサックスを迎えての編成で登場。「LIFE」でライブをスタートし「DRAMA」と続けて、ムーディーに会場全体を包み込み、音と歌でひとりひとりの想いを紡いでいくように鳴らし歌われる。昼と夜のはざまで披露された「Night & Day」からの「DOCUMENT」には、フロアからも感嘆のクラップが鳴り響く。
TENDRE
この日、1日を通してほぐれた笑顔が会場いっぱいに。リズムに合わせて踊り、手を振ったり肩を寄せあったり、思い思いに楽しむ観客の姿を見て、思わず「泣いちゃいそう」と声を漏らしたTENDRE。「気候も相まって、めちゃくちゃ最高なフェス。これからも楽しんでいきましょう」と、残された時間を惜しむことなく、最後まで思う存分に楽しむんだという想いがヒシヒシと伝わってくる「HOPE」から「hanashi」へと続く、誠実なエンディング。そして、ラストの「RIDE」で多幸感もマックスに。心を解放させてくれ、明日からも気持ちよく駆け抜けていけると確信させてくれるような、音楽で背中を押してくれるような優しさと力強さに満ちたステージで送り出してくれた。
TENDRE
終演後も拍手が鳴り止まなかった『BOB ROCK FESTIVAL 2022』。一般的に月曜日は週の働き始めにあたり、「ブルーマンデー」なんていう言葉もあるぐらいだが、この日はだれがなんと言おうと「ハッピーマンデー」だった。また月曜から音楽と共にハッピーに過ごせる1日がやってくることを心待ちにしたい。
『BOB ROCK FESTIVAL 2022』
取材・文=大西健斗 写真=オフィシャル提供

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