L→R ゆーまお(Dr)、シノダ(Vo&Gu)、イガラシ(Ba)

L→R ゆーまお(Dr)、シノダ(Vo&Gu)、イガラシ(Ba)

【ヒトリエ インタビュー】
ヒトリエは絶対にもっと
いろいろな音楽が作れるはず

新章を思わせるアルバム『PHARMACY』が完成! 3人体制になってから初めてのアルバムとなった『REAMP』(2021年2月発表)から1年4カ月、同作のリリースツアーを経て、バンドとしての活動がついに再度軌道に乗り始めた。

不安だった部分が
だいぶほどけたかもしれない

『PHARMACY』は音楽としてはもちろん、3人が作品に込めた想いや前作『REAMP』からのバンドのストーリーというか、ドラマというか…それは僕の勝手な想像かもしれないのですが、そこにもグッときて、それも含めて聴き応えがありました。きっとかなりの自信作ではないかと思うのですが、まずは手応えから聞かせてください。

ゆーまお
今までよりポップなアルバムができたと思います。あと、一曲単位ではなく、アルバムとして通して聴ける作品になったというのと、ちょっと大人になった印象もありますね。
シノダ
『REAMP』は3人になってしまってこれからどうしたらいいのかというところからのスタートだったので、とにかく必死だったんですよ。『REAMP』が作れて、「3分29秒」(2021年6月発表のシングル)「ステレオジュブナイル」(2022年1月発表の配信シングル)ができて、「風、花」(2022年5月発表のシングル)が作れて…というふうに、いろいろと作っていく中で、“自分にはどういうことができるのか?”“どれくらいのものができるのか?”がなんとなく分かってきて。もちろんそれは僕だけのことじゃなくて、イガラシとゆーまおが僕の無茶振りにどれだけ応えられるのかも見えてきたから、その対応力にもうちょっとだけ頼ってもいいと思えたんです。それもあったせいか、今回は限りなくリラックスした状態で制作しようと思ったんですよね。そんなふうにバンドとして、ちょっと安定してきた状態がかたちになったのかな? だから、すごく聴きやすくできたと思うし、この音を入れたら面白いんじゃないかっていうアイディアもいろいろと詰め込むこともできた。『REAMP』やそれ以前の制作で培ってきたものの応用として対応できたことも多かった気がします。だから、制作中に不安になることがこれまでよりも少なかったですね。『REAMP』の時は不安だったから、もうガチガチに作り込んだんですけど、今回はそういう部分がだいぶほどけたかもしれない。
イガラシ
曲調がすごく幅広くなりましたよね。だから、演奏する身としても幅広な演奏ができたと思います。

今、おっしゃられた“大人になった”“安定してきた”という言葉はロックの場合、どちらかと言うと落ち着いてしまったととらえられるものじゃないですか?

シノダ
まぁ、そうですね。

でも、今回のアルバムは逆にとても刺激的なものになっていて。それはヒトリエが新しいサウンド、新しい音像を提示しているからこそだと思うのですが、『REAMP』「3分29秒」を経て、「ステレオジュブナイル」ではバンドの歩みにおける章を変えようと考えたんじゃないかと想像したのですが。

シノダ
それは思いました。

「ステレオジュブナイル」はどんなところから作っていったのですか?

ゆーまお
作曲は僕なんですけど、この2、3年の間、チルも含めて、なんだか暗い曲ばかり流行っている印象がずっとあって。もっともそれはあくまでも僕の主観なので、そうだとは言いきれないんですけど、海外も含めてダウナーというか、“みんな、元気がないなぁ”と思っていたんですよね。
シノダ
俺もそういう方向に引っ張られたしね。
ゆーまお
そうだね。とにかくそういう傾向があるなと。それがお洒落だって言い方もありましたけど、とにかく暗い(笑)。だから、明るいものを作りたいという気持ちがありまして。しかも、分かりやすいものでメロディーがはっきりしたもの。そういう曲を提案したいというところから作ってみたら、みんなに受け入れてもらえました。今年1月に配信シングルになったんですけど、取っかかりは“明るい曲を出したい”でした。

シノダさんに歌詞を書いてもらう時、ゆーまおさんは歌詞について何かリクエストはしたのですか?

ゆーまお
明るくしたいということだけ伝えました。でも、内容はほとんどお任せですけどね。
シノダ
歌詞に関して何か言われた記憶はないですね。この曲って僕の脳ミソからは絶対出てこないアイディアなんですよ。それが新鮮だし、たぶんこういう音楽をやっているバンドは、今、減っていると思う。みんなこういう曲を出すことにビビっているところはあると思ったりもしたから、“じゃあ、作ってみるか!”ってね。

「ステレオジュブナイル」の歌詞は冒頭の《最終回にしたくない》や《原点回帰》という言葉も含め、これからのバンドの気持ちをリスナーに対するメッセージとして歌っているように聴こえるのですが。

シノダ
間違いなくそのとおりですね。というのも、昨年に『REAMP』のリリースツアーをやったんですけど、コロナ禍の厳しい状況の中でも全公演やれたんですよ。その時に“みんなはなぜライヴに来てくれるんだろうか?”と頭の中が疑問符でいっぱいになったんです。そもそも僕らは3人になっちゃっているし、しかもコロナ禍まであって、ライヴに行きづらい状況の中、それでも来てくれるこの人たちは何なんだろうと思ったら、たまらない気持ちになったんです。この人たちに何か一個、感謝の気持ちを、月並みな言い方になっちゃいますけど、お返しができないかなと思ったので、歌詞に込めさせてもらいました。

《この曲はもう終わりますけど こんなん聴いてくれんのお前だけ》ってパンチラインがグッときます。

シノダ
ゆーまおが作ったこの曲がなかったら、その歌詞は出てこなかったんじゃないかな? ゆーまおから曲をもらって、そこに歌詞を乗せるとしたら何なんなのかと考えて、バーっと書いた時には、もう《こんなん聴いてくれんのお前だけ》がスッと出てきたんです。“あっ! 俺は、今、こういう状態なんだ”って分かったというか、“今、俺が言いたいことってこれなんだ!”と知りましたね。

そんな「ステレオジュブナイル」ができて、今回のアルバムに向けた曲作りのモードになっていったのですか?

シノダ
あとは、「風、花」ですね。TVアニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』のエンディングテーマのお話をいただいた時に、もうちょい何か作ってもいいんだと思って。「風、花」は自分で言うのも何ですけど、渾身の一曲で、めちゃめちゃ新しい手応えがありましたね。この曲がやれるということは、ヒトリエは絶対にもっといろいろな音楽が作れるはずだって、めちゃめちゃ間口が開いた気がしたんですよ。だったら、そこからさらに開けたものを作ってみようという意識になりました。
L→R ゆーまお(Dr)、シノダ(Vo&Gu)、イガラシ(Ba)
L→R イガラシ(Ba)、シノダ(Vo&Gu)、ゆーまお(Dr)
シノダ(Vo&Gu)
イガラシ(Ba)
ゆーまお(Dr)
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OKMusic編集部

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