都市型サーキット『SUPER MAWA LOOP
OSAKA 2022』初日・なんばHatchで分
かち合った、3年ぶり開催の喜び

『SUPER MAWA LOOP OSAKA 2022』2022.5.7(SAT)@大阪・なんばHatch
5月7日(土)、8日(日)の2日間にわたり大阪・ミナミのライブハウス10会場でアイドルたちがライブを繰り広げる、大阪発の都市型サーキットイベント『SUPER MAWA LOOP OSAKA 2022』が開催された。
2015年にスタートし、大阪を代表するアイドルイベントとして全国からファンがあつまる同イベント。2020年、2021年は新型コロナウイルスの影響もあり、大阪での本編開催は中止に。昨年7月になんばHatchで『MAWA LOOP OSAKA EXTRA 2021』がひらかれたが、ライブハウスをつかったサーキット形式は大阪では3年ぶりの実施。『SUPER』というタイトルが示すとおり、関係者、アイドル、ファンにとって待望の開催となる。
そこで今回は、過去最大規模での開催で、新たに追加された会場・なんばHatchに登場した、Devil ANTHEM.、SUPER☆GiRLSlyrical schoolわーすたラストアイドル我儘ラキア、TEAM SHACHI、#ババババンビのライブレポートをお届けする。
Devil ANTHEM.
Devil ANTHEM.
聴き手の心臓を激しく打ち付ける攻撃的なサウンド、そして空間が歪みそうなほどの音圧で会場全体を覆ったのは、トップバッターをつとめたDevil ANTHEM.。メンバーはLEDが仕込まれた手袋を着用しており、彼女たちの動きに合わせて、グリーンのレーザーが縦横無尽に躍る。
高揚感のあるEDMとフューチャーベースを軸にした同グループ。「ユカイダンサー」では、アシッド感たっぷりのクラブ系サウンドのなかをファンが浮遊するように体を揺らすなど、思いおもいのスタイルでライブを楽しんだ。「絆という羽」では、キック音が強烈に効いたバイオレンスなリズムに相反してメンバーが可憐な表情で歌い踊り、「沸ける正統派アイドル」とのキャッチフレーズをまさに体現。
Devil ANTHEM.
東京から大阪へやって来て定期公演を毎月開催しているとあって「今年に入ってもう8回も来ているほど、大阪が大好きな。そんな大阪の大型のイベントに出られてとても嬉しい」と喜びの声もまじえながら、全8曲を披露。未来への希望を疾走感たっぷりに歌い上げる「by your side」で締めくくったあと、竹本あいりは「やっぱり大阪のことが大好き」と、自分たちと一緒に目いっぱい踊り狂ってくれたファンに感謝した。
SUPER☆GiRLS

SUPER☆GiRLS

デビュー12年目を迎えて大人のムードもまとっているSUPER☆GiRLSは、今回の『MAWA LOOP』を無邪気に、そしてSUPERなテンションで楽しんだ。
セットリストの前半は情感たっぷりのパフォーマンス。ロマンチックで清涼感あるサマーソング「MAX!乙女心」、ダンスフォーメーションの美しさに見惚れる「赤い情熱」、一度聴いたら頭から離れないキャッチーな歌詞の「Summer Lemon」などで魅了。楽曲にあわせて色とりどりのサイリウムが客席で揺れるのも、9人組の大所帯グループならではの光景である。
SUPER☆GiRLS
以降もバラエティに富んだ曲が並んだが、特に印象的だったのは「キラ・ピュア・POWER!」。そのタイトルが示すように、勢いのあるダンスで聴き手にトキメキと元気をあたえる一方で、後ろに手を組んで前かがみになり足元を見つめながらステップを踏むユーモラスな振付もクセになる。
会場全体との一体感を大切にしたパフォーマンスは、長年培ったファンとの強い信頼感をうかがわせた。阿部夢梨も「序盤から一緒に振付をやってくださって、最高です。いっぱい踊ってくれてありがとうございました」と充実の表情を浮かべた。
lyrical school
lyrical school
ライブ直前の音響チェックで、セッティングされたDJ機材からノリの良いビートがプレイされ、開演前から「ヘッズ」のハートを射止めたのはヒップホップアイドルユニットのlyrical schoolだ。
Wings」で<常識やルール全て そんなのない>と歌ったように、どの曲も演奏中に決まりきった振付がほとんどなく、メンバー5人は自由にステージを動き回る。そして「FIVE SHOOTERS」では、それぞれの際立った個性をぶつけ合っていく。アジテーションもまじえたフロウで沸かせるrisano、サングラスをかけてクールに振る舞うhime、キュートな歌声がグループのなかで異色的なyuu、グルーヴィーなフロウで存在感十分のminan、愛らしい仕草から目が離せないhinako。それぞれが自分の道を行きながら、しかしふとした瞬間のまとまりから生まれる爆発力は圧巻。
lyrical school
ハイライトとなったのは「The Light」。hinakoの呼びかけでファンがスマホや白色のサイリウムをかざし、光の空間を演出。risanoは「初めてリリスクを観る人が多いはずなのに「照らせ」とか言われて、「は? お前らのために(スマホの)充電を使いたくないし」とか思っているはずなのに」と冗談を言いながら、「でもみんなが照らしてくれてすごく綺麗だった」と感激。
5人の格好良さに目が釘づけとなった、全10曲。「SEE THE LIGHT」を歌い終え、MCはおこなわず、歌声だけをそこに残してステージを降りた。
わーすた
わーすた
わーすたは、トレードマークの猫耳をつけて登場。弾け飛ぶようなポジティブなパフォーマンスを繰り広げた。
「清濁あわせていただくにゃー」「ぐーちょきパンツの正義やさん」「デデスパボン!」という、いかにもわーすたらしい語感と曲調のナンバーを立て続けに披露。「デデスパボン!」の歌詞に合わせて銃を構えるようなポージングなど、メンバーの一挙手一投足にファンも動きをシンクロさせて楽しんだ。
わーすた
廣川奈々聖は「熱量がすごい。3曲連続でやったけど、もうダメかもしれない」とまさかのギブアップ宣言。その後は感傷に浸らせる「四季ドロップス」、気持ちを目いっぱいこめて歌い上げる「ハロー To The World」でエモーショナルな雰囲気を作るなど、わーすたのいろんな一面を見せた。メンバーは「対バンではこういう曲をやらないから新鮮」とレアなセットリストだと言い、三品瑠香は「どう? (心に)刺さってる?」と呼びかけた。
三品が「最後はズタズタに」と、「ミライバルダンス」「SHINING FLOWER」「KIRA KIRA ホログラム」のアッパー曲でたたみ掛け、すべてを出し切った様子でライブを終えた。
ラストアイドル
ラストアイドル
5月31日(火)をもって活動が終了するため、今回の『SUPER MAWA LOOP』が大阪での最後のライブとなったラストアイドル。毎回、観客を飲みこむような強烈なステージを見せているが、大阪でのラストステージとあって、いつも以上に気迫を感じることができた。印象的だったのは、パフォーマンスの際のステージでの立ち位置。出来る限り前線に立って歌い、踊ることでより迫力が増していた。
ラストアイドル
「Stupidにもなれずに…」のメンバー全員が横並びになるところの威圧感。心を取り乱すほど<好きだ>と連呼する一方で、<ごめん>と繰り返す際に漂う絶望感など感情の振り幅が大きい楽曲「好きで好きでしょうがない」。アイドルは人々に何を与えようとしているのか気づかせてくれる、輝きと希望に満ちた「Hope」。序盤からラストアイドルの世界観を見せつけた。
MCで「大阪でライブをやるのはこれで最後。思い出を作っていきたい」と口にしていた通り、自分たちを応援してくれた関西のファンに想いを告げるようにと歌う「Break a leg!」、<君と出会って泣けてきた>という歌詞が沁みる「愛を知る」など全10曲を歌い、「大阪、ありがとう!」と感謝を告げた。
我儘ラキア
我儘ラキア
音楽とファンに対して、純粋さと誠実さを全面に出したライブをおこなったのが我儘ラキアだ。すべての面でグループとしての人間的なアツさを感じさせた。ファンからも、声が出せない状況であっても咆哮が聞こえてくるような、とにかく凄まじい空間が出来上がっていた。
星熊南巫の「今日は誰よりも自分たちが楽しみにきました。負けずに楽しんで帰ってください」と声をあげて、「reflection」「New World」を演奏。今にも客席へ飛びかかりそうな星熊のアグレッシブなボーカル、曲中でもメンバーと絡んだりファンに動きを指南したりするなど視野が広い海羽凜、身震いするようなラップで攻め込むMIRI、世界的にトレンドとなっているダンスのエッセンスを取り入れた動きで魅了する川﨑怜奈。各自のパーソナリティを高次元で衝突させ、一歩も引かない主張性でステージを完成させていくところが強烈だった。
我儘ラキア
星熊は「投げ出したくなる日もたくさんあって、えたい夢もあって、でもまだ半分もいっていない」と心情を吐露。さらに『MAWA LOOP 2017』で初めてトリをとったときを回想し、「その前も、前の前の年もスゲーやつらがトリだった。だから、とても大きなプレッシャーだった。でも目の前にいてくれたみんなと私たちで作ったステージが、奇跡を起こした。あれからずっと好きでいてくれる変態みたいなやつらも、新しい人たちも、全員私たちに付いてきてくれ」と腕を振り上げた。
新曲「GR4VITY G4ME」、初期曲「ゼッタイカクメイ」など新旧をおりまぜた全8曲を駆け抜けるように披露した。
TEAM SHACHI
もし彼女たちを初めて観たなら、いだいていたイメージは大きく変わったのではないだろうか。ももいろクローバーZ私立恵比寿中学で知られる、スターダストが手がける名古屋発のユニット・TEAM SHACHIは、とてつもない運動量のライブを見せた。
客席で振られるペンライトの数は、この日の演者のなかでもナンバーワン。活動10周年という長い活動期間のなかで、多くの熱狂的なファンをつけてきたことがわかる光景だ。1曲目「そこそこプレミアム」の曲中のアドリブ部分では、咲良菜緒が「ぼちぼちでんなー」、秋本帆華も「なんでやねーん」と関西弁を仕込むなど大賑わい。続く「こだま」では、<すくびどぅんどぅん>というスキャットにあわせて、観客に手拍子をリクエスト。難解なリズムにも対応できるタフ民(ファンの呼称)は、さすがである。
TEAM SHACHI
秋本は「初めて観る方は推しメンを決めてもらえたら」と呼びかけ、坂本遥奈は「一緒に踊れる振付が多いので、お好きなように体を動かしてください」とアピール。そのあとはデジタルテクノ調でグルーヴィーな「いいくらし」、聴けば聴くほど味わい深くなる「POSITIVE BEAUTIFUL!~後ろ向きま宣言~」などトリッキーさを持った楽曲を次々と挿みこんだ。
終盤は一転、ヘビーなナンバーのオンパレード。特に「抱きしめてアンセム」は、低姿勢から左右へ体をよじったり、上下にも動くなどとにかくタフな振付。メンバーの息づかいが荒くなる様子が伝わってくるほどで、大黒柚姫は歌唱後、髪の毛がボサボサに。その乱れがTEAM SHACHIのライブのハードさをものがたっていた。
#ババババンビ
#ババババンビ
この日のトリを飾ったの#ババババンビは、正統派に見せかけてどの曲にも強めのクセが隠されており、中毒性が高い。
オープニングナンバーの「ばばばばんびずむ〜!!」での人気プロレスラーの決めポーズをモチーフにしたような横移動時の動作や、「とぅまっそ」での1980年代ヒットナンバーの振付を彷彿とさせるものなど、どの曲のなかにも必ず「気になるポイント」が出てくる。クセの強さはMCにもあらわれていた。吉沢朱音は「大阪と言えば、私」と福岡出身にも関わらず自己紹介。さらに「合言葉は、せーの、めんたいたこ焼き!」とコールアンドレスポンスを求めるなど、やりたい放題。
ただ中盤から後半にかけては、『SUPER MAWA LOOP』でのトリにふさわしい心を揺さぶるような楽曲を並べていった。なかでも、自分たちにしか描けない未来へ進もうという想いが詰まった「星形」、岸みゆが落ちサビで全身から声を絞り切るように歌う青春ナンバー「ネモフィラブルー」は、観る者の記憶にしっかり焼き付ついたのではないか。「トリをつとめることを初めて知ったとき、見間違いかと思った」と話すほど、彼女たちにとって今回の出演順は特別なもの。
最後の「ハナビガタリ」は、お祭り騒ぎのなかにも切なさを感じさせ、#ババババンビらしいパフォーマンスに。トリにふさわしい、その場にいる全員が楽しめるステージをおこなった。
#ババババンビ
2019年以来となる大阪でのサーキット形式での開催となった今回。出演者たちは、やっとイベントが実現できた関係者と、『MAWA LOOP』を待ち望んでいたアイドルファンの喜びを背負ったようなパフォーマンスを見せてくれた。特に、初日ということでテンションもかなり高かったのではないだろうか。いずれの演者も、40分という持ち時間があっという間に感じるほど充実したステージとなった。
取材・文=田辺ユウキ 写真=オフィシャル提供(真島 洸)
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