村上佳佑

村上佳佑

【村上佳佑 インタビュー】
同じようなことを感じる人も
いるはずだから大丈夫だよ

村上佳佑が新曲「なんのために」を配信でリリースした。ポジティブなメッセージをリスナーへ届けた前作のエールソング「Alright」(2022年4月発表の配信シングル)とは雰囲気も変わり、今作では“なんのために…”と自問自答を投げかけている。そんな楽曲をなぜこのタイミングで放つのか? 今年の6月でデビュー5周年を迎えた彼を直撃した。

楽曲がやさしい気持ちで
着地する方法はないかと考えた

曲の話に入る前におうかがいしたいのですが、村上さんはひとりでいる時間を大事に思うタイプですか?

はい。ひとりで自問自答したりするので。もちろん友達はいますけど、外に行くよりも自分と向き合うのが好きですね。だから、家にいる時もソファーに座ってニュースを観ながら、静かに思いにふけったりするのが好きです。

そうやって思いにふけっていたら音楽が降りてくるタイプ?

いえ。作る時は一定レベルの“曲を作るぞ!”というマインドにスイッチが入ってからですね。スイッチが急に入るということはあまりなくて。思いにふける時間は自分にとって情報を処理する時間なんじゃないかと思います。その近辺であったことなど、自分の人生の情報をまとめる作業をする時に思いにふける。だから、僕は大好きなキャンプへ行ったり、ドライブをしたり、新幹線に乗って移動している時に景色をずっと眺めたりしているんだと思います。

そういう時間は村上さんにとって大事な時間になっている?

何もやっていない時間が僕には必要ですね。そういう時間がないと破裂しそうになるので、自分でブレーキをかけて時間を作るんですよ。ぼ~っとしている時に脳が情報処理をしてくれているから、誰かと待ち合わせをしていて3時間とか待たされても平気なんですよね。例えば、テーマパークに行ってアトラクションが3時間待ちでも“僕が並んでおくから、みんなは遊んできなよ”ということが平気でできちゃう。

自分のリセットタイムとして何もやっていない時間が必要なんでしょうね。

そうだと思います。ずーっとバタバタと動いていられないので、せっかちな人は僕と一緒にいるとちょっとイライラしちゃうかもしれないですね。普段は非合理的なことも平気なのですが、ある瞬間にパーンと切り替わって、すごく合理的な判断をし出す自分が現れる時があって。自分でもよく分からない二面性があります。

音楽を作っているのはどちらの村上さんなんですかね。

マインド的には前者だと思います。僕は作曲をする時に歌詞はあとづけで、メロディーやコード進行、和音、このヴォイシングが気持ち良いと思ったところから曲を作ることが多いんです。

なるほど。では、ここからは新曲「なんのために」についておうかがいしていきたいと思います。前作「Alright」をリリースしたのが4月。あまり時間を開けずに新曲を出したところにはどんな狙いがあったのですか?

「Alright」も「なんのために」も2年前くらいに書いた曲だから、早く出したかったというのが大きいですかね。ただ、順番は慎重に考えました。

リリースする順番ということ?

はい。順番で伝わり方が変わると思ったんです。《僕はなんのために生きてるのか》と歌っていた人が、次に「Alright」の歌詞にあるように《大丈夫》って歌うのでは整合性に欠けると思って(笑)。あと、リリース時期もいろんなものがスタートする4月の時期に「なんのために」を歌われたらリスナーが“えっ!?”って驚いちゃうかもというのもあって先に「Alright」をリリースしました。

それでもギャップはありますよね。

確かに。でも、これが人間のリアルなんですよね。

「なんのために」はどんなきっかけで生まれた楽曲だったのでしょうか?

僕はさっきひとりの時間が必要だと言いましたけど、コロナ禍初期のステイホーム週間中、ずっと誰にも会わないで家にいたら精神的にしんどくなった時期がありまして。その時は2カ月ぐらい実家に帰ったんです。「なんのために」はその前後にできた曲だったので、歌詞はその時の自分の心境を歌っています。ひとり暮らしをしていると朝方まで起きていることがあって、夜中の2時ぐらいを過ぎると人間は良くないことを考え出すことが多いと思うんですけど、そんな時に書いた曲ですね。ただ、僕はSNSでもネガティブなマインドは絶対に言わないと決めていて。自分が悲しいからツイートするとか、嫌な思いをしたからその捌け口としてSNSを利用するとかがすごく嫌なんです。

なぜですか?

何の意味もないし、誰も幸せにならない気がするからです。だから、この曲を書いた時、最初はただただ自分の中のどうしようもない感情を吐露しているだけになってしまうと思ったんですね。どうしたらこれを聴いた人が嫌な気持ちにならないで聴けるか、やさしい気持ちで着地する方法はないかと考えていった結果、こういう歌詞になりました。自分の弱さを吐露した負の感情をこんなふうに感じるのは僕だけじゃないはずで、“同じようなことを感じる人もいるはずだから大丈夫だよ!”みたいなところに歌詞を着地させました。

ある意味、作為的に。

そうですね。

書き始めた発端は、村上さんの中に負の感情が渦巻いている時だったと。

はい。例えば仕事でうまくいかなかった時、行き着かなくてもいいところまで考えてしまうことってあるじゃないですか。今起こったこととは全然関係ないことまで掘り進めちゃって、ものすごくネガティブになってしまうみたいな。

ありますね。

この曲はそういうふとしたところから、“なんのために生きてるのかな?”というところまで考えが及んでしまった時の歌で。僕という生き物もいつか無に帰するわけで、そこだけを考えると怖くなるんですよね。でも、自分がいなくなっても誰かの中で僕の曲や僕自身とその人との思い出が生き続けるんだったら、幾分か救われた気持ちになる。そういう想いがこの曲に通じていると思うんです。

だから、《僕を忘れないでいてくれますか?》と歌ったんですね。

はい。すごく寂しがり屋なんでしょうね、彼は。

いやいや、あなたのことでしょ!(笑)

あははは! いい間で言ってくれたので、ツッコミが気持ち良かったです(笑)。

楽曲自体はどこからできたのですか?

ギターのリフですね。最初はもうちょっと洋楽ライクに聴こえる感じで書き始めたんです。だけど、その時はたまたまそういう方向にいかなくて。自分に求められていた音楽も洋楽な方向ではなかったので、歌詞も日本語で書き始めました。で、ポップスに落とし込みたかったので、前作と同じくシンガーソングライターの松室政哉くんにアレンジをお願いしたという流れになります。歌詞は最初に書いてから5転くらいはしているんですけど、似たようなことを最初から書いていましたね。だから、サビとかは変わっていないです。ただ、最初のままだとどこにも行き着かないまま終わるナイーブな曲になっちゃうから、前向きな気持ちで終われるようにと少しずつ現実に引き戻してきました。
村上佳佑
配信シングル「なんのために」

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • SUPER★DRAGON / 「楽楽★PAINT」
  • OLDCODEX / 「WHY I PAINT ~なぜボクがえをかくのか~」
  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • POP TUNE GirlS / 『佐々木小雪のイラスト花図鑑』
  • POP TUNE GirlS / 『涼水ノアの、ノアのはこぶ絵』
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」

新着