アリス九號.の楽器隊メンバーによる
プロジェクト「PROTOTYPE+」と「THE
ALTERNATIVE」がライブ開催

現在、新作アルバムを制作中のアリス九號.。楽器隊のメンバー4名が、ギタリストとリズム隊で2名ずつに分かれて各々プロジェクトを結成し、ライブを行った。ヒロトと虎による「PROTOTYPE+」、沙我とNaoによる「THE ALTERNATIVE」、それぞれのライブレポートをまとめてお届けする。

PROTOTYPE+『PROTOTYPE+ No.XXX』
2022.5.4 GEMINI Theater
PROTOTYPE+
PROTOTYPE+は結成したばかりの新プロジェクト。『PROTOTYPE+ No.XXX』と題したツアーは各会場二部構成で、第一部はライブ、第二部はトークを交えながら初のギタークリニックを実施。メンバー所縁の地を巡ったツアーは、ヒロトが誕生日を迎える5月4日、アリス九號.のアルバムタイトルに因んだ名前が冠された東京・二子玉川にある「GEMINI Theater」で最終日を迎えた。
PROTOTYPE+/ヒロト
ヒロト(Gt&Vo)、虎(Gt)に、サポートメンバーとしてヒロトの盟友・K(Ba)、優一(Dr)が加わった4名は、ステージ中央に集まり、ファンの目の前で気合い入れ。肩を組んでライブにかける意気込みを確認し合った。ヒロトと虎が向かい合わせになってリフを弾き、ヒロト作曲の「EAT EAT EAT」でライブスタート。この曲で世の中の“病み”“闇”をすべて食べ尽くした直後に、アリス九號.「WHITE PRAYER」が始まると、オーディエンスは虎と共に歓喜のジャンプを繰り返し、場内の温度は一気に上がる。PROTOTYPE+は4人編成の熱いロックバンドだったのだ。センターで歌うのは、アリス九號.では上手ギターを務めるヒロト。これまで自身のソロライブで歌ったことはあったものの、本格的なバンド形式でボーカルを担当するのは今回が初。荒々しい歌声は、曲を追うごとに情熱的な本人のキャラクターと相まって感情が剥き出しになり、身体はどんどんと前のめりに。ギターを背中に回し、ハンドマイクで魂を燃やして歌に挑む姿は迫力満点。そして、アリス九號.では下手ギターを務める虎がPROTOTYPE+では上手に立ち、バンドをギターで積極的に牽引していく姿も新鮮だった。
PROTOTYPE+/虎
「暑くてダメ」と呟きながら、すぐに衣装のジャケットを脱いでしまった二人。このPROTOTYPE+について虎が「真ん中に立つ時はひと味違うオーラがあるヒロトさんを観てもらいたかった」と言うと、ヒロトはリハーサルで虎に「好きにやっちゃえ」と言われたことで、このプロジェクトで自分を解き放つことができた、と告白。
「簡単に言うと“諦めない”っていう曲」と言ってPROTOTYPE+用にヒロトが書いた「Bring it on down」、「このバンドの“親方”、虎さんが歌詞まで書いた新曲」と言って「Wake Me Up」を続けてアクト。どちらも熱いロックチューンで、特に「Wake Me Up」は、広大な乾いた大地を車で走り抜けるようなアメリカンテイスト漂う異色なナンバーに仕上がっていた。
PROTOTYPE+/ヒロト
ヒロトが「アリス九號.は18年もやってると守るものが出てくるけど、PROTOTYPE+はそれが何も無い時の最初の濃い1滴。それをバンドに持ち帰りたい」と話し、ヒロトにとってアリス九號.“最初の1滴”となる「ヴェルヴェット」、さらに自身のルーツミュージックの1滴となったhide with Spread Beaver「ピンクスパイダー」を披露。曲中、虎がリフを弾くと同時に左足を勢いよく蹴り上げ、激情的なパフォーマンスで盛り上げた。
ヒロトがソロ曲「and U」を語りかけるように歌った後、虎が突然バースデーソングを歌い出し、それに合わせてケーキが登場。ヒロトの誕生日をお祝いするサプライズで、場内がハッピーな雰囲気に包まれた後、ライブは後半戦へ。
PROTOTYPE+/虎
後半は虎の“最初の1滴”となった曲のカバーからスタート。虎は、青春時代を飾った邦楽としてEvery Little Thingをチョイス。ステージセンターに移動し、ボーカリストとなってハンドマイクで「For the moment」を熱唱! 後半、オールファルセットで愛くるしい歌声を聴かせると場内は驚愕!
続いては洋楽からリンキン・パーク(Linkin Park)をチョイス。2MC体制でマイクのラップを虎、チェスターのパートをヒロトが掛け合いで歌った「Faint」は、このバンドに本当にハマっていた。この緩急ある曲展開でバンドも客席も熱くなったところに、アリス九號.「Heart of Gold」、LUNA SEATONIGHT」を連続で披露し、場内一杯に熱を爆発させていった彼ら。最後はヒロトがA9時代の苦悩を振り返り、「絶対にここを抜け出して新しい世界を作るんだ」と踏ん張ったことをファンに告白。そんな時でも、コロナ禍でも、「来てくれるみんながいるから俺たちは色褪せないでステージに立ち続けていられるんだと思います」と、今感じている気持ちを情熱的に語り、最後はそのメッセージを歌にしたヒロト作曲の「The New World」で熱い感動に包まれたままライブはフィニッシュ。
第二部ではアリス九號.「GEMINI」を中心に二人のギターとトークでファンを楽しく和ませ、PROTOTYPE+の初陣ツアーは終了した。
PROTOTYPE+

THE ALTERNATIVE『THE ALTERNATIVE 4th season』
2022.5.13 Alternative Theatre
THE ALTERNATIVE
沙我とNaoで結成した「THE ALTERNATIVE」は、以前からライブ活動を不定期に行ってきたプロジェクト。4回目となる今回は、『THE ALTERNATIVE 4th season』と題し、ツアーを展開。5月13日に行った東京公演は、有楽町にあるその名も「Alternative Theatre」に初めて彼らが足を踏み入れた記念すべき公演となった。
THE ALTERNATIVE/沙我
Alternative Theatreは映画館を改装した劇場で、フロアには広いロビーがあり、場内も広め。赤い座席とマットな黒い壁がシックな場内にジャジーなBGMが流れ出すと、下手から紫色のスーツを着た沙我が舞台中央上手寄りに立ち、ベースをセット。水色のスーツを着たNaoは下手側に置かれたドラムの椅子にスタンバイ。ステージ上に居るのはこの二人だけだ。お互い目を合わせられる距離感で舞台中央に向けて構え、リズム隊のみというTHE ALTERNATIVEの編成を生かしたインスト曲からスタート。沙我はベース音を響かせながらギターのような音色でメロディーを奏で、場内を徐々に盛り上げた。
THE ALTERNATIVE/Nao
続いてはなんと、縄跳びダンスでお馴染みのNiziU「Make you happy」。想像のさらにその上を行くこの選曲は、ファンもかなり驚いたはず。歌とトラックは沙我が打ち込みで制作。場内にはそれ以上のボリュームでドラムとベースが鳴り響き、ファンキーなリズムで踊り出す。こうして、リズム隊に特化した切り口、アレンジで幅広いジャンルの音楽を楽しませていくのがTHE ALTERNATIVEの醍醐味だ。
アリス九號.でもコーラスなどを歌うことが多い沙我は、続くアリス九號.「Bury the Night」で早速ボーカルを披露。将とはまた違う、艶っぽい大人な歌声を届けた。歌い終えて「将さんが歌うとキラキラするのに、僕が歌うとなんかモヤモヤ…」と沙我が言うと、「いやいや、素敵な歌声でいい感じですよ」とすかさずNaoが笑顔でフォロー。
THE ALTERNATIVE/沙我
続いては、これまでTHE ALTERNATIVEで披露してきた楽曲を続けて披露。沙我が自らの解釈で日本語詞をつけたビリー・アイリッシュ(Billie Eilish)「bury a friend」、幾度となくアレンジを変えてプレイしてきた米津玄師「ゴーゴー幽霊船」はベースレスで沙我が歌い、再びベースを持ったところでアリス九號.「birth in the death」をパフォーマンス。ダークな楽曲をTHE ALTERNATIVEならではの奥深い世界観で表現したこのパートでは、曲が終わるごとに場内から拍手が贈られた。
ここからはその世界観がガラッと変化。ヘッドセットをつけたNaoがフロントに出て来てアコギを構えると、沙我は客席のど真ん中に入っていき、観客と一緒に着席。ステージ上で一人になったNaoが「歌わせてもらいます」と言って、反町隆史「POISON」(クセ強めのカバーを自ら“ANOTHER POISON=アナポイ”と命名)、ステージに戻った沙我がドラムでエールを送る中、菅田将暉「さよならエレジー」をNaoならではの元気ハツラツテンションで披露した。
「沙我さんのドラムがあったり、ドラマーでも歌わせてもらえるのがオルタナ」とNaoがTHE ALTERNATIVEの楽しさを解説した後は、2人がLUNA SEAのJと真矢になり代わってJ「BACK LINE BEAST」をプレイ。この熱演は場内をさらに沸かせた。曲中にNaoが放った「お前ら、俺の射程距離まで来いよ!」という煽りを気に入った沙我が「これ使えるよ」とNaoをベタ誉めした後、ライブは後半戦へ。
THE ALTERNATIVE/Nao
終盤は、以前も披露した女王蜂「火災」で観客を情念渦巻くサウンドへ引き込んでいったところから、和ロックゾーンへ突入。津軽三味線疾風「覚醒」は、ドラムとベースがそれぞれ和楽器のようなフレーズを叩き出し、他では聴けないTHE ALTERNATIVEのサウンドアレンジ、音色で観客を魅了。そこに、沙我が津軽三味線にインスパイアされて作ったギターリフとファンクなリズムが拮抗して鬩ぎ合う「ロザリーインザダーク」を投下すると、場内はライブならではの高揚感に包まれていった。Naoが「沙我さんの曲の中でもこの曲気に入ってるんです。ドラム叩いてて楽しいし、テンション上がるので」と「ロザリー~」を評した後、沙我が現在制作中のアリス九號.のアルバムについて「もう少ししたら何かしら発表があるので楽しみにしてて欲しい」と伝えたところで、3rd seasonで初披露した「闇堕前夜」へ。ここでは沙我が「闇堕ちだ」を連呼。
ラストに「ユクエシレズ」を歌い上げてライブはフィニッシュ。「ゆったりまったりとした俺たち独特の波長、楽しんでいただけたでしょうか? 僕はすごく楽しかったです。ありがとう」と沙我が挨拶し、二人はステージを後にした。
THE ALTERNATIVE/沙我
THE ALTERNATIVEは6月25日に、追加公演と沙我生誕祭を合体させた『沙我生誕祭 in ENOSHIMA』を神奈川・江ノ島 虎丸座にて開催。
7月3日にはアリス九號.のボーカリスト、将の活動20周年を記念して、過去の代表的な詩作品を将自らデザイン、コラージュしたアート作品を展示するギャラリーイベントを東京・SHIBUYA SACSで開催することも決定している。
アリス九號.は、5月19日に新曲「Funeral」のMusic Videoを解禁したばかり。その解禁を報告するために行ったYouTube LIVEの中で、9月9日に東京・Spotify O-EASTで『LAST DANCE ACT.1「Funeral No.999」』と題したワンマンライブを開催することも伝えられた。
取材・文=東條祥恵

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