オメでたい頭でなにより、「マジでオ
リジナル曲、一曲もやりません!」こ
の日限りのカバー曲のみで魅せた一夜

オメでたい頭でなにより『オメでたカバー劇場 ~東京座~』

20220515(sun)東京キネマ倶楽部
「マジでオリジナル曲、一曲もやりません!」
最初のMCでの赤飯(Vo)の宣言通り、全曲カバー曲のみで構成されたオメでたい頭でなによりのワンマンライブ『オメでたカバー劇場 ~東京座~』が、5月15日(日)東京キネマ倶楽部にて行われた。自身初のカバーアルバム『オメでたカバー横丁 ~一番街~』の配信リリースして、大阪、東京で行われたこのライブ。全9曲の収録曲を全曲披露した上、事前にファンからリクエストを受け付けていたカバー曲、この日限りであろうスペシャルなカバー曲と、レアな内容でファンを大いに楽しませた。
赤飯
オメでたい頭でなにより

まずはオープニング。開演前のSEで流れる原曲と入れ替わるように、バンド演奏が始まった曲は、Official髭男dism「Pretender」のカバー! 温かみあるサウンドに伸びやかなハイトーンを響かせ、気持ちよさそうに歌い上げる赤飯。意表を突かれた始まりに驚きと喜びの入り混じった拍手をする観客に「どうも、Official髭男dismです!」と挨拶して笑わせると、「金太の大冒険」へ。煌くミラーボールの光や妖しくゴージャスな会場の雰囲気もピッタリなミト充(Dr)の鳴らすディスコビートに、メンバーがステップを踏みながら演奏すると、フロアの観客も楽しそうに体を揺らす。斬新かつドラマチックな転調や曲展開、デスボイスにシャウトにアイドルボイスにと変幻自在な赤飯の歌い分け、324(Gt)の多彩なギタープレイにmao(Ba)のベースソロ、ぽにきんぐだむ(Gt&Vo)のラップと、あらゆる要素を詰め込んだ楽曲は見応え抜群! 最初から分かってたことだが、この夜がただ、カバー曲を披露するだけのライブにならないことを確信して、嬉しくなってしまう。
ぽにきんぐだむ
324
歌やセリフに愛情をたっぷり感じる「ガラガラヘビがやってくる」の熱演にヘドバンが起き、「カバーやからオリジナルやってる時ほど熱くならんかと思いきや、もう汗だくです!」と、感想を語った赤飯。「週の真ん中水曜日! 真ん中もっこり、夕やけニャンニャ~ン!」と、昭和世代にはたまらない掛け声に拳を上げて始まった曲は、キラキラしたサウンドに四つ打ちビートも痛快な「うしろゆびさされ組」。続く「三百六十五歩のマーチ」で♪腕を振って足をあげてワン・ツー、ワン・ツー! と会場中が全身を使って振り付けを合わせると、「マル・マル・モリ・モリ!」では手振りを合わせて、「さくらんぼ」の軽快な曲調に楽しくぴょんぴょん跳ねてと、会場中の観客が積極的に参加して、会場に明るく楽しい雰囲気が生まれる。マスクしてたって声が出せなくたって、ライブハウスで喜びや楽しさを共有したり、一体感を生むことはいくらだって出来るのだ。
mao
ミト充
鳴り止まない拍手の中、「昔、『ASAYAN』という番組がございまして、モーニング娘。というグループが誕生しました……」と始まったMCでは、赤飯が“モーヲタ”だった時代の思い出と異常なほどの愛を熱弁し、「恋愛レボリューション21」を披露。こだわりまくったアレンジと愛情と思い入れを込めたボーカルで、超超超いい感じにアゲていくと、間奏部分では赤飯が完璧すぎるダンスを披露し、観客から大きな拍手を浴びる。カバーアルバムのインタビュー時にも、「ディレクターから「自分たちの本当に好きなものを突き詰めたり、シンプルに音楽を楽しむという気持ちに向き合う時間があっても良いんじゃないか?」と助言されて、カバーアルバムの制作に挑んだ」と話してくれたオメでた。まさに赤飯自身の“好き”を突き詰め、本気で音楽を楽しんでいたこの曲からは、彼の音楽や表現に対する熱い気持ちや、ステージに懸ける想いをしっかり感じ取ることが出来た。
ぽにきんぐだむ / 赤飯
オメでたい頭でなにより

もはやカバーではなくモノマネ、異常に完成度の高い宴会芸といえる、赤飯の「2億4千万のものまねメドレー」で爆笑を生むと、赤飯とぽにきがアコギとタンバリンで、ファンからのリクエストから選ばれた「夏色」を本気コピーして、息の合ったハーモニーを聴かせる。さらに暗いステージにランプの光が灯り、薄っすらと虫の声も聴こえてくるサマーキャンプをイメージした演出で、アコースティック編成で披露したのは「君がいるだけで」。芸達者ぶりに加え、アコースティックでもしっかり聴かせるスキルの高さ、そして他では見られないカバー曲たちの贅沢さに、観客は満足そうな表情でステージを見守る。さらに「これもカバー曲」と力技で納得させた、お目出たズの「メジャーデビュー曲」。パワフルさや勢いも含めた完璧なカバーに、ヘドバンの嵐が起きた「ぶっ生き返す」と続いて圧倒的な盛り上がりを見せると、ライブはいよいよクライマックスへ。
赤飯 / ぽにきんぐだむ
オメでたい頭でなにより
MCで「コミュニケーションが取れない時間が続いたので、僕たちとお客さんの距離を縮めて対話の出来るライブを作りたかった」とこのライブを開催した意味を話し、「フロアで全然知らない人同士が好きな曲を通じて、汗だくになって笑顔になって。人が好きになる瞬間をみんなに知って欲しくて、このバンドをやってるし、アホな曲いっぱい作ってやってます」と観客に伝えると、「コロナでツアーが中止になった時、曲作りの根幹がライブにあるから、全然曲が作れなくなって。カバーをやることで俺たちらしさや足りひんかったものの再確認も出来たし、カバーアルバムが出来なかったら、次に進めなかった」とカバーアルバムをリリースした経緯を語った赤飯。「いま新曲も作ってるし、アルバム作ってツアーもやります。前に進む気しかないので、安心して付いてきて下さい! こういう瞬間もあったよねって、みんなで笑える未来を作りましょう」と宣言して、始まった曲は「WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント〜」。<何かを叫んで自分を壊せ!>と、暗闇の中で戦い続けた日々。自身の想いを重ねた気持ちのこもった歌と演奏は、カバーアルバムを作った意味やこのライブを開催した意義を感じさせてくれたし、実に感動的だった。
オメでたい頭でなにより
ラストは多幸感溢れ、希望に満ち溢れた「明日があるさ」で大団円。MCで「この公演に来るという選択をしてくれて本当にありがとう。歴史の生き証人になってます!」と語っていたように、絶望的な時期を乗り越え、ここからの道と光を指し示してくれたカバー曲たちをライブでしっかり披露して。普段のライブでは見られない彼らの魅力や凄さを見せつけた上、「明日があるさ」と大きな夢を抱いて再び前に進みだした、彼らのたくましい姿を見ることが出来て本当に良かった。

取材・文=フジジュン 撮影=ゆうと。
オメでたい頭でなにより
オメでたい頭でなにより
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