源義経役の菅田将暉(左)と静御前役の石橋静河 (C)NHK

源義経役の菅田将暉(左)と静御前役の石橋静河 (C)NHK

【特集】「鎌倉殿の13人」義経、散る
! 菅田将暉「三谷幸喜さんはすごい
」石橋静河「こんなこと、ふつうは経
験できない」歴史に名を残すカップル
を演じた2人が明かす舞台裏

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。5月22日に放送された第20回「帰ってきた義経」では、平家を滅ぼした英雄・源義経が、兄・頼朝(大泉洋)と溝を深めた結果、悲運の最期を遂げた。新たな義経像を作り上げた菅田将暉と愛妾・静御前役の石橋静河、歴史に名を残すカップルを演じた2人がコメントを発表し、その舞台裏を明かした。
 菅田はまず、平家を滅ぼした後の義経について、次のように振り返った。
 「壇ノ浦で平家を滅ぼした瞬間から、何かぽっかり空いている感じがずっとありました。そこからの義経は、生きてはいるんだけど、亡霊のように、のめりこむもの、目標みたいなものがなく生きていたようでした」
 続けて、義経の最期のシーンについては、「いろんな思いがありますが、今日演じた感じだと、何かほっとしているようなところもあると思います。今日、最後に思ったのが、『これで兄上(頼朝)とのいざこざが終わるな』という、そんな気持ちでした」と複雑な胸の内を告白。
 義経を悲劇へと追い込んだ兄・頼朝との関係については、「第14回ぐらいから、義経は頼朝に会っていないんですよね」と前置きした後、「『悲しい話だけど、頼朝・義経をどう描くんだろう』って視聴者目線で見たときに、この2人の“仲たがい感”の描かれ方は千差万別で、いろんな見せ方がある」と一般論を展開。
 その上で、「でもどんな描かれ方でも、義経はただただ純粋に兄上のことが好きなんだなっていうのだけは共通していると思いました。そこは最後までできてよかったと思います」と満足そうに語った。
 最後に、「そこにただ悲しさだけじゃなくて、いろいろな笑いも入ってくるし、リアルな『なんでこんなことになっちゃうかなぁ』っていうのを最初に持ってきて、ちゃんと最後の里(三浦透子)とのところまでつなげてくる三谷幸喜さんはすごいなと思いました」と巧みな脚本を絶賛した。
 なお、これが三谷作品初出演となる菅田は、5月7日に出演した「土曜スタジオパーク」で「(三谷幸喜に)まだ会ったことがないので。だからこれ、合ってんのかなっていうのも、不安なんですよね。(中略)全然違うって言われるかもしれない(笑)」との言葉も残している。だが、斬新かつ強烈な印象を残した今回の義経には、三谷もきっと満足しているに違いない。
 一方、静御前役の石橋は、これが大河ドラマ初出演。そのため、見せ場となる舞を披露するシーンについては「プレッシャーはもちろんあったんですけど」と言いながらも、「リハーサルを何回か重ねていくうちに、すごく面白いなって感じて。こんなこと、ふつうは経験できないので」と満足そう。続けて、撮影に臨んだ感想を次のように語った。
 「本当にタイムスリップしたようなセットの中で、扮装したほかの役者陣の方々がいる中で、こうやって踊る機会をもらえるのがすごく幸せだなという気持ちの方がプレッシャーよりも勝って、稽古は大変だったんですけど、今回これをやらせてもらえて本当によかったなと思いました」
 白拍子という静御前の職業については、「白拍子はもちろん映像では残っていないし、絵でも残っていないと思うんです。だからどういう動きをしていたのかというのは、本当のところは誰にも分からない」と断った。
 その上で、「だけど、静御前が『しづやしづ』と歌いながら舞ったというのはほぼ史実だということが文献に書かれているので、その踊りの部分っていうのは『こうだろう』と想像で進めていきました」と振り返った。
 ここで一点補足しておくと、石橋は5月14日に開催された「大河ドラマ『鎌倉殿の13人』トークライブ in 青森」で、「(静御前の)最初の登場シーンの踊りは2日間しか練習ができなくて、結構大変でしたね」と明かしている。
 続けて、「振り付けも今回は所作指導の先生と一緒にやりながら作っていった部分があるんですけど、白拍子って即興で歌いながら、即興で舞いながら、っていうことをする人なんですよ。フリースタイルというか。その場の空気とか、そこにいる人とかから、瞬時にどんなことを歌おうか、というのを考えてやらなきゃいけない。すごいハイレベルなこと」とも語っており、見事な舞の裏には並々ならぬ努力があった様子が垣間見える。
 さらに、「刀や扇、烏帽子など男っぽい扮装をした、すごくりりしい踊りなのですが、それがもっと日本舞踊に近いような、はんなりした女性らしい動きだったら、西洋の動き・ダンスとは全く違うのでそれはそれで難しかったと思うんです」と付け加えた。
 最後に、「でも今回は足を蹴り上げるなど、派手な動きがけっこうあったので、それは今まで私がやってきたことが生かされていたかなと思いますし、『こんな踊りを昔の女性がやっていたんだ』っていうのはすごく驚きで、新鮮でした」と締めくくり、大河ドラマ初出演が役者としても大きな一歩になったことをうかがわせた。
(構成・井上健一)

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