河合優実 (ヘアメーク:上川タカエ(mod's hair) /スタイリスト:

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河合優実、デビューから3年「ただが
むしゃらにやればいいという時期はも
う終わった」【インタビュー】

 2021年に第64回ブルーリボン賞新人賞や第95回キネマ旬報ベスト・テン 新人女優賞などを受賞し、今後の活躍に期待が高まる俳優の河合優実。5月27日から上演される、松尾スズキ作・演出の「日本総合悲劇協会 VOL.7『ドライブイン カリフォルニア』」では、ドライブインでアルバイトをするエミコ役を演じる。「私の根本には舞台がある」と話す河合に、本作への意気込みや演じることに楽しさを聞いた。
-本作の作・演出の松尾スズキさんとは、20年上演の「フリムンシスターズ」以来2作目となります。「フリムンシスターズ」に出演し、大人計画(松尾が主宰する劇団)との出会いに衝撃を受けたそうですね。
 いつの頃からだったかは覚えていませんが、「大人計画」の存在は知っていて、まさか自分がその舞台に立てるとは思っていませんでした。なので、夢のような気持ちで「フリムンシスターズ」に臨んだのですが、そこで毎日、モンスター級の俳優さんたちが、本気で、楽しそうに、そして苦しそうに作品を作っていく姿を稽古場で拝見して、衝撃を受けました。皆さんの才能と歴史を肌で感じつつ、それでも、やはり本番へ向かう地道な過程があるのだなと。
-本作は、1996年、04年に続いて3度目の上演となります。これまでの公演はご覧になりましたか。
 04年の公演の映像を見させていただきました。なので、台本が(同じエミコを演じた)小池栄子さんの声で再生されています(笑)。
-どんな作品だと感じましたか。
いろいろな人がそれぞれの不幸や業を一つの場所に持ってきてしまい、一つの混沌(こんとん)とした悲劇になる作品です。「フリムンシスターズ」はカオスではあっても、ハッピーなムードが漂う作品でしたが、今回も、終わった後の後味は温かいものがあると感じています。
-今現在、エミコというキャラクターをどのように演じたいと思っていますか。
 エミコは、明るく気立てのいいアルバイトの女の子ですが、やることはやっている、そして自身の問題から逃げ続けている女の子です。とはいえ、さまざまなものを抱えている人が多い中で、一人、ポーンと明るくそこに存在できたらいいのかなと思います。ただ、今は素晴らしい共演者の方々の中に入れていただき、演じさせていただくことがただ楽しみで、どう演じようというところまで考えられていません。稽古の中で、より深く役を知り、(共演者から)刺激をもらいながら成長できたらと思います。
-河合さんは、会うと物静かな人に感じますが、作品の中の姿は、とてもパワーを放っています。それは、自然と切り替わるのですか。
 どうなんでしょう、切り替わっているんだと思います(笑)。
-俳優業を始める前からダンスを踊っていたそうですが、それはダンスをしていた頃に培われた感覚ですか。
 そうですね。「やらなければいけない状況になったらできる」というメンタルの強さはやはりダンスをしていたからだとは思いますし、そうした物おじしないところは、特に俳優1年目にはあったと思います。デビューして3年がたち、経験したことで感じる怖さも出てきているので、今回は、それを振り払いながら作品に向き合っていきたいと思います。
-これから続いていくキャリアの中で、今回の舞台はどういう作品になると思いますか。
 私はもともと、「舞台に立つのが楽しい」という気持ちがこの仕事を始めるルーツだったので、映画に触れる3年間をぐるっと回ったら、舞台に帰ってこられたというような思いがあります。楽しい気持ちを大切にしながら、日々新たな発見をしていきたいです。
-デビューからの3年間、改めて振り返ってみてどう感じていますか。
 公開する作品数も、参加させていただく作品数も、だんだんと増えてきたことを実感しながらお仕事をさせていただいてきました。求めてくださっている方がいることを感じ、とてもありがたく思うとともに、ただがむしゃらにやればいいという時期はもう終わったのかなとも思います。自分が何をするべきなのかをしっかり考えたいと思うようになりました。とはいえ、改めて振り返ってみると、この3年間、楽しいことの方が多かったと思います。もちろん、苦しいこともありますが、根本的にこの仕事が性に合っていて、好きなのだと思います。
-22年も『PLAN 75』など多数の出演作が控えています。個性的な役を演じる機会が多いように思いますが、ご自身ではどんなものが求められていると感じていますか。
 どんなものかは分からないですが、なぜか入院する役と自殺する役が多かったですね(笑)。なぜこんなにひどい目にばかり遭わなきゃいけないのかと思ってしまったぐらい、不幸を請け負ってばかりでした(笑)。最近はそんなこともないですが。
-今後はどのような仕事をしていきたいですか。
 この3年間、映像作品を中心に仕事をしてきましたが、やはり私の根本(ねもと)には舞台があることも感じているので、両立していけたらと思います。
-舞台に立つことで、初心に返ることができるんですね。
 特に私の場合は、そこ(舞台)から始まったという思いがあるんだと思います。自分の体で表現すること自体の喜びを舞台ではより感じることができるので。映像とは全く違う楽しさがあります。
-最後に、改めて本作への意気込みを。
 本当に、オファーを頂いたときから、ずっと出演することを楽しみにしていた作品です。今は、稽古が始まるのが待ち遠しくてたまりません。面白い皆さんと共に、面白い物語を損なわないように、私が出演することで新しい風を吹かせられるように精いっぱい楽しんで演じたいと思います。
(取材・文・写真/嶋田真己)
 「日本総合悲劇協会 VOL.7『ドライブイン カリフォルニア』」は、5月27日~6月26日に都内・本多劇場、6月29日~7月10日に大阪・サンケイホールブリーゼで上演。
公式サイト https://otonakeikaku.net/2022-drivein/

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