Base Ball Bear 橋本絵莉子、Ryohu
、花澤香菜、valkneeも出演、3年ぶり
の開催となった『日比谷ノンフィクシ
ョン』をレポート
2022.5.15 日比谷野外音楽堂
Base Ball Bear
事実、小出祐介(Vo/G)はMCで「満キャパのお客さんを眼前にするのは久々。緊張してます。感慨に動揺してる(笑)」と語っていたが、1曲目「BREEEEZE GIRL」の時点では名状しがたい緊張感が演奏からもヒシヒシと伝わってきた。しかし、そこからメンバーは(あるいはオーディエンスもそうだったかもしれない)これまで育んできた「日比谷ノンフィクション」の感触を思い出し、スリーピースバンドとしてのBase Ball Bearが練り上げてきたアンサンブルの強度を確かめ満員の会場に威風堂々とそれを提示するようにしながらライブをグルーヴさせていった。序盤で特に印象的だったのは、小出のソリッドなギターワークを柱に濃厚なファンクネスを充満させた「文化祭の夜」から堀之内大介(Dr/Cho)の情感豊かなドラミングとメロウな旋律の中に関根史織(Ba/Cho)のベーシストとしての充実ぶりが際立っていた「(LIKE A)TRANSFER GIRL」、ドラマティックかつポップに開けていく「Transfer girl」と繋げていった流れだ。新旧織り交ぜた楽曲群の中で、スリーピース“なのに”ここまでやれるし、スリーピース“だからこそ”ここまでやるというBase Ball Bearのストリングスタイルなロックイズムが『日比谷ノンフィクション』だからこそ生々しく伝わってきた。
Base Ball Bear、valknee
さらに『日比谷ノンフィクション』ならではの特別な祝祭感が色濃く形作られていったのが、本編終盤に訪れた客演セクションだった。意外にもライブではこれが初共演となった花澤香菜との「恋する感覚」はあまりに爽やかで、最新アルバム『DIARY KEY』において唯一の客演曲であるvalkneeとの「生活PRISM」は陽性のパーティー性もありながら日比谷の官庁街の光景もあいまって現在進行系のソーシャルイシューの陰影も離れがたく想像させ、関根がベースをチャップマンスティックに持ち替えたRyohuとの「歌ってるんだ Baby.」ではサイケデリックなサウンドスケープが現出し、そして、スケジュールの都合で駆けつけられなかった福岡晃子のインターネットの友だち=チャット友だちとして登場しオーディエンスを驚かせた橋本絵莉子とRyohuを迎えた「クチビル・ディテクティブ」は間違いなくライブにおける一回性の多幸感に満ちていた。音楽的にも、客演のメンツとしてもBase Ball Bearはずっと多様性に富んできたということを、十二分に体感できるセクションだった。
文=三宅正一 撮影=@vizkage
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