【楓子 インタビュー】
歌手は選ばれた人の
仕事だと思っていた
幅広い世代の方に
聴いてもらえる曲を歌っていきたい
オリジナル曲がローカルCMに起用されたり、ラジオのパーソナリティーもされるようになって、今では街で声をかけられたり、地元で有名人になっていたりもするのでは?
私があまり外に出ないのであんまり(笑)。でも、お米のCMをやらせていただいた時は、その曲が市場でずっと流れていたので、曲を知ってる方はいらっしゃいます。だから、同じ山口でも広島寄りに住んでいる親戚は“テレビに出とったじゃん!”とか言ってくれるんですけど、私の地元は広島のチャンネルが入らないので、両親にはまだ観てもらえていないですね。テレビに出た時は、私が録画をして送っています。
早く山口のテレビにも出たいですね。ちなみにこれまでの活動の中で特に印象に残っていることってあります?
CMが決まった時とか思い返せばいろいろあるんですけど…一番緊張したのは、MAZDA Zoom-Zoom スタジアム 広島で広島東洋カープの試合前に国歌斉唱をしたことですね。それこそ記憶にないくらい頭が真っ白になって。コロナの前だったから人もたくさんいたし、人っていうより赤い壁に見えました。選手の方々も後ろにいらっしゃるし、そんなところで伴奏なしで国歌斉唱をしたのは、めちゃくちゃ緊張しました。でも、そのおかげで私を知ってくださった方もいたし、ようやく大学の学長も認めてくれたんですよ。クラシックの大学からポップスの歌手が出たってことで、きっとあんまり好かれてなかったのに、SNSに“我が校の卒業生が国歌斉唱を~”と書いてあって“よっしゃ!”って(笑)。やっぱり広島ではカープってヒーローなんですよ。普段からカープの服を着ていたり、幼稚園実習の時もカープのキャップを被ってくる子供がいたので、その本拠地で歌わせていただいたのは嬉しかったですね。
今回、初めての全国流通CD「ずっと」がリリースされるのも、それと並ぶくらい大きな出来事になるのかも。
“すごいことになってしまった!”と思いました。これは両親も驚いてくれたので、嬉しかったですね。もともとはCS放送のキッズステーションで放送されるアニメ『アストロロロジー ~おかしな12星座うらない~』のコンペのお話をいただいて、以前プラネタリウムのイベントのために作った3曲の中から、一番キャッチーでメロディーが残りやすい曲の歌詞を書き替えて出したんです。原曲はかなりプラネタリウム寄りというか、室内をイメージした歌詞だったから、もっと幅広いとらえ方ができるように、星空の下をイメージしたものに変えました。あと、キッズステーションなので難しい言葉はあまり入れないようにしたら、エンディング曲に選んでいただけたんです。レコーディングにはヴォイストレーナーの方に入ってもらって、歌い方の指導もしていただきながら慎重に歌いました。
声に神秘的な響きがあるので、星や宇宙という壮大なテーマの楽曲にはぴったりですよね。
“サビの部分が頭に残る”と言っていただけたこともありました。個人的に推しているのは歌詞で、男性目線と女性目線が両方入っているんですよ。ちょっと気弱な男子が強めな女子に頑張って想いを伝えようとする姿を、曲の後半にかけてうまく盛り上げられて良かったです。
歌詞と言えば、カップリングの「生まれてきてくれて、ありがとう」も幼稚園教諭の免許を持っている楓子さんにぴったりの内容だなと。
子育て中のママの気持ちを綴った曲ですからね。キッズステーションは子供向けのチャンネルですし、そういうつながりもあって今回のシングルは「ずっと」と「生まれてきてくれて、ありがとう」の2枚組でリリースすることにしたんです。「生まれてきてくれて、ありがとう」はコロナ禍の中、北川たつやさんが“楓子さんに歌ってほしい”と提供してくださった曲なんですよ。私は免許しか持っていないんですけど、いろんな幼稚園に歌いに行ったりお手伝いに行くこともあるので、すごく気持ちを込めて歌いやすくて。正直言って、聴いた時から“たぶん自分の声に合うだろうな”とも思いました。
癒される声ですもんね。子育てで疲れている時、絶対に聴きたい歌声ですよ。TikTok等のSNSで、一般ユーザーの投稿に多数使用されているというのも納得です。
ありがとうございます。使ってくれている人がいることを最初は知らなかったんですけど、Instagramのリールでたまたま流れてきたり、SNSを使いこなしている友達が“この人が使ってたよ”と教えてくれて知って、すごく嬉しかったです。お母さん向けのライヴとかでも、歌うと必ず泣いてくださる方がいるんですよ。そういうのを見ると、私までもらい泣きしそうになってしまって…この曲が良いデトックスになっていたらいいなぁって。
間違いなく“デトックス系シンガー”だと思います。ちなみに、自分とは無関係だと思い込んでいた音楽の世界に、今、足を踏み込んでいることについてはどう感じていますか?
“早く知っておけば良かった!”と思うことがたくさんあります。もっと早く歌の教室に通っていたら、もっとオーディションを受けていたら、今と違ったのかなっていう想像もするんですけど、そしたら逆に剣道はやっていないだろうし…。剣道って毎日声を出すんですよ。試合でも声が目立つ選手のほうが強かったりもするので、動物の求愛みたいな奇声をあげたりするんです。十代の時からそんなふうに喉を使っていたから、今でも声は枯れないですね。長時間カラオケに行っても大丈夫だったりするから、喉を鍛えたい人には剣道をお勧めします(笑)。
今は広島を拠点に活動されていますが、ゆくゆくは全国進出も果たしたいですよね。
まず私は知られるところから始めないといけないので、ライヴを一度観ただけで虜にできるように頑張ります。全国にライヴに行けるようになった時には、ぜひ来ていただきたいですし、子供から上の年代の方まで幅広い世代の方に聴いてもらえる曲を歌っていきたいですね。
取材:清水素子
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シングル「ずっと」2022年5月18日発売
LINKsRING
フウコ:2018年より広島を拠点に本格始動したシンガーソングライター。身長154センチの小さな身体からは想像できないパワフルヴォイスが魅力。ラジオの冠番組を持ち、複数のCMに楽曲が起用される。幼稚園教諭免許を取得していることもあり、子育て中のママに寄り添った歌詞が印象的な「生まれてきてくれて、ありがとう」が口コミで人気となり、TikTokで多数の投稿に使用され、その累計が450万回再生を突破。ショッピングモール、地域のイベントなどへの出演依頼も多く、ライヴを初めて観たファミリー層の心もしっかりと掴んでいる。22年5月に初の全国流通盤シングル「ずっと」をリリースした。楓子 オフィシャルHP
「ずっと」MV