L→R  仁耶(Gu)、Hiroyuki Ogawa(Ba)、Fuki(Vo)、紫煉(Gu)、FUMIYA(Dr)、Jill(Vn)

L→R  仁耶(Gu)、Hiroyuki Ogawa(Ba)、Fuki(Vo)、紫煉(Gu)、FUMIYA(Dr)、Jill(Vn)

【Unlucky Morpheus インタビュー】
Fukiの歌をいっぱい聴かせたくて
“歌モノ”をテーマに制作を始めた

レコ発ライヴということで、
『evolution』の曲は全曲やる

では、続いて『evolution』のプレイ関連について話しましょう。今作を録るにあたって大事にしたことは?

Fuki
歌に関しては、さっき紫煉が「Serene Evil」みたいな曲調は得意分野で、むしろ難しいという話をしたじゃないですか。それは、私も同じでした。「Serene Evil」みたいな歌は得意すぎて、逆にもっと工夫したい、もっとヒネりたい、もっと追加で何かしたい気持ちになるんです。とはいえ、こういう曲はストレートに歌うのが一番曲に合うんですよね。なので、葛藤というほどではないけど、“簡単すぎちゃうな、普通に歌うと”みたいに感じてしまって。“これが本当に100点満点なのか? もっと上を目指せるんじゃないか?”みたいに思ったりしました。

その感覚は分かる気がします。そうなるとクドい歌になりがちですが、ストレートに歌うことをチョイスされる辺りはセンスの良さを感じます。

Fuki
確かに昔はもっとクドくしてしまっていたかもしれない。引き算を覚えたというのはある気がしますね。それがいい方向に出たんじゃないかな?

「Serene Evil」のBメロの抒情性と張り裂けそうな雰囲気がない交ぜになっている歌は絶妙です。それに、Fukiさんは歌唱力や表現力の高さに加えて、すごく声量があることがCDでも分かるのは特色といえますね。

Fuki
そういう感想を言われたのは初めてです。ライヴで声量があると言われるし、それは分かるんですけど…確かにCDで聴いていても肺活量に余裕がある感じはするかもしれないですね。それは、ヴォーカルレコーディングのエンジニアさんやミックスのエンジニアさんの技術的なところもあると思います。

あるとは思いますが、やはりFukiさんの歌い方や声量が大きいと思います。

Fuki
実は…呼吸器内科に行って肺活量を調べたことがあるんですよ。そうしたら、肺年齢が17歳だったんです(笑)。すごくないですか?(笑)

すごいです!(笑)

Fuki
肺活量が普通の人は80パーセントとか90パーセントという数値のところが120パーセントくらいあって(笑)。すごい数値を叩き出していて…しかも咳が出て、コンディションが良くない時に測った結果で。だから、肺活量とかに本当に恵まれた身体をしているんだと思います。メタルを歌うための身体をしているんじゃないかっていう(笑)。

紫煉さん、『evolution』のギターについてはいかがでしょう?

紫煉
ギターに関してはバッキングを仁耶が全部弾いて、ソロはふたりで割り振りました。俺が手の調子が悪くなってしまってからは(紫煉は2016年末から腱鞘炎に悩まされている)、レコーディングは分業として割切って、バッキングは仁耶に全部弾いてもらって、俺はソロだけを弾いているんです。悔しさもあるけど、逆に言えば自分はソロだけしっかり準備してくればいいので、特にメロディックなソロはだいたい1テイクで録れました。そういう勢いとかをギターをやっている人は感じてくれたら嬉しいですね。

紫煉さんのプレイはテクニカルな面もさることながら、ニュアンスや“泣き”といったエモさが素晴らしいと思うんですね。ああいうプレイを1テイクで録れるというのはさすがです。

紫煉
不安になって2回目とかも録ってみたりするけど、やっぱり1回目のほうがいいんですよ。すごく難しいところは何度か録ったりとかもあるけど、それ以外のところは大体1テイクでOKになる。それは、さっきも言ったように、レコーディングに対してしっかり準備することが大事だと思いますね。Unlucky Morpheusは今の時代でもちゃんとプリプロをやって、リハでみんなで音を合わせるという段階を踏んでレコーディングしているんですよ。今って自宅で何時間かけて録ってもいい環境になっていることが多いから、なんとなく練習しておいて、録りながら練習する感じでやっている人も結構いるんじゃないかと思うけど、俺は録る前の段階でちゃんと深めた上で、勢いが大事なところでしっかり勢いが出るように弾いています。録り直しとかが簡単な今の時代においても、そういうプレイをすることがリスナーに何かを感じさせることにつながると思うから。

それは間違いないです。ギターの面ではギター2本によるハーモニーと、ギターとバイオリンのハーモニーを使い分けていることも印象的です。

紫煉
バイオリンの速弾きも、ぜひ聴いてもらいたい気持ちがあるんです。基本的にツインでバァーッと速く弾くのはギター2本というのが王道じゃないですか。でも、俺はギターとバイオリンというのもありだと思っているんです。ギターとバイオリンでハモることで他にはないサウンド感を作ることができて、それも聴いてほしい。同じハーモニーでも楽器が変わることで聴こえ方が変わるので、そのほうが楽しいと思うんですよね。今回の「The Black Death Mansion Murders」の間奏はJillと仁耶の速いアルペジオのハモリから始まって、仁耶のソロ、Jillのバイオリンソロ、紫煉ギターソロ、メロディアスなツインリードからギターのピロピロしたツインリードになるという構成になっていて。つまり、ほぼ全部の組み合わせが詰め込まれているんです。それぞれのプレイヤーの表現とか、組み合わせならではのサウンドとかを楽しんでもらえる構成にしました。

「The Black Death Mansion Murders」は必聴ですし、「Serene Evil」のバイオリンとギターによるテクニカルなハーモニーなども注目です。さて、キャッチーな楽曲と良質なプレイが相まって『evolution』はメタルフリークはもちろん、メタルに馴染みの薄いリスナーも魅了する一作になっています。そして、今後のライヴ展開も楽しみです。

Fuki
ライヴは『evolution』のレコ発ライヴを、5月7日に配信でやります。会場は日清食品 POWER STATION【REBOOT】。POWER STATIONはその昔はライヴハウスだったんですけど、今は配信専門の箱に変わっていて、LEDパネルとかが床にもあるような構造になっているんですよ。音楽番組とかのスタジオをちょっとコンパクトにしたような感じで、配信映えする面白いライヴスポットだし、Unlucky Morpheusはこれまでに2回出させていただいていて。レコ発ライヴということなので、『evolution』の曲は全曲やります。日本中のどこからでも観てもらえるかたちでお届けしますので、ぜひ観てほしいです。
紫煉
『evolution』もライヴでプレイすることを念頭に置きながら作ったし、今回より音楽性の幅を広げたということもあって、『evolution』の曲たちを組み入れたライヴに期待していてほしいですね。あと、有観客ライヴで演奏した時、自分が想定しているとおりにいくこともあれば、自分が予想していなかった思わぬ効果が生まれることもあると思うんですよ。それを楽しみにしているし、そういう瞬間を体感しに来てほしいです。
Fuki
配信ではないリアルライヴも夏頃に大きめのライヴハウスで東名阪を回るつもりでいます。最近の私は配信ライヴの楽しさにも目覚めてきて、配信も楽しいと思えているのですが、やっぱり目の前にお客さんがいっぱいいる生のステージには敵わないんですよね。なので、大きいところで『evolution』を引っ提げて生ライヴをできることを、今からすごく楽しみにしています。

取材:村上孝之

アルバム『evolution』2022年4月27日発売 自主制作
    • ANKM-0041
    • ¥3,080(税込)

ライヴ情報

『evolution』レコ発配信ライヴ
5/07(土) 東京・日清食品 POWER STATION【REBOOT】

Unlucky Morpheus プロフィール

アンラッキーモルフェウス:2008年にFuki(Vo)と紫煉(Gu)によって結成。結成当初はDTMでの音源制作が主な活動だったが、徐々に今のバンド形態に変化。メンバーの超絶技巧を生かしたメロディック・メタルを基調としつつ、ゲーム音楽やアニメソングからの影響を取り入れた独自のスタイルで活動中。Unlucky Morpheus オフィシャルHP

「"M" Anthem」MV

「"M" Revolution」MV

「"M" Revolution」
[Official Live Video]

『evolution』[Official Trailer]

OKMusic編集部

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