福士蒼汰×宮野真守がさらにバディ感
を増して東京へ! 劇団☆新感線 い
のうえ歌舞伎『神州無頼街』東京公演
開幕直前取材会レポート

2022年4月26日(火)、2022年劇団☆新感線42周年興行・春公演 いのうえ歌舞伎『神州無頼街』東京公演が東京建物Brillia HALLにて開幕する。
2020年のコロナ禍で一度は全中止となったのだが、2年の時を経て念願の上演を果たした。3月17日に大阪公演で初日の幕を開け、その後の静岡公演を経て、カンパニーの勢いが最高潮になったタイミングでの東京公演開幕となる。
本作は中島かずき作✕いのうえひでのり演出による「いのうえ歌舞伎」シリーズの新作。幕末を舞台に、福士蒼汰、松雪泰子、髙嶋政宏、粟根まこと、木村了、清水葉月、宮野真守、さらに劇団☆新感線の個性豊かな劇団員たちが暴れまわる伝奇時代劇だ。

大阪公演ゲネプロより  撮影:田中亜紀
大阪公演ゲネプロより  撮影:田中亜紀

大阪公演ゲネプロより  撮影:田中亜紀
東京公演初日を目前に控えた4月25日(月)、主演を務める福士蒼汰と宮野真守の取材会が開催された。
福士と宮野は本作と同じくいのうえ歌舞伎シリーズの『髑髏城の七人 Season月』(2017〜2018年)に出演していたが、上弦の月と下弦の月という異なるチームでそれぞれ主演の捨之介を演じていた。その後もいのうえひでのり演出の少人数芝居『浦島さん』『カチカチ山』(2020年)に出演しているが、彼らが同じ板の上に立つことは叶わなかった。そんな二人がついに同じ舞台上でバディを組むのが『神州無頼街』なのだ。
取材会を通して、公演を重ねるごとに深まっていく福士と宮野の熱い信頼関係が感じられた。その模様をレポートする。
ーーいよいよ東京公演が開幕します。お二人の心境を聞かせてください。
福士:そうですね。東京、静岡とやってきて……。
宮野:大阪、静岡な!
福士:あ、いきなり間違えた(笑)。大阪、静岡とやってきまして、ついに東京でたくさんの方に観てもらえるということで非常に高揚しています。既に20公演やってきているので、自信にも溢れてカンパニーが大きな一歩をこれから踏み出す期待感を持っています。
福士蒼汰  撮影:田中亜紀
宮野:僕らにとって念願の公演だったので、ついに大阪で初日を迎えたときは本当に嬉しかったですね。それもあってカンパニーの仲が非常にいい。それを深め合って高め合って今回東京に来れたというのが非常に嬉しいですし、かなり仕上がっていると思いますので、楽しんでもらえるんじゃないかなと思っています。
ーー2年前に中止になった作品がまたこうやって上演できるのは嬉しいことですよね。
福士:嬉しいですねえ。当時は「延期」じゃなくて「中止」と聞いていたので、『神州無頼街』は幻になってしまうのかなと思っていたんですけど。
宮野:今回、僕らに向けた当て書きのお話だったので、それができないというのは本当に悔しかったんです。けれど悔しいままで終わらせず、『浦島さん』『カチカチ山』でどうにか『神州無頼街』に繋げていけるように、舞台の灯を絶やさないように来れたことが、絆にも繋がって良かったのかなと思っています。
ーー大阪公演、静岡公演の反響はどうでしたか?
宮野:非常にいい反応が返ってきています。本当にお祭り騒ぎの舞台なんですよ。『神州無頼街』って硬そうに見えるタイトルなんですけど、歌ありダンスありでお祭り騒ぎ。それをみんなが存分に楽しんで帰ってくれていっているのは嬉しいですね。
宮野真守 撮影:田中亜紀
福士:歌が多いので、3時間の公演なんですけど「あっという間だった」という声をすごく聞きますね。普段舞台を観ない方でも、舞台ってこんなに楽しいんだって思ってくれるような作品になってるかなと。
ーー稽古期間、大阪、静岡と経てお二人のバディ感も合ってきていると思うのですが、いかがですか?
福士:そうですね。どんどんどんどんお互いの距離が縮まり、もうひとつなんじゃないかというくらいくっついちゃって、という感じになってます(笑)。
宮野:ずっと一緒にいるんですけど、この人と芝居をするのはこんなに幸せなんだということを噛みしめています。オフのときも芝居の話が絶えなくて、そういうのもあって作品やお互いの理解もどんどん深まって「こういう考え方するんだな」「こういうこと素直に言えるなあ」とか。話し合いながら進んでこれたので、かなりいい空気感になってるんじゃないかなって思っています。
ーー本作が初共演ということですが、お互いの印象はいかがでしょうか?
宮野:いいんですよ〜。いい役者なんですよ〜。それは毎公演毎公演更新されるくらい、その気持ちが高まって!
福士:え〜?
宮野:いい役者! いい芝居するなあ〜って!
福士:(あんまり言うと)嘘っぽくなるからね(笑)。
宮野:ははは(笑)。
 撮影:田中亜紀
ーー福士さんはいかがですか?
福士:いやあ〜宮野さんはいい人なんですよ。
宮野:役者としてはダメだけどってこと?(笑)
福士:裏をかくとそうなっちゃうよね(笑)。いやすごくいい方で、本当に誰に対しても笑顔を絶やさないですし、自分があるべき状況をすごくちゃんと考えていて、自分の未来の想像とかもシェアしながら話していて……この人とずっと一緒にいてもいいなって。
宮野:ははははは!(笑) 急に声のトーンを艶っぽく言うのやめてもらっていいですか? そういうの僕から学ばなくていいですよ(笑)。
福士:それくらい、一緒にいて楽な人っていう感じですね。
ーー宮野さんは俳優であり人気声優でもありますが、宮野さんが担当したキャラクターで思い出のあるキャラクターはいますか?
福士:僕は「文豪ストレイドッグス」が好きで。(宮野さんが)太宰治役をやられていて、でもそれに気付かずアニメを見ていたんです。気付いたら宮野さんだったので、すぐに連絡しました。宮野さんに言わせたいセリフがあったので「このセリフ言ってよ」ってお願いしても全然言ってくれなくて。しょうがないから「僕がボイスメッセージで1個前のセリフを言うから言ってください」みたいな(笑)。
宮野:すごいでしょ? ボイスメッセージで連絡してくることってなかなかなかったからびっくりしちゃって。かわいいなあって思いましたけど(笑)。それに最近、僕が映画の吹き替えをやったときの舞台挨拶の様子とかを見てくれているらしくて(笑)。「チェックしてるの!?」って(笑)。ありがとうね。
ーーお二人の役の関係にラブはあるんですか?
宮野:ラブ!?(笑) ラブというか、これがまた面白いバディで。ずっと昔から続くバディ関係というよりも、出会って目的が一緒になるからこそ段々バディになっていく。お互いのことを段々知っていくっていう関係性なので。その裏にどんな想いがあるのかということも二人で話し合いながら細かく設定を作っていきたので、二人の関係を見てもらうのは楽しいと思いますね。表情とかから感じてもらえると嬉しいよね。
福士:この舞台が終わった後にも、この二人がこうなっていくんだろうなということが想像できるようなラストにもなっていますね。

福士蒼汰  撮影:田中亜紀

ーー公演は始まっていますが、最近のお稽古はどうですか?
福士:稽古は今日までビッチリやっていました。
宮野:いのうえ(ひでのり)さんが毎公演本当に細かく動作を観てくれていて、どんどん進化させてくれるんです。ちょっとネタが変わったりとか、1回観た人でも発見が多いと思うので、それは常に進化させながらやっていますね。
福士:変更点は結構たくさんあって、全体的によりパワーアップしていると思います。アクションもそうですし、お笑い部分も。
宮野:いのうえさんが思いついたネタを(笑)。
福士:そう、どんどんどんどん足されていく(笑)。
ーー激しいアクションに加えて、歌や踊りもあるんですよね。
宮野:基本僕が歌担当で、福士くんがアクション担当のようになっています。作品の中でのキャラクター性もあってそういう役割になっているんです。僕以外の劇団員の方々の歌もふんだんに盛り込まれています。歌で紡いでいくシーンが多いので、それは見どころだと思います。僕もいろんな種類の楽曲を歌っていて、ロックだったりジャズだったりミュージカル調だったり。実際に公演の中でギターも弾いています。
福士:もう、宮野さんのライブなんじゃないかっていう(笑)。
宮野:ギター弾くわ、踊るわ、歌うわ(笑)。
大阪公演ゲネプロより  撮影:田中亜紀
大阪公演ゲネプロより  撮影:田中亜紀
ーー福士さんはアクション担当ということですが。
宮野:一人でバッタバッタ倒していくシーンとか、見応えありますねえ。
福士:でも4年前に『髑髏城の七人』をやったときは、個人的に殺陣はあんまりできなかったなあと思っていて。そこから早乙女太一くんに弟子入りして稽古させてもらって。それで今回臨んでいるので、太一くんに教わったことを今回やれているんじゃないかなと思っています。
ーー改めて、今回の作品の見どころを教えてください。
福士:個人的には生き方のお話だなと思っていて。自分自身が今生きてる中で、どう生きていこうかっていう。生まれや育ちがあるけれど、その中で自分がどういう選択をして生きていくかっていう話でもあると思うので。(演じる)秋津永流は自分の生きる道を探して進んでいくので、そこを観てもらえたら嬉しいかなと思います。
宮野:いいこと言うなあ。確かに、どう生きるかというものがキャラクター一人ひとりにあるんですよね。それが僕らのバディ感に表れているし、身堂蛇蝎一家がその象徴みたいなところで、この人たちがどうやって集まったのか、どういう目的で生きているのかというのは非常に注目ポイントです。何より髙嶋(政宏)さんと松雪(泰子)さんが濃い!(笑) いのうえさんいわく、変態夫婦が濃いんですよ(笑)。悪役としても生き様としても濃いので楽しんでもらえると思います。
宮野真守  撮影:田中亜紀
ーー最後に、公演を楽しみにしているお客様へメッセージをお願いします。
福士:本当に大迫力のお祭り騒ぎの『神州無頼街』なので単純に楽しめると思いますし、すごく生き様を感じられる作品でもあります。殺陣も歌もやっていますし、ぜひ楽しんでもらえたら嬉しいです。
宮野:とにかく楽しい作品です! 世の中で苦しい状況が続く中だけれども、このときだけは明るく楽しんでもらえるように僕らも舞台でエネルギーを出してやっておりますので、存分に笑って楽しんで帰ってほしいなと思っています。全力で演じますので見届けてほしいなとも思います。ぜひ劇場にお越しください。
(左から)宮野真守、福士蒼汰  撮影:田中亜紀
取材・文=松村 蘭(らんねえ)

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着