ゆっきゅん

ゆっきゅん

【ゆっきゅん インタビュー】
“私ってDIVAだったんだ”と
気づいてほしい

あなたの心の中にいる
DIVAを目覚めさせたい

今作の楽曲について、まずはイントロの「DIVA ME & YOU -Introduction-」からおうかがいしたいです。スペーシーで謎の降臨感がありつつも、COMPLEXの「BE MY BABY」を想起するようなキャッチーさがあって、思わずニヤリとしてしまいました。

既発曲を拡張するようなイントロをつけたいというのは、アルバムを構想した最初から思いついていました。当初は『DIVA ME』の冒頭の《DIVA ME DIVA YOU》というフレーズが繰り返されることだけを想定していたのですが、作曲の幕須介人さんが“自然にやったらこうなりました”と、あの壮大なイントロダクションを送ってきてくださったんです。“規模感!”と驚きつつ、そのくらいの大きさのアルバムだと思ってくれているんだと嬉しくなり、そのまま使わせてもらいました。

ジャケットやMVの衣装がファンシーで、ビジュアルからは非日常っぽさを感じますが、イントロ後の「DIVA ME」を聴いたら、日常のど真ん中にある音楽なんだと思いました。あんなイントロだったのに、1曲目は家の天井を見つめている場面から始まるのはクスッときましたし、《白湯もDIVA》など今まで誰も歌ったことがないような新感覚のフレーズが楽しいです。

ありがとうございます。私は家では横になって何もせずに天井を見たり、スマホをただ見ている時間が多くて、「DIVA ME」はそこから起き上がるための曲にしたかったんですよね。よく“この曲が終わるまでに起きる”というつもりで音楽を流すことがあるので、起床用と思って作りました。部屋が散らかっていてもいい、起きたら夕方でもいい、歌わなくても踊らなくても、“あなたの心の中にDIVAがいるならば、どうしてもそれを目覚めさせたい”という気持ちで歌詞を書いていましたね。まだ歌われていないものがあると思って必死でした。

また、「DIVA ME」は昨年5月に配信リリースしたデビュー曲でもありますね。

はい。楽曲より先に歌詞ができていたのですが、レコーディング中まで直し続けていたんです。ようやく完成したものを発表したら、それまでの自分の作品とは比べものにならないほどの反応があったのが本当に嬉しかったです。この曲がデビュー曲で良かったと思っています。

「好きかも思念体」はリズミカルな歌メロ、ずっと刻みっぱなしのビートなど、自然とダンスが思い浮かんでくるような曲でした。

当初は2010年くらいのK-POPガールズグループのJapanese Ver.を意識して作ってもらった曲でした。歌詞のイメージは浮かんでいない状態だったのですが、最初にデモトラックが送られてきた時に自分が踊り狂ってしまって、数時間後にはワンコーラス分の歌詞ができていましたね。《バイト嫌んなって染めたよ金髪 ツヤツヤしてるじゃん》という歌詞は、もうメロディーがそう聴こえてしまって…野有さんのメロディーセンスにはシビれました。

欲張りで、目の前のタスクが取っ散らかっている忙しそうな人…みたいな主人公像にも愛着が湧きます。

私自身、大学の時は卒業論文、大学院の時は修士論文ですごく苦しんだ経験があったんですが、そこに並走してくれる歌がないと思ったので、それをモチーフにした歌にしました。「DIVA ME」は散文的で、ツイートをしているような作詞の仕方をしていたので、他の方法に挑戦したくて物語っぽく書いています。主人公像は自分とは離れたもので、私の友人をイメージしているんですけど、こういう人が本当に好きなんですよね。

個人的に今作の中で特に大好きなのが「BAG IN BAG」です。歌詞が細かいあるあるの宝庫で、ゆっきゅんさんの日常から得た引き出しの多さにも感動しましたし、自分のやりたいことがイマイチできていないジレンマを、便利そうなのに使えていないバックインバックにかけているのが秀逸でした。無機質で気怠げなサウンドとヴォーカルも、どんどん時間が経っていく歌詞展開にすごくマッチしていて、共感とともに自分の日常が愛おしくなった曲です。

めちゃくちゃ嬉しいです! 日常と言っても《座らせてよ Soup Stock》と歌っていながら私はSoup Stockに行ったことがないので、魂がOLなんだと思います。“BAG IN BAG”というフレーズは、J-POPというのは平易な英語をバシバシ使っていくことが特徴だから、それを自分なりに、まだあまり歌には使われていない言葉でやろうと思って、最初に浮かんだフレーズでした。この歌は“転職して数カ月後の会社員が、久しぶりに学生時代からの友人に会って、時間を忘れて会話を楽しむ”という筋です。主人公像というか、描きたい関係性の方が先立っていたような気もします。

後半の《SUBWAYすらIʼm afraid/そんなもんだよ 一緒に行こうよ》とか《急に深夜Call meしてよ》は、友達に言っていることが本当は自分が欲しているものであるように受け取れました。

実は前半の《引っ越し手伝って以来なんじゃない》っていうのは、自分の中ではその引っ越しから友達の同棲が始まったことを示していて、だから深夜の電話をしづらくなり、ふたりの関係が悪くなったわけでもないけど、なんか気を遣ってしまう…という関係性のつもりなんです。“(前みたいに)急に深夜Call meしてよ”と友達に言ったら、“えっ、いつでもしてきたらいいじゃん(笑)”と言われて、“それは確かにそうだけどさー!”ってなる、少し切ない感情を歌っています。大人になってからの友情は在り方や距離が変わることはあるけど、会って話すとふたりきりのリズムや空気があってやっぱり楽しいので、その感じを描きたかったんです。主人公は私の友人だったり、昔バラエティー番組に出てきた素人の人だったり、昔見ていたドラマ『anego』とか、もういろんな人のイメージが複合的に重なっています。

OKMusic編集部

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