L→R 原 駿太郎(Dr)、峯岸翔雪(Ba)、ナカシマ(Vo&Gu)

L→R 原 駿太郎(Dr)、峯岸翔雪(Ba)、ナカシマ(Vo&Gu)

【おいしくるメロンパン
インタビュー】
技法によって曲は変わっていくけど、
表現したいものは変わっていない

よりメロディアスな響きの楽曲が揃い、初夏のリリースタイミングに合わせてさわやかなナンバーが多く含まれるなど、新たな扉を開いた感触がある最新ミニアルバム『cubism』。しかも、それでいて彼らの持ち味である細やかな音のこだわりや、深みのある歌詞は決して損なわれていない。絶妙なバランスで生み出された全5曲について訊いた。

ナカシマの曲には
“水を想起させる”イメージがある

前作ミニアルバム『theory』(2021年1月発表)から約1年振りのCDリリースですけど、今回収録されている5曲は『theory』のあとに作り始めたんですか?

ナカシマ
全てあのあとから作った曲です。『theory』から完全に切り替えて作った感じがあって、これまではどんどん内向きに作っていたんですけど、今作は意識を変えて外向きに作った気はしています。

あえて意識を変えて作ろうと?

ナカシマ
はい。自分の課した制約に縛られていて、これ以上身動きがとれないと思ったんです。だから、自分が勝手に決めているおいしくるメロンパンらしさを一回取り払って…とはいっても完全になくすのは無理ですけど、自由度を広げて作ろうとしました。
今作で最初に完成した「トロイメライ」は開けた曲という印象で、ナカシマが言っていた外向きっていうのは僕もすごく感じていました。

前作の反動って毎回ありますね。

ナカシマ
あります。ずっと冬が続いたら次は夏が来てほしいって思うように、真逆のことをやってみたくなるんですよね。結局、どうやってもおいしくるメロンパンになるって感じられたのと、新しい扉を開くこともできたので、プラスのほうに働いたと思います。

今作の中では2月に「Utopia」が配信シングルとしてリリースされましたが、早いうちから手応えのある曲だったんですか?

ナカシマ
僕は手応えをそんなに感じていなくて。2日ぐらいで枠組みができて、パッとできた曲だったんです。でも、周りからは印象が良かったし、あとで聴き直してみると他の曲にない感じがあるようにも思えて。
峯岸
「Utopia」は今までより力を抜いた感じはありましたね。ナカシマがリラックスしてポッと曲を作った感じだったので。それが他の4曲にも波及していると思います。ナカシマはそんなに手応えを感じていなかったみたいですけど、僕はデモを聴いた時、“この曲、来るぞ!”と思ったんです。いわゆる今のバンドシーンでカッコ良いと言われている、速くてメロが良いという…すごく単純な言い方ですけど(笑)。でも、ナカシマの持つ他にはないエッセンスもちゃんと入っていて、これに俺が面白いベースを乗せたらもっと良くなると思いました。
構成は複雑なんですけど、ちょうどいいところでキメがあるので、聴き心地としてはそういう印象を感じさせない気持ち良さがあると思います。
ナカシマ
最初は違うメロディーで、前にボツにした曲だったんです。でも、外向きの意識に変わってから作り直してみたら聴ける曲になりました。今回の5曲はわりと吹っ切れて作った感じがあったので、いい意味でこだわらずというか。曲が持っている“こうなりたい”という意思に従って作っていったような、無理をせずに制作できたのも大きかった気がします。

残りの曲もその流れでいろいろな方向に広げてみようと?

ナカシマ
そうですね。特に「蒲公英」は今までにない曲調で、ミディアムテンポのちょっと昔のポップスみたいな。ここまでシンプルな曲を作ったことはなかったので、やりながら“本当に大丈夫かな?”と思ったんですけど。でも、メロもいいものができたので、“もうそれだけでいいや”ってあっさり作った気がします。

今までだったら他にも詰め込みそうなところを、あえて抑えるような。

峯岸
そうですね。特に「蒲公英」はリラックスして聴けるようにというか、普段なら“ここはもっと面白いことを加えたい”とか、リスナーに“今のは何だろう?”と思わせたい気持ちがあるけど、それを入れずに作ってみようと。
サラッと穏やかなメロディーなので、ドラムも自然とシンプルになりました。

「水びたしの国」は変わっていますね、ずっとギターのアルペジオとドラムのブラシを使った演奏が中心で。

ナカシマ
こういう曲はずっとやりたかったんですけど、ギターの指弾きが初めてで、技術的に難しかったんです。でも、頑張って踏み込んでみました。

指弾きだとより複雑なフレーズが可能になるからですか?

ナカシマ
そうです。一度に弦を2本触れられるので、6弦のルートの音を弾きながら、上の音も一緒に奏でられますし。アルペジオ自体は昔からやっていたんですけど、指弾きは慣れていなかったので挑戦してみました。
ブラシを使った曲は以前にもあって、曲が上がってきた時にナカシマから“これはブラシがいいかな”と言われて、僕も確かにぴったりだなとイメージが湧いたのですんなりといきました。温かい雰囲気になって良かったです。
峯岸
僕はこの曲で初めてフレットレスベースを弾いていまして。最初はウッドベースでいこうと思っていたんですけど持ってなくて、RECに入って借りたものの全然勝手が違うから思うようには弾けなくて。最終的にエレキのフレットレスベースがハマったんですけど、普通のエレキよりも抜群に合いました。これはフレットレスじゃなかったらダメでしたね。ゆくゆくはライヴでコントラバスを弾けたらと思っています。
ナカシマ
この曲はムラみたいなものを出したかったというか。完璧に演奏してカチッとしたものにするというより、自分の意識外のもの、制御できないものが、逆にこの曲にとってプラスになる気がして。なので、峯岸にはフレットレスに挑んでもらって、完全に更地できれいに整備されたものというより、ちょっと凹凸がある印象になりました。それが味だと思っていて、気に入っていますね。
峯岸
RECの時も生っぽさを出すようにして、ちょっとノイズが入っていても構わないから、そんな感じでいこうって言われましたね。あと、「水びたしの国」は僕の中でなんとなくナカシマらしいイメージがあって。

どの辺がそう感じます?

峯岸
音数が少なくて、水を想起させる。水辺かな? 涼やかで、その上にしとやかで軽妙なメロディーが乗っている。そういうイメージがずっとナカシマにあるので、“ぽいな”と思いながら作りました。

確かに、角がない感じですね。

峯岸
角がある時もたまにあるんですけど(笑)、この曲はないかな? ナカシマのやさしい部分が出ていると思います。
L→R 原 駿太郎(Dr)、峯岸翔雪(Ba)、ナカシマ(Vo&Gu)
L→R 峯岸翔雪(Ba)、ナカシマ(Vo&Gu)、原 駿太郎(Dr)
ミニアルバム『cubism』

OKMusic編集部

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