L→R 福里シュン(Gu)、山里ヨシタカ(Gu)、田村ヒサオ(Ba&Vo)、加勢本タモツ(Dr)

L→R 福里シュン(Gu)、山里ヨシタカ(Gu)、田村ヒサオ(Ba&Vo)、加勢本タモツ(Dr)

【ulma sound junction
インタビュー】
10年後に演奏しても
楽しいと思える曲が理想

一曲を通して同じようなシーンが続く
音楽はナンセンスだと思う

「Modern Bleed」もそうですが、ulma sound junctionのギターはツインギターのアンサンブルを活かして、広がりや奥ゆきを出していることが印象的です。

田村
僕はハーモニーとかコード感といったことを音楽的、理論的に突き詰めたくなるタイプで、コードのボイシングがここは必要だけど、ここはいらないというようなことがあるんです。コード感を平たくしたい時もあるし、奥ゆきを持たせたい場合もあって、その辺の感覚は楽曲が構築されていかないと気づけなかったりするんですよ。なので、最終的に僕がヴォーカルを乗せる前のタイミングで“この音が鳴っていてほしい”というのを現場で提案することが多いんです。そこに関してはギターのふたりにウエイトがのしかかっていると思いますね。

とはいえ、山里さんと福里さんはそれに応えてくれるんですね。田村さん、「Modern Bleed」の歌とベースについても話していただけますか。

田村
ベースに関しては好きなバンドがいて、“このベースの音にしたいんだよ”という提案をエンジニアにしました。Nothing Moreというバンドのベースの音がすごく好きなんですよ。僕はサウンド面で好きなベーシストがあまりいなくて、今回初めて“こういう音を出したい”ということを伝えました。ヴォーカルワークに関しては、僕はシャウトをちょっとナメていた部分があって…エンジニアと話をする中で、僕がとても苦手な部分が何個かあることに気づいたんです。僕が絶対に出せない種類のシャウトがあったりするし、同じシャウトでも30種類くらいの出し方があって、それを自分がどこまでできるのかというところでレコーディングまでの間に緻密に考えて、その上で録りに臨みました。

より細かいところまで意識されたんですね。強力なシャウトもさることながら、メロディーパートのエモーショナルな歌は本当に魅力的です。

田村
ありがとうございます。僕がヴォーカリストとしてすごく尊敬しているのはスティングなんです。ベース&ヴォーカルとしては至高の存在だと思っているので。彼の声の伸びやかさや声の鳴らし方のチョイス、繊細に歌う時の声と息とのバランスといったことを研究していて。声量があって高い声も出るヴォーカリストは結構いるけど、自分はそれ以外のところをもっと広げたいと思っているので、今回のレコーディングではそういうところをかなり意識しました。

メンバー全員がより高い意識で今回の制作に臨まれたんですね。「Modern Bleed」を聴いて、凝った展開を活かすバンドだと思いましたが、『Reignition』はさらに緻密かつストーリー性のある構成を活かした曲が揃っていて驚きました。

田村
僕、すごく映画が好きなので、自分たちの楽曲を作る時も場面転換や起承転結といったことを意識しているんです。映画を観て、その映画の考察を読んで、もう一回観たくなるというような感覚で楽曲を置いておきたいというのもあるし。考察や答え合わせになるようなコンテンツが僕らの周りにもっとあるといいんですけど、今は楽曲のタイトルだったり、歌詞だったりだけなんですよね。なので、楽曲の考察となるようなコンテンツを、僕らの中でもっと増やせればいいなと思っています。
山里
僕は起承転結がはっきりしていない曲はあまり好きではなくて、一曲を通してずっと同じようなシーンが続く音楽はナンセンスだと思っているんです。同時に、テクニカルなインストみたいに難しいフレーズを切り貼りして詰め込んだようなものも違うと思っていて。うちらの音楽は難しいけど、導入と最後の締め、それにサビは絶対にキャッチーにすることを意識しています。そうしないと、何回聴いても分からない曲になってしまうから。僕も映画が好きで、ちゃんと気持ち良く観れて、さらにもう一回考察込みで観るのが好きなので、自分たちの楽曲もそういうものにしたいと思っています。サビはうちのバンドは必ずキャッチーなので心配していないのですが、スティックカウントで始まるのは“あり”なのか“なし”なのかというようなことでは悩みますね。
福里
僕は構成とかを考える時に、あまり参加しない派なんですよ。本当に俯瞰で見ている感じで。そういう観点で言うと、うちのバンドは昔は足し算が多かったけど、今は引き算ができていると思います。他の3人が話しているのを見ていると、パズルみたいな感じで曲を作っていっていて。僕は全体像がまったく見えていないのに、3人はどんどん組み立てていくんですよ。で、“この構成で通してやってみよう”って音を合わせると、それがちゃんと曲になっていたりするので、いつもすごいなぁと思っています(笑)。
加勢本
なんだ、それ?(笑)
山里
お客さん?(笑)
全員
あははは。
加勢本
僕が一番思うのは、自分たちがワクワクするような展開であるべきだということですね。自分たちが楽しめる曲にしたくて、曲を作る時にそういうフレーズやリフを入れるようにしています。俺らが楽しければ、お客さんも楽しいはずだから。ありきたりな展開とかだと最初はいいんでしょうけど、すぐに飽きてしまう気がするんですよ。それこそ10年後に演奏しても楽しいと思える曲が理想で、曲を作る時はいつもそういうことを意識しています。それは「Modern Bleed」である程度できたと思いますね。

OKMusic編集部

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