AK-69

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【AK-69 インタビュー】
“これがAK-69だ!”って
一曲が生まれた

本当に言葉に魂が宿らないと
言霊にはならない

歌詞自体、誰でもない自分になりたいという想いや、リアルなフラストレーション、見返す想いが詰まっていますが、そんな歌詞でこだわったところはありますか?

この曲に関しては、むしろ何もこだわっていないですね。というのも、依頼されたからこういう歌詞を書こうと思ったわけじゃないので。実は、俺の頭の中に思い浮かんだものがそのまま曲になったっていう不思議な感覚があるんですよ。企画のプレゼンをされている時に、この曲が頭の中でワーって鳴り出したくらいだったんです。トラックは盟友のRIMAZIが作っていますけど、俺の頭の中に鳴ってるものを具現化してもらった感じですね。生まれるべくして生まれた感がすごくある曲なんです。

ナチュラルに運命的に生まれた楽曲だと。

そうですね。俺の代表曲になっている曲たちって、だいたいそういう感じなんです。降ってきたっていうか、授かった感があるんですよね。あとで“どうやって作ったっけな?”ってなるんですよ(笑)。“こういうふうに言ったらお洒落かな?”とか“こういうふうに言ったらみんなグッとくるかな?”とか何も考えていないし、バーっと殴り書いた感じです。そういう曲のほうがみんなに伝わるんですよね。何年に一回生めるか生めないかって曲なんで、最新のアンセムになる自信はすごくあります。自分にしかできない、“これがAK-69だ!”って一曲がまた生まれたので、感謝が大きいです。

手応えは相当あると。

めっちゃありますよ。こういう曲ができたら、ぶっちゃけ売れても売れなくてもどっちでもいいっていうか。でも、絶対に評価されるんです。俺が聴いて自分で鳥肌立つ曲なんで。本人がゾワっとしないものが、聴いた人がゾワっとするわけないから。俺、白々しく人を鼓舞しようとしている曲ってマジ寒いと思うんです。本当に言葉に魂が宿らないと言霊にはならないんですよ。

つまり、歌詞にはリアルな感情が詰まっているってことですね。

そうです。俺が普段どんな努力をしているかなんて、みんなに説明し切れるわけがないじゃないですか。だけど、これが俺なんで。みんなが見ていないところでどれだけストイックにやっているか、どれだけ恐怖とかプレッシャーとかと向き合って、一切逃げずに挑み続けているか…それがこの曲になっているんです。そういう生き方をしてきたから生めた曲でもあるし、とにかく自分が納得できる、こんなにも手応えのある曲ができたのが一番嬉しいです。まぁ、タイアップの曲でこんなシリアスで物悲しい曲ってなかなかないですけどね(笑)。

明るいファンファーレが響くものが多いですが、それとは真逆のベクトルの力強い楽曲ですよね。

普通は明るい感じになりがちだけど、これはそうじゃないって思ったんですよ。これこそが俺の真骨頂…物悲しくて、力強くて、それが俺にしか生めないものだと思いますね。

では、4月23日に開催する5度目の日本武道館ライヴ『START IT AGAIN in BUDOKAN』への想いや意気込みを聞かせてください。

単純にコロナ禍で心置きなくライヴをすることがなかったので、久しぶりのリアルライヴをやるならやっぱり武道館だと思ったんです。神聖な感じがするし、シンプルに武道館がめっちゃ好きなんですよ。今回、俺らとしては閉塞感がある2年間を経ての“START IT AGAIN”という意味合いのワンマンではあるんですけど、もっと日本人として訴えかけたいことがあるんです。本当にこのままだと、この国、マジでヤバいって思うことがたくさんあるじゃないですか。

それは日々感じます。

国を変えようとか大それた想いはないんですけど、それでも俺は音楽でたくさんの人の気持ちを、人生を動かすっていう役目をずっと担ってきた。音楽ってめちゃくちゃ特別なものなんですよ。音楽だからこそ伝わることってあるし、俺もそれを何回も経験していますし、俺自身もそういうことをみんなに提供しているつもりなんです。その特別な存在の音楽だからこそ、今こそヒップホップ=レベルミュージックとして、みなさんの気持ちに訴えかけて、日本人としての意識を変える入口を作れるんじゃないかと思っているんです。

意識の気づきを与えたいと。

そうですね。俺はガキの頃から自分の成功のためにずっとやってきて、十分すぎるくらいの成功を掴めた。人から後ろ指を差されることもなく、着実に力をつけて、少なからず影響力を持った人間になれた。そらぁガキの頃は、ただ悪ぶって“大人たちくたばれ!”って反発する感じで言っていましたよ。でも、もうそうじゃなく、いろんな力を持ってる今だからこそ、レベルミュージックとしてのヒップホップに立ち返って、ラッパーとしての信念を示すフェーズに、今のこの状況で来たんじゃないかと思っているんです。別に俺は政治をやろうとは思わないけど、日本人としての心を呼び覚ますきっかけくらいは音楽家でも作れるんじゃないかと。日本にも真実を届けるアーティストはいますけど、まだまだ少ないんですよ。俺はラッパーとして、日本でそれをやらなきゃいけないと思っているんです。なので、俺は今回の武道館を、今まで観たことのないようなライヴにしたいと思います。

アツい信念で挑む武道館になりそうですね。その先の今年の展望を聞かせてもらえますか。

音源は順を追って出していこうと思ってます。あと、秋くらいに大きなプロジェクトがあって、それに向けて全力で進んでいく感じですね。ヒップホップを大きくするため、みんなにスポットライトが当たるような土俵を作って、シーンが活性化していけばいいなと思っています。俺は十分に成功してるんで、これからやることは綺麗事抜きで社会貢献とシーンの活性化しかないですから。それやったら辞めたいと思いますけどね(笑)。いいかげんゆっくりしたいですけど、まだまだ数年は全力疾走止めれねぇなって感じです。

取材:土屋恵介

配信シングル「Break through the wall」2022年4月8日配信 Def Jam Recordings/Virgin Music
    • ※詳細はオフィシャルHP等をチェック
DVD『THE RACE in SUZUKA CIRCUIT』 2022年5月11日発売 Def Jam Recordings/Virgin Music
    • POBD-30011
    • ¥5,500(税込)

ライヴ情報

『START IT AGAIN in BUDOKAN』
4/23(土) 東京・日本武道館
詳細&チケット:https://ak-69.jp/ticket/StartItAgaininBudokan/

AK-69 プロフィール

エーケーシックスティーナイン:唯一無二のラップと歌の二刀流の先駆者としてアーティスト活動をスタート。マスメディアに一切見向きもされない名古屋時代に全国のクラブで年間180本のライブをこなし、ライブを見たファンの評価のみでインディーズながらアルバム2作でゴールドディスク、オリコンDVDチャート1位を獲得。その後、渡米しニューヨークのNo.1 HIP HOPラジオ局と名高い“HOT97”に日本人として初のインタビューを受け、同局主催イベントへのライブにも出演。そして、アメリカの伝説的なHIP HOPレーベル「Def Jam Recordings」との契約を果たすまでに至った。己の生き様から生まれる“言霊”が男女問わず競争社会で戦っているトップアスリートや経営者にも共感を生み、高級自動車メーカー、高級時計ブランド、スポーツチームなどさまざまな企業のアンバサダーも務めている。AK-69 オフィシャルHP

「Break through the wall」
(Teaser Movie)

「START IT AGAIN」
from『THE RACE in SUZUKA CIRCUIT』

OKMusic編集部

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