古屋敬多&桜井玲香W主演 リバイバル
版ミュージカル『FLOWER DRUM SONG』
稽古場取材会&ダンスナンバーお披露
目会レポート

ミュージカル『FLOWER DRUM SONG』のリバイバル版が、2022年春に日本で上演される。
本作は『サウンド・オブ・ミュージック』や『王様と私』などで知られるロジャース&ハマースタインが手掛けたミュージカル作品。1958年のブロードウェイでの初演時には主演の一人であるメイ・リーを日本人が演じるなど、アジア系俳優が多く出演したことでも知られている。1961年には映画化され、2002年にはリバイバル版が誕生した。
この度日本で上演されるリバイバル版では演出に上島雪夫、W主演に古屋敬多と桜井玲香を迎え、4月23日(土)に東京公演が開幕する予定だ。
本作の稽古場取材会&ダンスナンバーお披露目会が、4月4日(月)に都内稽古場にて開催された。稽古場には古屋敬多、桜井玲香、フランク莉奈、砂川脩弥、八十田勇一、彩吹真央、石井一孝らをはじめとするキャスト陣が姿を見せた。
キャスト一同が登場してすぐ、劇中から4つのシーンが披露された。
1曲目はこの作品の幕開けのナンバーであり、劇中で繰り返し登場するテーマ曲でもある「1億の奇跡」。中国で父(八十田勇一)を亡くしたメイ・リー(桜井玲香)は、船で新天地サンフランシスコを目指す。
“フラワードラム”を抱えた桜井が静かに歌い出すのだが、アンサンブルキャスト陣のスピード感あるダンスと共に、物語がドラマチックに展開していくのが印象的だった。
続いては、マダム・リャン(彩吹真央)がワン・チー・ヤン(石井一孝)を説得し、ゴールデン・パール・シアターをクラブ・チャプスイとして生まれ変わらせようとするシーン。物語の舞台となるサンフランシスコのチャイナタウンの賑やかな様子が手に取るように伝わってくる、心躍る場面だ。彩吹演じるマダム・リャンのエンターテイナーっぷりも見事。
その後も楽しいナンバーが続く。ワン・チー・ヤン(石井一孝)がショーの主演の座を奪って歌い踊るという、ドタバタコメディ感たっぷりのショーシーンだ。石井のコミカルな芝居はもちろん、ナイトクラブのスターであるリンダ・ロウを演じるフランク莉奈による華のあるパフォーマンス、バックダンサーに扮する砂川脩弥のコーラスにもご注目。
最後に披露されたのは、ワン・ター(古屋敬多)とメイ・リー(桜井玲香)による二人だけのシーン。メイ・リーの前だと素直になれるワン・ターが、彼女への想いを込めてバラードを歌い上げる。古屋の甘く伸びやかな歌声が稽古場に響き渡り、劇場空間ではどんなにロマンチックなシーンになるだろうかと期待に胸が膨らんだ。
4つのシーンの披露を終えると、古屋敬多、桜井玲香、フランク莉奈、砂川脩弥、八十田勇一、彩吹真央、石井一孝らによる囲み取材が行われた。
ーー稽古場の雰囲気はいかがですか?
古屋:まだ(稽古が始まって)10日くらいなんですけど、1ヶ月分くらいの内容が既に進んでいるような気がします(笑)。
石井:スピード早いからね。
古屋:1日で数10ページ進んじゃって、短いスパンでギュッとやってます。
石井:試されてるよね俺たち! 「できるよね?」みたいな(笑)。
古屋:そうなんですよ(笑)。一つ一つを真剣にやらないと置いていかれそうになるというか。なので必死に食らいつこうと思っています。
石井:でもチームワークがでてきてどんどん仲間になって、同じ船に乗っている運命共同体的な絆ができてきたよね。
古屋:みんなで深め合うというか、「ここはこうじゃないか、ああじゃないか」みたいにね。ここ(石井と古屋)は親子の関係なので。
石井:喧嘩ばっかりしてるよね(笑)。
古屋:そうですね(笑)。本当に前半は……っていうか最後まで喧嘩しかしてないっていう(笑)。
石井:喧嘩している中に、愛が溢れ落ちているのを観ていただけると。
ーー今回演じる役との共通点や、全く反対だなと思うところはありますか?
桜井:まだ作っている途中なので、これから変わってくると思います。役を作ろうとあまりせず、自分の感情のままに動いたらきっとメイ・リーという女の子ができるのかなと思っています。私の今のメイ・リーのイメージは、割と昔ながらの一歩二歩男性の後ろに下がってついていくような女の子。私は普段、挙動がゆったりではなく「テテテッ」と動いちゃう感じなので、そこはもうちょっと女性らしく作っていきたいなという願望があります(笑)。
彩吹:共通点としてはショービジネスの世界で一生懸命生きている、いろんな方々を楽しませたいというところが、特に一緒かなと思います。あとは、ショーやエンターテインメントはどの国でもどの時代でも、こういう状況でも絶対に信じるものがあって、「楽しんでもらって幸せになってもらいたい」という想いがマダムの根底にあるのだろうなと思うので、そこは外せない共通点かなと。相反するところは今のところないですね。中華料理も好きですし(笑)。お稽古していたら中華料理食べたくなりません?(笑)
一同:わかります!(笑)
彩吹:そこも一緒だなと思うので、中華料理も堪能したいなと思います(笑)。
ーー本作はコメディ要素もあるミュージカルということですが、現時点での見どころを教えてください。
古屋:登場人物がみんなすごく個性的なので、例えるなら動物園のよう(笑)。ものすごくパンチがあるし、それぞれバックボーンもあって。ワンさん(石井)は特にすごい人生を歩んでいますね。
石井:俺、ライオンかな(笑)。
古屋:そうですね(笑)。稽古場自体が楽しい雰囲気でやっているので、コメディの要素はもっと出てきそうだなと思います。
八十田:コメディ要素の一番の見所は、先程見ていただいた石井一孝さんの歌です(笑)。あそこは稽古場で毎度爆笑しています! 僕もみんなの笑いの反応を見ながら稽古場でいろいろと試しています。元々ラブコメなので、コメディ要素はいっぱいです!
ーー開幕に向けて、それぞれ意気込みを一言お願いします。
古屋:気づけば本番のステージの上なんだろうな、というスピード感で進んでますね。あとは、感染対策をしっかりやって、本当に幕が上がるのが一番の目標だなと思っています。みんなで気をつけて、本番を目指して頑張っていきます!
桜井:この作品のオリジナル版ができてから結構時間が経っていて、音楽やストーリーなどクラシカル要素が強い作品なんです。けれど今回上演するのはリバイバル版ということで、オリジナルよりもかなりラブストーリーの要素が強くなっているかなと。いろんな社会問題も色濃く描かれていますし、普段あまり舞台を観ない方にも気軽に見ていただけるようなわかりやすいストーリーになっています。かつ、オリジナル版のクラシカルさもしっかり残っているような、本当に素敵な作品になっています。ぜひぜひ、いろんな方に観ていただきたいなと思います。精一杯頑張ります!
フランク:私が演じる役はクラブ・チャプスイのスターダンサーで、自由奔放で強い女性です。スターということで、大先輩のみなさんの背中を見て吸収できるものを全部吸収して、ちゃんとスターになれるように役作りしていきたいなと思います。すごくテーマ性の強い作品だと思うのですが、楽曲はとてもハッピーなものが多くてすごくワクワクするような世界観なので、みなさんに楽しんでいただけたらいいなと思います。劇場でお待ちしています。
砂川:本当に素敵なキャストさんとスタッフさんに囲まれて、僕は精一杯食らいついて、自分が持てる力を100%出せるように努力するのみだと思っています。稽古で気づいたんですけど、ミュージカルで歌って踊っていると、自然とすごい笑顔になってリズムに乗っている自分がいるんです。そういう明るい作品だと思うので、観に来るお客様もしっかり笑顔にしたいと思います。
八十田:チンさん役の八十田です。僕、ジャニーズのふぉ〜ゆ〜のメンバーからはなぜかずっと“チンさん”って呼ばれていまして。このお話をいただいたときに、ふぉ〜ゆ〜のメンバーに「チンさん役きたで! お前らのお陰やで!」って言ったらえらい喜んでくれました(笑)。ふぉ〜ゆ〜のみなさん観に来てくださいね〜! 頑張ります!
彩吹:何よりもこの作品がロジャース&ハマースタインの作品で、本当に王道のミュージカルだなということを感じながら稽古しています。楽曲の素晴らしさはもちろんですけれど、古風なところと、今この作品を上演するという新しい部分がミックスしたような楽しめるミュージカルです。クラブ・チャプスイのように東洋と西洋を混ぜ合わせた魅力をお伝えするシーンがたくさんあり、新しいものと古いものを対比しつつも、混ぜ合わせていく良さというものも楽しんでもらえると思います。お稽古場でみなさんの笑顔が絶えないことが私の元気の源になっているので、それをお客様お一人ひとりにお伝えできればと思います。ぜひ劇場に足をお運びください。
石井:ロジャース&ハマースタインという、ミュージカルの歴史の中でも屈指の輝きを放つ名コンビの作品です。僕はリチャード・ロジャースさんの作品は4本目。西洋人の作曲家ですが東洋的な題材を好んでいて、彼自身そういうメロディが好きだったのかなと思っています。すごくシンプルなメロディで、ものすごく難しい。そこに挑む喜びを感じております。そして今回感じるのは、キャスティングが見事にハマっていることなんですよね。みんなナイスな持ち場を与えられて日々輝きが増している。日本は今苦しい状況ですけれども、もし状況が許すのでしたら、夢と希望のある作品ですのでぜひとも劇場に足をお運びいただけましたら幸いです。
取材・文・写真=松村 蘭(らんねえ)

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