小池徹平、黒羽麻璃央らが、それぞれ
の正義と信念が交差する原作屈指の人
気エピソードに挑む ミュージカル『
るろうに剣心 京都編』制作会見レポ
ート

明治時代の日本を舞台に、新撰組や紀尾井坂の変、池田屋事件といった史実とオリジナルストーリーを組み合わせた和月伸宏原作の剣劇漫画『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』。1994年より「週刊少年ジャンプ」にて連載し、2017年からは続編の『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚・北海道編-』が「ジャンプSQ.」に掲載されている。シリーズ累計発行部数は7200万部を超え、アニメや小説、実写映画、舞台と様々なメディアミックスがなされてきた。今回は、数々の人気ミュージカルを手掛けてきた小池修一郎が、特に人気の高い“京都編”を新作として書き下ろし、客席が360°回転するというユニークな機構を持つIHIステージアラウンド東京で上演を行う。
今年俳優デビュー20周年を迎える小池徹平を主演に、若手からベテランまで個性豊かな実力派キャストが顔を揃えている本作。2022年5月17日(火)からの公演に向けて制作発表会見が行われた。
  (c)和月伸宏/集英社
まずは小池徹平演じる剣心の殺陣からスタート。剣心と志々雄が対峙し緊張感が漂う中戦いが始まり、現れた敵を剣心が鮮やかに倒していく。小池は軽やかな身のこなしと鬼気迫る表情、重みのある剣戟で、かつて“人斬り抜刀斎”と呼ばれた剣心の凄みを表現。ふっと緊張が和らいだ瞬間の穏やかそうな雰囲気とのギャップが、底知れなさを感じさせる。まだ稽古が始まって一週間程度とのことだったが、迫力満点の殺陣に公演が楽しみになった。
  (c)和月伸宏/集英社
  (c)和月伸宏/集英社
  (c)和月伸宏/集英社
ーーまずはお一人ずつ意気込みを教えてください。
小池修一郎(脚本/演出):2020年に企画していましたが延期となり、2022年、改めて集結しました。IHIステージアラウンド東京という劇場を活かし、より面白いものを作ろうとスタッフ一同で試行錯誤しているところです。“京都編”は剣心とたくさんのキャラクターが出会い、日本に幸せと平和をもたらすための戦いを繰り広げる物語。ここ最近の世界情勢などもあり、『るろうに剣心』はいろいろな要素が混ざった楽しく面白いスペクタクルであると同時に改めて考えさせられる、心に残る作品だと感じました。そういったメッセージも伝わったら良いと思っています。また、この企画のお話をある演劇界の方に話した時に、「小池徹平くんは本当にいい座長になるだろうね」と言われて。芝居も歌も殺陣もなんでもできるし、謙虚で真面目なところや純粋さなど剣心と共通する部分がすごく多いんです。剣心という役に要求する純粋さを体現できる役者さんということで、是非皆様に観ていただきたいところです。
(左から)鈴木梨央、井頭愛海、小池徹平、岐洲 匠   (c)和月伸宏/集英社
緋村剣心役・小池徹平:先ほど殺陣を見ていただき、中々激しいことは分かっていただけたと思いますが、この作品はミュージカル。小池先生から「このあとすぐ歌え」と言われたら喧嘩するかもしれません(笑)。稽古が始まってまだ1週間程度ですが、激しい殺陣や素敵な音楽がどんなふうに融合するか、カンパニー一同今から楽しみにしています。僕は今日の殺陣のことで頭がいっぱいだったので、ようやく今日から稽古に溶け込めるかなという気がしています。みんなで素晴らしい作品を作っていきたいと思っていますので、最後まで温かく見守っていただければ嬉しいです。
志々雄真実役・黒羽麻璃央:前回は中止になってしまいましたが、心の中の灯みたいなものはずっと消えず、いつか必ずと思って過ごしてきたので、こうして稽古が始まり、制作発表ができて本当に嬉しく思っています。僕自身も原作ファンで、志々雄真実を演じられるのは感慨深いです。あとは少しでも早く包帯の暑さに慣れないと。分かりづらいでしょうが、この下は汗びっしょりなので(笑)。歌も殺陣もお芝居も盛り沢山ですが、根を上げることなく頑張りたいと思います!
瀬田宗次郎役・加藤清史郎:2020年に公演が中止になり、そこから2年経ってパワーアップしています。小池先生もおっしゃったように、“京都編”はたくさんのキャラクターが剣心と対峙し、それぞれの意志や正義をぶつけ合って成長していくストーリーです。僕が演じる瀬田宗次郎も、少年なりに成長していくので注目していただきたいですし、360°客席を囲むIHIステージアラウンド東京でしか見られない作品をお届けできるよう精進します。
相楽左之助役・岐洲匠:2年前以上にパワーアップしたいと思い、筋トレをしっかりして5kg増やしました。今ちょうど佐之助ぐらいの体重ですが、僕の方が左之助より身長が高いのを踏まえて公演までにあと2kgくらい増やせたらいいなと思っています。稽古を通して自信を付け、佐之助よりも左之助になれるように頑張ります!
神谷薫役・井頭愛海:私は今回が初舞台で初ミュージカル。芸能界入りのきっかけが、ミュージカルを見て憧れを覚えたことだったので、こうして挑戦させていただけることが本当に嬉しく、稽古をがむしゃらに頑張りたいと思っています。薫は明るくぶれない心を持っている女の子。彼女の強さや可愛らしさ、剣心を思う気持ちなどをうまく表現できるように頑張りたいと思います。
巻町操役・鈴木梨央:私も初めてのミュージカルなので不安もありますがワクワクも大きいです。操という役と向き合い、お稽古で学んだことを吸収してステップアップできるよう頑張るので、是非楽しみにしていてください。
駒形由美役・伶美うらら:たくさんのファンの方がいらっしゃる人気の作品に出演できる喜びと、いよいよ始まるというワクワクでいっぱいです。駒形由美の妖艶さと一途な思い、彼女の生き様をしっかり演じられますよう、お稽古に努めて参りたいと思います。
斎藤一役・山口馬木也:岐洲くんが5kg増やした話をしましたが、僕は逆に足腰膝が心配で少し落としました。僕が小さい頃は漫画やアニメばかりだとバカになるよと言われていましたが、今や日本を代表する文化。さらに『るろうに剣心』は文化に貢献した草分け的な作品のひとつではないでしょうか。だからこそ、ファンの皆さんの思いも強いと思うので、できるだけ丁寧に、慎重に役を作っていけたらと思っています。あと、小池先生を除くと僕がカンパニー最年長。若い人たちの足を引っ張らないように精一杯、千秋楽まで駆け抜けたいと思っています。
比古清十郎役・加藤和樹:僕は今回からの参加ですが、多くの公演が中止になる中、こうして再び幕が開くのを嬉しく感じます。みんなの思いを背負い、自分の役割をしっかりと果たしたいです。僕が演じる比古は、剣心に奥義を伝授する大変な役割があります。時代は違いますが、人が何のために生き、何を残していくのかは現在にも通ずることだと思います。比古が飛天御剣流を剣心に託すように、この舞台に立つからには、次の世にも残っていくような作品を共に作りたいと思っています。
また、制作会見にあたって原作の和月伸宏よりコメントが寄せられた。
和月伸宏:『るろうに剣心』の舞台化は宝塚版、前回と続き3回目の今回は満を持しての京都編。原作でも人気の高いパートですが、登場人物が多く、場面転換は目まぐるしく、筋書きも複雑で舞台化はちょっと難しいのではないかと打診当初は思いました。しかし、名も実もある素晴らしい俳優陣とスタッフ、演劇好きの妻がベタ褒めする素晴らしい劇場、3回目とあって益々冴え渡る小池先生の素晴らしい辣腕と、素晴らしいの揃い踏みで、今では公演が待ち遠しい限りです。コロナ禍という大困難の中、実現に向けて尽力してくださった関係者各位の皆様に心から感謝します。自信を持ってお送り出来るエンターテインメント ミュージカル『るろうに剣心 京都編』、感染対策をバッチリきめて是非劇場にお越しください。
(左から)加藤清史郎、黒羽麻璃央、伶美うらら   (c)和月伸宏/集英社
ーー小池修一郎先生におうかがいします。『るろうに剣心』のミュージカルは今回3回目となりますが、ポイントと見どころはどこでしょうか。
小池:和月先生のコメントにもあった通り、今回はキャラクターも場面も多い。かなり圧縮し、色々な人たちが次々に歌いながら展開していきます。そして、音楽は太田健さんに加えて2.5次元ミュージカルなどで活躍されている和田俊輔さん。ちょっとカジュアルでポップな要素が増えたと思います。見どころとしては、やはり立ち回りのバリエーションですね。アクション監督の栗田政明さんがすごく頑張ってくれています。また、IHIステージアラウンド東京という劇場そのものが持つ魅力が京都編とリンクしています。お客様が劇場にいながら剣心たちと一緒に旅しているような感覚を味わえるんじゃないかと思います。
ーーこの場で殺陣をしてみていかがでしたか?
小池:正直とても緊張しましたし、同時にすごく達成感もあり、ワクワクもしました。本番ではもっとクオリティの高いものを皆さんにお見せできると思っています。今日の殺陣も、現時点で自分ができる最大限を発揮したので、すごく気持ちよかったですし、楽しそうだと思ってくださる方が1人でもいたら嬉しいです。
(左から)山口馬木也、加藤和樹、小池徹平、黒羽麻璃央   (c)和月伸宏/集英社
ーー衣裳を着てみての感想は。
小池:まず、包帯ぐるぐる巻きじゃなくてよかったなと(笑)。すごく素敵な色合いの着物というのもありますが、殺陣をしていてすごく動きやすいんです。それも考えて作ってくださっていると思うんですが、服も髪の毛も全く邪魔にならない。より楽しみが増えたというか、剣心を演じる上で気持ちを上げてくれる衣裳です。
黒羽:そうですね、通気性がいいです(笑)。結構きちっとした衣裳なので、2年前に作った時とサイズが変わっていたらどうしようかと思いましたが、無事に着ることができて安心しました。本番をやっているうちにフィットしていくと思うので、とにかく慣れですね。
伶美:久しぶりにお着物を着させていただいきました。色っぽい役なのもあって緊張感があります。日本ものですので、裾捌きや所作を丁寧に演じていけたらと思っています。
加藤:見ての通りマントです。軽すぎると説得力がなくなるのである程度の重みは残してもらっています。まだ衣裳での立ち回りをしていないので、やってみながらですね。衣裳に着られないように役を作っていこうと思っています。
ーー最後に、小池徹平さんからメッセージをお願いします。
小池:素敵な劇場で、このメンバーでできるという喜びを噛み締めて、皆様に素晴らしい『るろうに剣心』をお届けできるように全力で励みたいと思いますので、応援よろしくお願いします!
(左から)鈴木梨央、井頭愛海、小池徹平、岐洲 匠   (c)和月伸宏/集英社
本作は5月17日(火)よりIHIステージアラウンド東京にて上演が行われる。
取材・文・撮影=吉田沙奈

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