小林柊矢

小林柊矢

【小林柊矢 インタビュー】
初EPで初CD作品ということで、
ここがひとつの出発点

演技がしたい! 
なんならずっと主演をやる(笑)

一曲一曲に強い思い入れがあると思いますが、2曲目の「君のいない初めての冬」は記念すべきメジャーデビュー曲でもありますね。

この曲はメジャーデビューするという話を聞いてから、“じゃあ、メジャーデビュー曲はどうしようか?”と考えて…まぁ、言い方はあれですけど“狙いにいった”曲なんです。レンジでもロングトーンでも、僕自身の声を一番生かせるところはどこかというのを考えて、自分の良さが一番引き立つ曲にしました。

ストックの中から選んだんじゃなくて、メジャーデビューに向けて作った曲だったんですか?

はい。名刺代わりの一曲になるので、結構プレッシャーはありましたね(笑)。でも、自分が思う“自分らしさ”とか“自分の声の良さ”を感じてもらえる曲がいいと思ったんです。この曲、僕の中では珍しいことなんですけど、メロディーが降ってきたんですよ。ギターを持った瞬間に“あっ、すごくいい!”って感じで降ってきたので、メジャーデビュー曲になるべくして生まれた曲だと勝手に思っています(笑)。

MVはストーリー性がある作品ですね。

撮影の時、雪に見立てた泡が出ていたんですけど、めちゃくちゃ興奮しました(笑)。風が吹いたりして何度も撮り直したんですけど、完成したものを観たら一本の映画を観た時のような満足感があって、素晴らしいMVにしてもらえたなぁって。

MVと言えば、2ndデジタルシングルでもある「レンズ」(2022年1月発表)も面白い映像作品ですよね。正面を向いて歌っている中でストーリーが展開していくという。

この撮影もすごく楽しかったです。時系列はバラバラで撮ったので、撮影現場では監督さんから“ここはこうしてください”と言われるがままにやっていたんですけど、完成したものを観たらつながっていた…腕の位置とかも、ストーリーも全部! 田中のぞみ監督が撮ってくれたんですけど、僕の曲をすごく理解してくださっていて、僕の曲の良さを最大限に表現してくれています。ちなみに、今回のEPのリード曲になっている「死ぬまで君を知ろう」のMVも撮っていただきました。

「レンズ」は主演というかたちでの出演なので、「君のいない初めての冬」と「死ぬまで君を知ろう」とは立ち位置が違っていて。

撮影が大好きで、自分が出てないシーンもずっと観ていたいぐらいなんです。なので、主演という感じで出させてもらえたのは嬉しいですね。

せっかく自分の曲のMVですからね。

そうなんです! もっと出たいです! 演技がしたいんです! なんならずっと僕が主演をやりますよ(笑)。

演技は照れくさいというミュージシャンの方もいますが、むしろ小林さんは“出たい”と。

はい!(笑) あっ、でも、「レンズ」での撮影は照れましたね。“あれも演技ですよ”って言いたいところですが、恋愛経験も少ないですし、本気で照れていました(笑)。

MVもすごく楽曲の世界観を表していますよね。タイトルや歌詞もそうですが、どういうところからインスピレーションを受けたりしていますか?

やっぱり恋愛経験も少ないですし、まだ21歳なので、幅広い年齢の方に響かせる歌は僕の経験だけではまだ拙いので、本を多く読むようにしています。本を読んでいろんなものを吸収して作品にするという感じです。歌詞を作る時は…それこそインディーズでのデビュー曲が「ドライヤー」(2020年8月発表)だったりするんですけど、今回のEPにも入っている「レンズ」とかもそうですが、物の名前をつけてから、そこから膨らませていったりとか、いろいろ工夫しています。

物の名前以外にも「死ぬまで君を知ろう」や「私なりの」とか、どんな曲なのか興味を引くようなタイトルの曲も多いですよね。

「死ぬまで君を知ろう」は曲名だけ見るとすごく壮大な感じがしますよね? でも、つき合いたてで、隣の助手席で眠る君を見て、“君のことを知りたい”と心の中で密かに決心する小心者の主人公の歌なんです(笑)。どちらかと言うと壮大じゃなくて、等身大ですね。

「私なりの」は?

この曲は『キレートレモン Wレモン』のWEB CMになっているんですけど、初めて書き下ろしに挑戦したんです。“主人公はこういう人物で、Bさんという方がいて〜”というふうにCMに関する設定をいただいて、それを受けて書きました。すごくいい経験でしたね。最初、“ずっとダメダメな自分”で書いていたんですけど、“モチベーションを上げる”というのがCMのコンセプトということで、最後に《私なりの明日へ》というフレーズを入れて前向きな感じで締めました。方向性は修正しつつも、ちゃんと僕らしくもある曲になったかなって。日々葛藤している自分を表現できましたし。タイアップに関しては、どれぐらい曲に接点を持たせたらいいのかっていうバランスが難しいと感じましたね。そのあたりはこれから勉強していきたいと思います。

7曲目の「僕が君の前から消えた時」はボーナストラックという扱いですが、これは?

16歳の時に作った曲で、僕の人生で3番目に作った曲になります。拙い歌詞だったり、メロディーも直したいところがあるので、今回入れるかどうか悩んだんですけど、その当時は自分が一番いいと思って作った曲ですし、二十歳までの等身大の僕を詰め込みたかったので、成長記録として入れることにしました。新しい要素としては、僕の歌を普段から聞いてくださってるGeGさんにアレンジしていただいたので、そういう意味では新しく生まれ変わった曲でもあります。

かかわっていると言えば、「君のいない初めての冬」「レンズ」「死ぬまで君を知ろう」はアレンジと鍵盤をトオミヨウさん、ドラムが伊藤大地さん、ベースが隅倉弘至さん、ギターが秋山浩徳さんといったミュージシャンの方が参加されていますね。

トオミさんはJ-POPの帝王みたいな方じゃないですか。僕が尊敬する秦 基博さんの作品にかかわられていたり、石崎ひゅーいさん、あいみょんさん、菅田将暉さんとか、僕が聴いてきたアーティストの方の作品に携わっていて、僕の曲もお願いしたくて今回オファーさせていただきました。で、完成したものを聴いたら、僕が好きで聴いてきた音楽の世界観が感じられて、本当に感動しました。玉置浩二さんのライヴに行った時、トオミさんがキーボードを弾いていて、秋山さんがベースで、ストリングスが吉田宇宙さんだったんで、玉置さんのライヴを作っている方が僕の作品にかかわっていただいてるなんてめちゃくちゃ豪華ですよね!恵まれた環境で音楽をやらせていただいています。

6月には初めてのツアーが予定されていますが、どんなライヴになりそうですか?

1stワンマンライヴをやった時は曲数が足りなくてカバー曲を入れたりしたんですけど、今回はEPをリリースしたあとということもありますし、曲も増えたので全て自分の曲で構成したいと思っています。今、“#あの頃ソングチャレンジ”というのをSNSでやっていて、思い入れのある曲をSNS上でカバーしたりしているんですが、カバー自体は好きですし、僕のことをカバーで知ってくれた方も多いと思うので、いつかカバーライヴというのもやってみたいですね。自分の曲はいろいろ考えすぎちゃうので、人の曲のほうがうまく歌えるんです(笑)。でも、今回のツアーではEPに入っている新しい曲もしっかりお届けするので、たくさんの方に観に来てもらえると嬉しいです。

取材:田中隆信

EP『あの頃の⾃分に会えるなら』2022年3月23日発売 UNIVERSAL J
    • 【初回限定盤】(CD+DVD)
    • UPCH-7610
    • ¥3,500(税込)
    • 【通常盤】(CD)
    • UPCH-2239
    • ¥2,300(税込)

ライヴ情報

『⼩林柊⽮ 1stワンマンツアー 〜みんなに逢いにいきます〜』
6/05(⽇) 東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
6/10(⾦) 大阪・LIVE SPACE CONPASS
6/11(⼟) 愛知・伏⾒ライオンシアター

小林柊矢 プロフィール

コバヤシトウヤ:神奈川県相模原市出身のシンガーソングライター。「ドライヤー」「ハッピーエンドの前説」「大人になる前に」「茶色のセーター」「ありふれたラブソング」のシングル5曲と、ミニアルバム『オトナノカイダン』をインディーズで配信リリース。2021年11月に配信シングル「君のいない初めての冬」でメジャーデビューを果たし、自身の21歳の誕生日である1月には新曲「レンズ」を配信リリース。さらに、22年3月に1st EP『あの頃の自分に会えるなら』をリリースし、同作を引っ提げて開催した初の東名阪ワンマンツアーは各地ソールドアウトと盛り上がりをみせた。23年1月にドラマ『なにわの晩さん!美味しい美味しい走り飯』の主題歌「笑おう」を配信リリースし、2月には自身初のフルアルバム『柊』を発表。ハスキーで色のあるその声は老若男女を問わず聴く人を魅了し、支持を集めている。⼩林柊⽮ オフィシャルHP

「死ぬまで君を知ろう」MV

「レンズ」MV

「君のいない初めての冬」MV

アーティスト

OKMusic編集部

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