『また会える』春に想いを連れてくる曲5選!

『また会える』春に想いを連れてくる曲5選!

『また会える』春に想いを
連れてくる曲5選!

イベント収容人数の制限撤廃なんて話も聞こえ始め、例年以上に寒かった冬を経て、ようやく春がきましたね。春は出逢いと別れの季節と言いますが、“また会える時”に想いを馳せて未来を笑顔で待ちたくなる、そんな季節でもあるように思います。アーティストの作る、歌う、演奏する曲の裏には、いち人間としてのドラマだって、きっとあるのです。そんなことを感じて、個人的にグッとくる5曲をご紹介!
「風に吹かれたメロディ feat.前田耕陽」収録アルバム『MOUNTAIN MAN』/高橋和也
「ハジマリノウタ」収録アルバム『Wonderland For The Lost Children』/ALICE IN MENSWEAR
シングル「hal [ハル]」/FANATIC◇CRISIS
「LA VIE EN ROSE」収録アルバム『LA VIE EN ROSE』/D'ERLANGER
シングル「HURRY GO ROUND」/hide with Spread Beaver

「風に吹かれたメロディ
feat.前田耕陽」(’22)
/高橋和也

「風に吹かれたメロディ feat.前田耕陽」収録アルバム『MOUNTAIN MAN』/高橋和也

「風に吹かれたメロディ feat.前田耕陽」収録アルバム『MOUNTAIN MAN』/高橋和也

今や、俳優としてイメージがすっかり定着している高橋和也だが、元・男闘呼組のメンバーであり、そのメンバーたちとの再会の中で生まれた想いから作られたというのがアルバム『MOUNTAIN MAN』。中でも、ハープとオルガンの音色がとりわけノスタルジックな気持ちにさせる「風に吹かれたメロディ」は、同じ男闘呼組メンバーの前田耕陽が作曲・演奏で参加している。幼い日の帰り道を連想したという歌詞だが、実体験だという《電話するのが怖くて 頭の中で 話したい事をリハーサル》《どうにか勇気をふり絞り 君のアドレスに触れてみた》、アドレスに触れるって、この数年だよね? 昔から変わらない、感情から発せられる艶やかな歌声の構成要素に、ひとつ新しいものが加わっていることに気が付いた。それは、ひとりで生きてゆくのはつらいから“僕のそばにおいで”ではなく《僕のそばにきておくれ》と言ってしまうとこにも表われている“やさしさに満ちた愛情”だ。今回、全11人のミュージシャンが参加しており、その中には原田喧太やうじきつよしと並んで、自身の息子ふたりがユニットを組むTokyo Plastic Boyや成田昭次の名前も。成田のギターで歌い、ハモル声は胸熱(泣)。《君とも一度 歌いたい》という願いは、きっと叶ったんだよね? 何の躊躇もなく“君”のアドレスに触れられている今を想像して、こちらまで嬉しくなってしまう今日この頃です。

「ハジマリノウタ」(’19)
/ALICE IN MENSWEAR

「ハジマリノウタ」収録アルバム『Wonderland For The Lost Children』/ALICE IN MENSWEAR

「ハジマリノウタ」収録アルバム『Wonderland For The Lost Children』/ALICE IN MENSWEAR

2019年にヴォーカリスト michi. (ex.MASCHERA/S.Q.F)とギタリスト KOJI (ex.La'cryma Christi/ALvino) のふたりで始動させたALICE IN MENSWEAR。“永遠の少女性”と“スチームパンク”を融合させた世界感とはまた、アーティスティックなmichi.ならではの発想だ。1stアルバム『Wonderland For The Lost Children』収録の「ハジマリノウタ」は、ワルツの三拍子と無国籍感という、ユニットのコンセプトにも重なるような幻想的な映像が浮かぶ世界感広がる名曲。作曲者のKOJI曰く、作ろうと思って作ったのではなく、いわゆる降りてきた曲なのだとか。そのKOJIが2020年に患った病の現状報告が、先日オフィシャルで公開された。それを見た後浮かんだのが“始まりに至るまでに経てきた悲しみや痛みだったり、そういうものを乗り越えて得た浅くない始まりであり、自分がここから始めるぞって思ったところが本当のハジマリ”、そういう想いを込めたというこの曲でした。4月17日に行なわれる配信ライヴ『KOJI生誕祭』では、新しい試みの演奏スタイルが予定されているとのこと。闇を砕き同じ七色を見つめて、ふたりで奏でる暦のユニゾンのハジマリは、まだこれからなのかもしれない。

「hal [ハル]」(’01)
/FANATIC◇CRISIS

シングル「hal [ハル]」/FANATIC◇CRISIS

シングル「hal [ハル]」/FANATIC◇CRISIS

1990年代後半、La'cryma Christi、MALICE MIZER、SHAZNAとともにヴィジュアル四天王と呼ばれたFANATIC◇CRISIS。ファッショナブルでカラオケで歌うととても気持ちの良い楽曲が多い、というのが個人的なイメージ。2005年に惜しまれつつ解散となったが、そのラストライヴと同じ今年の5月14日、石月 努(Vo)、kazuya(Gu)、SHUN.(Gu)の3人が一緒にステージに立つとのニュースが! 『転生 TENSEISM』と題し、FANATIC◇CRISISの聖地でもあった日比谷野音にて、RYUJIと徹はすでに音楽活動を退いており不参加のため、“FANTASTIC◇CIRCUS”という字面で見ると間違い探しのような(笑)名義での活動となる。2001年2月、春を待ち望む季節にリリースしたシングル「hal [ハル]」は、春先の少し柔らかくなってきた陽の光や芽吹き、そんなものを感じさせながら、未来にある“いつか”を笑顔で“また会おう!”そう言い放ってくれてるような、そんな前を向いたナンバー。時間の川が行き着いた場所で、あの景色をまた歩いていく時が来たのかもしれない。余談ですが…写真集のロケでお世話になった際、早朝4時とか5時の集合だったので朝食におにぎりを用意したのだけれど…まったく足りなかったらしく、牛丼を買いに行ったとあとから聞き、20代前半男子のことを理解していなかったことを今更ですがここに謝罪いたします(苦笑)。

「LA VIE EN ROSE」(’89)
/D'ERLANGER

「LA VIE EN ROSE」収録アルバム『LA VIE EN ROSE』/D'ERLANGER

「LA VIE EN ROSE」収録アルバム『LA VIE EN ROSE』/D'ERLANGER

昨年末、古巣である音楽事務所DANGER CRUE(現MAVERICK DC GROUP)の40周年イベント『JACK IN THE BOX 2021』で、療養中だったkyo(Vo)がセッションパートにてサプライズで登場、声は出せないものの会場中のマスクの下に歓喜の表情をもたらした。その際に一曲だけ披露したのが、1stアルバムの表題曲でもある「LA VIE EN ROSE」だ。スリリングなギターにパンキッシュな跳ねるようなリズム隊、その上に乗っかるライオンのようなシャウト! 実は本編での演奏の際、kyoに代わってHYDEがこの曲を歌ったのだが、うまいとかカッコ良いとかそういうことではなくて、どのバンドでもどのパートでもそうかもしれないが、やっぱりオリジナルに勝るものはないのです。D'ERLANGERの曲には、kyoの声がいい。リリースから33年という年月が経っているが、今もなおバンドの代表曲として人気を博し、復活のわずか一曲に選定したこの曲。きっとこの先、唄うたびにあのシーンを思い出すのだろう。そして、2月にライヴで完全復活を果たし、3月より昨年からの振替+追加公演によるツアー『AGITO TOUR 2022 -REUNION 15th ANNIVERSARY』を開催中! この春、スウィートで極上な薔薇色の人生がまた花開く!

「HURRY GO ROUND」(’98)
/hide with Spread Beaver

シングル「HURRY GO ROUND」/hide with Spread Beaver

シングル「HURRY GO ROUND」/hide with Spread Beaver

春の兆しを感じる頃になると、毎年この曲を思い出す。急逝から5カ月後の1998年10月、デモのまま制作が止まっていた音源を、共同作業者であるI.N.Aをはじめとする仲間たちで完成させリリースされたシングル「HURRY GO ROUND」。そのため、後日発売された収録アルバム『Ja,Zoo』では、唯一hide本人がギターを弾いていない曲となった。輪廻転生を綴った歌詞が、当時シングル「ピンクスパイダー」とともに深読みされることも多かったが、アーティストの書く詩の世界を解読したら、正直言って怪しい人なんて山ほどいる、勝手に言ってろ。そんなことを思っていたものでした。それでもやっぱり、あまりのタイミングに最初の一文字から最後の一文字まで、泣ける要素しかない。2018年には彼の足取りをたどる同名のドキュメンタリー映画も公開。コロナ以降、感染リスクなどを考慮して収束までの間お墓参りの自粛が案内されているが、hideの墓石には、ご両親の息子への愛の言葉とともにこの曲の歌詞が刻まれている。芳しく眩い香りでひとつの季節を彩った、hideが旅立ってから24年。いまどこかで、きっとまた花となっていることだろう。だから、誰もが生き溺れてしまいそうなこんな世の中でも、必ず“また 春に会いましょう”。

TEXT:K子。

K子。 プロフィール:神奈川・湘南育ち。“音楽=音を楽しむ”ことを知り、好きな音楽の仕事がしたい!とOLをやめてオリコン株式会社に9年所属。旅行業界に転職後、副業で旅・エンタメ関連のWEBで執筆するも、音楽への愛が止められず出戻り人に。愛情込めまくりのレビューやライヴレポを得意とし、ライヴシチュエーション(ライヴハウス、ホール、アリーナクラス、野外、フェス、海外)による魅え方の違いにやけに興味を示す、体感型邦楽ロック好き。最近、最愛のバンドが復活してくれそうな気配にドキドキが止まらない。

OKMusic編集部

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