O★Zに重ねる、想いと歌声~『演戯「
ヴィジュアルプリズン」-月世饗宴-』
キャスト座談会

2022年4月9日(土)~4月17日(日)、東京・天王洲 銀河劇場にて上演される『演戯「ヴィジュアルプリズン」-月世饗宴-』。オリジナルTVアニメーション『ヴィジュアルプリズン』を原作に、ヴァンパイアたちによる“ヴィジュアル系ライブバトル”が描かれる。
稽古開始前に、本作に登場するユニット「O★Z (オズ)」のメンバーによる座談会を実施。結希アンジュ役・正木郁、ギルティア・ブリオン役の佐々木喜英、イヴ・ルイーズ役の健人、ロビン・ラフィット役の設楽銀河に、作品に懸ける思いを語り合ってもらった。
――稽古開始直前ということで、現在の心境や意気込みをお聞かせください。
正木:歌やライブがキーとなる作品ということで、とてもワクワクしています。僕自身も歌がきっかけでこのお仕事を始めたので、大好きな芝居と歌を両方お届けできる作品に携われることが本当に嬉しい。このような時期ではありますが、一つ一つの公演をしっかり皆様にお届けできるよう演じていきたいです。
佐々木:いちアニメ好きとして、原作をリアルタイムで見ていたんです。第1話でピアノを弾くギルと出会ったときからずっと「この役をやりたい!」と思っていましたが……まさか、本当に自分が演じられるとは。今の時点でどんな演出になるかはわかりませんが、僕自身も趣味でピアノを弾くので、ぜひ何かしらの形でピアノのシーンをいただけたら嬉しいなと思っています。
佐々木喜英
健人:イヴは僕にとって、今までに演じたことのない役柄。アニメではあの七海ひろきさんが演じられていたということで、特に歌の面ではプレッシャーを感じています。未知な部分が多いからこそキャラの追求が楽しみですし、まだ役者として知らない何かに出会えそう。稽古を進めながら、O★Z を作り上げる過程でイヴを作り上げていけたらと考えています。
設楽:この作品の世界観が非常に好き。うまく表現できないんですけど、しっとりした独特の雰囲気にもっとのめり込んでいきたいです。アニメでロビンを演じている堀江瞬さんとはプライベートで仲良くさせていただいているんですが、舞台化が発表されてすぐ「絶対見に行くから!」と連絡をいただきました。めちゃくちゃプレッシャーですが、頑張ります!
――“ヴァンパイア”“ヴィジュアル系”など心くすぐる要素が満載ですが、皆さんが感じる作品の魅力とは?
正木:キャラクターそれぞれの背景が描かれているところが好きです。特にアンジュは、他の(ヴァンパイアの)皆さんの物語に入っていって変化をもたらすキャラ。舞台という限られた尺のなかにギュッと詰め込むことは挑戦的で、完成できたらすごい作品になるはず。エンタメ要素がたくさん詰まっているので、どんなふうに形になるのかとても楽しみです。
健人:作品の舞台が現代に通じるところがあるから、ヴァンパイアという存在が「もしかたら、自分の周りにいるかも?」と自然と引き込まれるんですよね。自分がイヴの立場だったらどうするかと置き換えながらアニメを見ていました。
健人
佐々木:イヴは殺陣があるのかな?
健人:どうでしょう? 殺陣もですが、イヴの剣の出し方は結構衝撃的でした(笑)。
設楽:あのシーン、どうなるんだろう? アニメならではの描き方が、舞台ではどう表現されるんだろうっていうシーンがたくさんありますよね。
佐々木:アンジュの心臓のシーンとか。
健人:ダメージの受け方も気になる。
正木:衣裳の変化ってどう表現されるんでしょうね? ビジュアル撮影の時に気づいたんですけど、普段と歌の衣装がまったく違うキャラがいるじゃないですか。
佐々木:大変そうだよね。衣装だけじゃなく、メイクや瞳の色までも変化する。僕、自分が演じるキャラのカラーコンタクトを自分で用意させてもらうことが多いんですけど。
3人:へー!
佐々木:今回も用意したんですが、短い時間でどこまで早替えができるのかドキドキしています(笑)衣裳やメイクも、舞台ではどうなるのかは結構楽しみなポイントかもしれません。
左から 正木郁、佐々木喜英
――現時点での、演じるキャラクターへの印象をお聞かせください。まずは、主人公・結希アンジュについてはいかがでしょうか。
正木:歌が好きな気持ちとは裏腹に消極的だったアンジュは、ヴィジュアルプリズンに感化されて眠っていた気持ちが芽生えていきます。一見控えめながらも、不器用だけど正直でまっすぐなところが、O★Zの一員としての彼らしさなんだろうなと第1話で感じました。絶対的なカリスマ性を持つタイプの主人公ではないけれど、日常的に感じられる男の子だからこそ寄り添いやすい。決して遠い存在なわけではないところも素敵です。
健人:正木くんときちんとお話できたのは今日が初めてなんだけど、アンジュっぽさは感じてる。話聞いてて、人間味あふれるアンジュの一生懸命さを絶対表現してくれる方なんだろうなって思った。ごめん、なんかすごい上から目線のコメントで……。
正木:いえいえ! めちゃくちゃ嬉しいです!
――アンジュの運命を変えるのがギルティア・ブリオン。共鳴できる部分が多いとのことですが、どんなところが?
佐々木:アンジュと出会った時点のギルは、歌が歌えない状態。僕自身もケガで2年間休養していた時期があり、ギルを見ながらその時の感情が重なり、歌詞にも、何度も自分自身を重ねました。この役と巡り会えたことは、運命だと思っています。ギルの過去や思いを、皆さんにもお伝えできるように役作りをしていきたいです。
健人:本当にぴったり。アニメのギルを見ながら「これはヒデさんだ!」って思いました。
設楽:「やっぱり!」ってなりましたよね。
設楽銀河
健人:ビジュアルももちろんだけど、ギルもヒデさんもいざというときにみんなを支えてくれるタイプだと思う。
正木:僕、今日初めてお会いしたんですけど、本当にギルそのもの。声も素敵で、一緒に歌うシーンがすごく楽しみになりました。
佐々木:すごい褒めてくれる! プレッシャーを感じるけど、みんなのおかげで今は自信が満ちてきたよ(笑)。
――穏やかで面倒見の良いイヴ・ルイーズの役どころは?
健人:O★Zはメンバーそれぞれが過去に事情があり、歌えない状態にあった人たちが支え合うことでできたグループ。そのなかでもイヴは、サポート役のイメージが強い。僕自身はここ最近、一人で突っ走る役を演じることが多かったんですが、この作品ではみんなのために動けるようになりたいと強く思っています。最初は裏のないキャラだと思っていましたが、とても深い過去も持っている。アニメでイヴの過去が明らかになった回は怒涛の展開だったので、舞台ではどうなるのか楽しみですね。
正木:ビジュアル撮影を少し見させていただいたんですよ。個人的に、イヴはビジュアル的にも一番表現が難しそうなキャラという印象があったんですが……もう、本当に綺麗でびっくりしました!
健人:スタッフさんたちの愛がすごいんですよ。メイクも衣裳もかなり細かくこだわっていただいて。
正木:先ほどサポート役とおっしゃっていましたが、今こうしてお話させてもらっている時点ですでに僕たちに安心感を与えてくれている。イヴとしても健人さんご自身としても、僕たちにとって心の拠り所になりそうです。
正木郁
――ロビン・ラフィットはクラシック界で活躍する天使の歌声の持ち主。他の3人へどう関わっていくのかも見どころになりそうです。
設楽:ロビンは、明るくてみんなを引っ張っていく存在なのかなと。僕自身のこの無邪気さをプラスして、メンバーを引っ張っていけたらと思ってます!
3人:(笑)。
設楽:ロビンのエピソードは兄弟愛が描かれているので、兄弟間ならではの独特なつながりを大切に見せていきたい。僕にも2歳年下の弟がいるんですけど、やっぱり特別な存在なんです。弟であるロビンとは立場は逆ですが、好きすぎるあまり構いすぎて嫌がられてしまう経験はすごく共感できます(笑)。僕も弟が大好きなので……。
正木:役作りいらないんじゃないかってくらい、ロビンの天真爛漫さがすごく合ってますよね。
設楽:うん。アニメ見て、似てるって思ったところがたくさんあった!
健人:似てるし、被るんだよね。いい意味で図々しいところが。初対面の人の家に上がり込んでパンケーキ食べそうだもん。
設楽:それは否めないなぁ(笑)。
左から 設楽銀河、健人
――作品の舞台が“ハラジュク”ということで、原宿の思い出を教えてください。
正木:僕は初めて行ったのがたしか高校1年の時。小2から中3まで野球部で坊主頭だったので、高校デビューで伸ばした髪の毛にワックスつけて行きました(笑)。
佐々木:みんな通る道だね(笑)。
正木:母と一緒に行ったんですけど「原宿はスカウトが多いんだよ!」って(母が)すごく張り切っていて(笑)。母はK-POPなどいろんなグループが好きだったのと、僕自身も歌やライブ活動にあこがれがあったんです。母のアドバイスで、竹下通りは一人で歩きました(笑)。結果、本当に何社かスカウトしていただけたんです。その時は所属に至らなかったんですけど、初原宿の思い出です。
健人:おおー!
設楽:いいなー! スカウトされたことない! 僕は東京出身なんですけど、原宿はあんまり行かなかったなぁ。一回行って満足しちゃったのかもしれないです。
佐々木:僕も出身が東京なんですけど、原宿に行くようになったのが演劇の学校に通い始めた高校生くらいから。頑張って、おしゃれなお店で服を買ってました。実は僕も、中学まで野球部だったんですよ。
正木:そうなんですか!?
佐々木:僕は坊主ではなかったけど(笑)。スカウトされたのも高校生の頃だったし、正木くんと似てる部分が多くてびっくりしています。
健人:俺はね、竹下通りとアメ村のイメージがごっちゃになっちゃってる……。
設楽:大阪出身ですもんね。たしかに雰囲気が似てるかも。
正木:最近は原宿近辺に行ってないんですか?
健人:通ることはあるよ。ヴィジュプリ見てる最中は「ここ、アニメに出てた!」って思いながら通り過ぎてた。
――最後に、読者の皆様へメッセージをお願いします。
設楽:こういうご時世だからこそ、皆さんのなかに秘めた思いがあるはず。このヴィジュプリという作品にも歌への強い思いが込められているので、しっかり届けられるよう稽古していきます。ぜひ、見に来ていただきたいです!
健人:歌は、強く人の心に届ける武器にもなる。僕たちは舞台をきっかけに結成したばかりのグループですが、ここからしっかりとO★Zを作り上げて歌とお芝居をお届けします。同じ空間、同じ時間を共有するからこそ感じてもらえるものがあるはず。いろんな事情があり来場が難しい方もいらっしゃると思いますが、よろしければぜひ劇場までお越しください。
佐々木:今の世の中だからこそ、この奇跡のような作品を上演する大きな意味があると強く感じています。直接会うことが難しい状況がまだ続いていますが、素敵な歌が皆さんのもとへ届くように、魂を込めて千秋楽まで歌い続けたいと思っています。公演を楽しみに待っていてください。
正木:ファンの方々、携わるスタッフさんたちの作品への深い愛を感じています。舞台だからこそ生で見ていただける、肌で感じる『ヴィジュアルプリズン』を体感していただけるはず。120%楽しんでいただけるために、僕らは全力で準備をしていきます。作品、キャラクターの良さを1%でも多く楽しんでもらえるよう作っていきますので、より『ヴィジュアルプリズン』を好きになってもらえたら嬉しいです。
取材・文=潮田茗 撮影=池上夢貢

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