横田龍儀&高橋怜也「エーステは“全
力で頑張る”が永遠のテーマ」~MAN
KAI STAGE『A3!』ACT2! ~SPRING 20
22~ インタビュー

2018年の初演から約4年、MANKAI STAGE『A3!』が「ACT2!」として新章に突入する。まずはやはり“始まりの季節”の春組のターン! 春組を代表して佐久間咲也役の横田龍儀と碓氷真澄役の高橋怜也が4月の公演MANKAI STAGE『A3!』ACT2! ~SPRING 2022~に向け、エーステの魅力について語り合ってくれた。
ーー新たな季節に向けて再び動き出したエーステ。横田さんは初演から春組リーダーの咲也としてエーステカンパニーの歴史を全て見つめてきました。高橋さんは昨年12月に公開されたエーステの実写映画MANKAI MOVIE『A3!』~SPRING & SUMMER~(エームビ)から真澄役を務め、今作が初のエーステ参加となります。
高橋:はい。でもなんかもうすでに映画の時の「はじめまして」のあの緊張がホントに懐かしいくらいの感じ(笑)。
横田:そうだよねぇ。
高橋:春組のみんなは僕のこと瞬時に受け入れてくれていましたし、映画を経て今はもうすごく春組との時間が居心地いいというか……あったかくて、幸せすぎる!
横田:ハハハッ(笑)。でも僕らも最初は「どんな人が入ってくるんだろう」ってドキドキしてたもん。「いい子だったらいいなぁ」って(笑)。それで怜也が来て、みんなで「あ〜、良かったぁ」って。
ーー「いい子」でした?
横田:うん、そうですね。
高橋:わぁ……救われます。
横田:だからACT2!もすごく楽しみです。怜也くんは初めてのエーステなのでやっぱり緊張はあると思いますけど、僕たちも全力で支えますし、もちろん僕らも初めてのことがたくさん待ってるのでね。春組メンバーでいろいろ話し合いながら創っていけたらいいですね。
横田龍儀
高橋:はいっ。
ーーACT2!からは春夏秋冬各組のメンバーがそれぞれ5人から6人へと増えるのが一番大きな変化。春組に加わる新劇団員は卯木千景、演じるのは染谷俊之さんです。ストーリーラインの面白どころなど、どう受け止めていますか?
横田:台本はまだいただいていないんですが、原作を見る限り千景と監督のエピソードは描かれるのかな? と思っています……もしそのシーンがあったとき、ここから初めてエーステを観る方は「これは穏やかじゃないぞ」って思うんじゃないですか? 僕自身、原作ゲームをやってて「わ、急展開!」って焦りましたから。
高橋:(笑)。
ーー観てのお楽しみではありますが、確かにとてもスリリングな要素が……。
横田:でももちろん『A3!』らしいあったかい部分もちゃんとあるので、さらにエーステの面白さを堪能してもらえるんじゃないかなぁって思ってます。
高橋:原作ゲームでは真澄としてもちょっと大きなポイントになる“事件”があるんですけど……エーステでもそこが描かれることになったら、僕は僕と真澄の心とがもっとリンクするような気がしてるんです。真澄自身がMANKAIカンパニーに対する思いを強くしていく出来事、そこで真澄が変わっていく過程を感じることによって、僕のMANKAIカンパニーへの思いも強くなれるんだと思う。監督の前に初めて立つ今の自分と、少し成長してみんなの前にいる真澄が僕の中ではすごく重なるんです。それに本来の僕にはあまり真澄くんに似ているところがなかったりもするので……ほら、真澄って少し変わってる部分が——。
横田:いや。僕はその変わってる部分が一緒かなぁって思うけど?(笑)。
高橋:そんなことは……あれ?? でも(シトロン役の古谷)大和さんにも同じこと言われた気がするぞ……。
横田:でしょ。本人は気づきにくいかもだけど、怜也くん、真澄くんに似てると思うなぁ。例えばこう……ある瞬間、周りのことは置いておいてひとつのことにぎゅーっと集中していくところとかさ。そうやって集中できるのってポテンシャルが高い証拠でもありますしね。めちゃめちゃ視野が広いからこそ、緊張するとやるべきことだけに一点集中ができる、みたいな。それが真澄のあの一途さに通じてると思う。見てて思うもん、「実は同じだな。オモロイな」って。
高橋:あー、それ、本当に大和さんと全く同じ意見だ。すごっ。怖っ(笑)。
ーーみなさんしっかり高橋さんのことを把握してくれるようですね。
横田:そうそう(笑)。僕は一応怜也くんの先輩になるわけですけど、現場で怜也くんを見ていて「やっぱり緊張するよなぁ」とか「頑張ってるよなぁ」って思う気持ちは、咲也がお兄ちゃんっぽく真澄を見ているところに重なったりもして。だから自然といい関係性になれてる気がしますね。
高橋:はい、最高のお兄ちゃんです(照)。僕はもうホントに、それこそエームビの一番初めの段階から龍儀くんにいろんなことを教えてもらっていて。映画では新生春組旗揚げ公演『ロミオとジュリアス』をやったんですけど、その殺陣の稽古もずっと付き合ってくれたりとか、ホントにお兄ちゃんたる背中を、春組リーダーたる背中を見せてくれたので頼りにしています。
高橋怜也
横田:でも映画の舞台あいさつの時に「尊敬してる人は大和さんです」って言ってたよね?
高橋:え? え? 違いますよ。そんなの……わざとに決まってるじゃないですかっ。
横田:どんな「わざと」なんだよ! よくわかんないよ(笑)。
高橋:大丈夫です。心の中では龍儀くんのこと一番に思ってますから。
横田:ハハハッ(笑)。ま、いっか。
ーー千景役の染谷さんの印象はいかがですか?
横田:千景を染谷さんがやるって最初に聞いたときは「ワ〜〜、びっくり!」って感じでしたけど、お会いして、改めて「ぴったりだなぁ」って思いました。
高橋:(頷く)。
横田:共演するのは初めてなんですけど、お話ししてみると物腰の柔らかさとかノリのよさとかすごく感じて……僕からしたらまたお兄ちゃんが増えるなぁっていうイメージ。今の段階でいい感じの交流ができてますしね。この先の稽古でさらに6人の距離が縮まっていければいいな。物語的にはACT2!の最初はそこまで仲良くなってても…なんで(笑)、よき距離でのお芝居を作っていけたらと考えています。
高橋:僕ら5人、誰も染谷さんと共演経験がないんです。で、千景ってちょっとアンニュイというか……物語の序盤からちゃんと春組メンバーと交流はしているけれど、どうもホントは何考えてるかわかんないっていう空気があって、今の染谷さんがまさにその感じにハマってるんですよ! 何度かお会いして仲良くなれているけど、深いところはお互いまだ知らないことだらけだから……。
横田:確かにそうだよね。
高橋:はい。その“今だからの距離感”が、なんか初期の千景を体現しているようにも感じるんですよね。
横田:あー、もう役作りも始まってるのかもしれないぞ、と。
高橋:そうそう! その感じがなんか染谷さんってすごいなぁって、僕はワクワクしながら接してるんです。ちょっとエーステの中にいるみたいな感覚になれてて楽しいなぁって。
ーーACT2!に向けては演出の松崎(史也)さんとのお話もまだこれからですか?
横田:そうですね。ACT2!についてはまだです。でももう僕らは史也さんのことめちゃめちゃ信頼していますし、史也さん自身も僕らのことを信頼してくれているのが稽古場で常に伝わってくるので、僕らはそこでさらに互いの交流を深めながらまず自分たちがやれることを提示し、史也さんがそれに助言をくれるっていう形で今回も稽古は進んでいくはず。なので事前になにか不安に思うこととかは特にないですね。
高橋:僕は松崎さんとはエームビの事前稽古の時にお会いしてお話したくらいなんですけど、松崎さんは頭の回転がすごく速くて、とても頭のいい方だなぁと思いました。限られた時間の中でも演出家さんとしてすごい技量をお持ちなんだってことが、強く伝わってきました。
横田:史也さんはホント、すごいと思う。この人にはこう言ったほうが伝わるというのもすごく察してくださって、僕ら個々にわかりやすいように説明してくださるし、真摯に向き合ってくれて、絶対諦めない。事前稽古の時も怜也くんに「このタイミングでこれやってみて」とかって、サッとアドバイスしてたよね?
高橋:はい。芝居をするのにすごく落とし込みやすく伝えてくださるので、自分も早く松崎さんの演出を受けたい、早くがっつり一緒に舞台を創りあげたい! って思いが高まってます。稽古が始まるのがめちゃくちゃ楽しみです。
(左から)横田龍儀、高橋怜也
ーー『A3!』のすべての始まりは、芝居は全くの素人だった咲也が「たった一人でも舞台に立ち劇団を存続させよう」と決意したこと。エーステでは初演の頃、松崎さんが「龍儀は“下手くそな演技”が上手いんですよ」と嬉しそうにおっしゃっていたのも印象に残っています。そしてそこがあってこそ、舞台役者としてグングン成長していく彼の様子もまた観客の心にしっかり刻まれてきている。
横田:それ、よく言われました。でも僕……下手クソな芝居をやろうと思ってやっていたわけじゃなく、ただ一生懸命やってただけなんですけどねぇ。
高橋:そんな〜(笑)。
横田:ハハハッ(笑)。でもそのおかげもあって劇中での咲也の成長をみなさんに感じてもらえていたのならすごく嬉しいですし、史也さん自身も「咲也はちゃんと成長してるよ」って言ってくれてますし。だから回を重ねるごとに演出的なオーダーもだんだん難しくなってきてるのが僕自身も嬉しいんですよ。やっぱり演出家さんに「ここまででいいか」とか「これ以上できないかな」じゃなく、「ここまで目指して欲しい」みたいに思ってもらえる方が役者としてはありがたいですから。
ーーでは今回の咲也は?
横田:そうですねぇ……もう春組も第四回公演ということで、まだ舞台の難しさに向き合ってるってところはあると思うんですが、少し慣れてきたっていう感覚も表現しつつ、今回は千景との大事なシーンもあったりするのでお芝居の部分とはまた違う咲也の人間的な成長も見せていけたらなぁと考えています。あと、“全力で頑張る”というのがこの作品で咲也を演じる上でずっと持ち続けていくと決めている気持ちなので、それをまた今回も続けられたら。ひたすらに頑張りたいです。
ーー真澄としてはいかがですか?
高橋:エームビで春組の一員として真澄を演じましたけど、エーステはこれが初。これまで(牧島)輝君の演じてきた真澄はエーステの中に今でも確実に根ざしているし、輝君の真澄を好きで観にきてくださっていた方もたくさんいらっしゃるはず。そこで僕は……真似するってことは絶対ないんですけど、でも真澄というキャラクターの芯にあるモノは輝君が考えていたことも僕が考えているモノも同じなんだっていう気持ちはちゃんと大事にしたい。ただやっぱりACT2!になって大きなキーのひとつは千景が入ってくること。すっかりひとつになっている春組にさらに新しい分子が入り込んでくるっていう、その面をどれだけ違和感なく演じられるかが大事だと思うので……まずは僕がどれだけ春組として違和感なく居るかが大事ですね。初エーステというところを超え、すでにもうみんなが家族として受け入れてくれている中、真澄としてより自然に居る。“旗揚げからいろんなことを一緒に経て。今ここに辿り着いている真澄”として居たいとすごく思っています。
横田:うん、そうだね!
高橋:さっき言った真澄の“事件”も舞台で描くのかはまだちょっとわからないですけど、でも今まで監督に対しての気持ち以外は……自分のことは周りにあまり伝えて来なかった真澄が変化する重要な出来事が待ってる。そこにちゃんと向き合って、実は真澄ってこういう気持ちもあるんだよってところも見せられるように、大事に大事に表現していきたいです。
ーーエーステの魅力のひとつに劇団員たちが演じる“劇中劇”があります。今回の演目は第四回公演『エメラルドのペテン師』。
横田:劇の中に劇があるっていうのはお客様からしても「監督」から「MANKAI劇場のお客様」に変わる瞬間だと思うから、そういった違う見え方を一度に楽しんでもらえるのはいいですよね。
横田龍儀
高橋:僕は劇中劇って少しだけ気持ちが軽い……というと言い方は変かもしれないですけど……真澄として演じる中の劇中劇をやるにあたってはそこで一度碓氷真澄というキャラクターを脱ぎ去る、じゃないですけど真澄からまた違う役になったところで違う演目を演じていく変化って、またちょっと他の舞台作品とは違う面白さがありますよね。そんなこと、他の舞台じゃ絶対にない!
横田:うんうん。キャラがさらにまた違うキャラを演じてるっていうことだから……。
高橋:まるでマトリョーシカみたいですよ。
横田:パカッ! 
高橋:ハハッ(笑)。
ーーそこにさらに演じている人間=キャラクターとしての“心の声”が入ってくると、キャラとキャラが一瞬重なり合って、もうひとつマトリョーシカ状態が増えるという! 高度な表現ですよね。
横田:それは実際、難易度はすごく高い表現なんだと思います。でも僕はお客さんとしてエーステを観たとき、劇中劇に心の声が入ることによって「役者さんは今舞台上でこんなことを感じてるんだ」ってことがすごく身近に感じられるので、素直に「素敵な表現だなぁ」と受けとめています。
ーー実際、本番の芝居中に自分の心の声が出てくることって……。
横田:あります。ガンガン出ます。
高橋:へえぇ〜〜!
横田:特にこのお仕事を始めた頃とかは「やばい、次のセリフ出てこないかもしれない」とか「緊張する〜」とかってありました(笑)。でも最近は例えば「今、舞台上の誰かがちょっとノッてない気がする」って思って「ここのセリフ大きくしてちょっとアゲていくか」とお芝居を変えたり、客席が舞台に引きつけられてないかもしれない、場があったまってないぞって空気を感じたときに「よし、ここで引きつける!」って、気持ちを増量して演じていくことが多いかな。そういう意味での自分の心の声はよく聞こえてきます。なので、あれは役者にとってのひとつのリアルです。
高橋:僕はドキドキし過ぎて自分の心臓の音しか聴こえなくなる時、ありますね(笑)。めっちゃバクバク聴こえてきます。
横田:でもそれはいいことだよ。別のことに気持ちがいかなくて自分自身にしっかり集中できてるってことでもあるし。
高橋:なるほど。
横田:怜也くん、冬組第二回公演(冬組単独公演内)って観た?
ーー『主人はミステリにご執心』ですね。
横田:そう。あるシーンで紬の演じる役が暴れてみんなに取り押さえられて袖にはける、という流れがあるんだけど、みんなの心の声がそれぞれに入る中、紬はハケる直前に「あとは頼んだよ」という一言のみ。そこで紬だけ心の声がなかったのは役に熱中してものすごく集中してたからだっていう演出なんだけど──。
高橋:ええ〜っ。それは……うわ、すご……。
高橋怜也
ーー紬という役者の特性や演目の熱量も自ずと伝わってくる演出。非常に繊細な目配りですね。
横田:うん。でも役者じゃなかったら観てても気づかないところかもしれないんだけど……だからね、エーステはそういうところももうホントにすごくて。
高橋:すごい! すごいです! 僕、作品は観てたけど全然わからなかった……。
横田:それはだから怜也くんは多分、紬タイプなんだよ。
高橋:そっかぁ……。
横田:今までの公演、そんなところも気にして見返してみるのもね、いいと思うよ。
高橋:観たい! 観たいです! 今観たい!
横田:(笑)。心の声のセリフ通りにその前の芝居を創ってみると、違う表現が見えてくるっていうこともあります。「緊張した〜」が心の声だとしたら、その前にやっている殺陣なんかもちょっと硬くなった感じで見せておくと、「緊張した〜」って心の声が出た時にお客様に「そうか。だから殺陣があんなふうだったのか」ってわかってもらえるし。
高橋:確かにそうですよね。ああ、それは面白いなぁ。
横田:うん。面白いところたくさんあるよ!
ーー演劇を描く作品だからこその読み解き、表現、演じている側の手応えを感じられるのもエーステに関わる醍醐味。お話を聞いてこれまで以上にじっくりエーステを観劇し、改めてそこに息づく“舞台あるある”を客席から探りたくなりました。新作、楽しみです。
高橋:僕にとってはこれが初めてのエーステ。まずは真澄として監督の前に直接立てることにワクワクしていますし、すごく幸せに思います。もちろんめちゃめちゃプレッシャーもあるんですけど……真摯に『A3!』と向き合って、染谷さんも加わった春組の6人、そしてエーステカンパニーのみなさんと今まで作り上げてきたモノを大切にしながら素敵な作品にできるように頑張っていきたいです。よろしくお願いいたします。
横田:いよいよACT2!の始まり。新メンバーも増え、怜也くんは初めてのエーステに挑んでいく。本当に「また新しい世界が始まっていくな」って思いに満ちています。今までエーステを観てきてくださった方はもちろんですが、今回が初めてという人にも絶対楽しんでもらえる舞台にしたい。そして演劇が好き、お芝居が好きっていう人に全力で楽しんでもらえるように僕たちのACT2!を創り上げていきたいと思います。ぜひご覧になってくださいね。
(左から)横田龍儀、高橋怜也
衣装:小田優士
ヘアメイク:今井洋輔
取材・文=横澤由香   撮影=池上夢貢

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