L→R みすみしょうと(Dr&Cho)、RYO(Gu&Vo)、野口ゐうと(Ba&Vo)、竹村 駿(Vo&Gu)

L→R みすみしょうと(Dr&Cho)、RYO(Gu&Vo)、野口ゐうと(Ba&Vo)、竹村 駿(Vo&Gu)

【SNEAKIN'NUTS インタビュー】
アルバムを通して大前提に
“現実”がある

現実の中で生きるからこそ見られる夢が
ロックだと思っている

ちなみに作詞は駿くん、RYOくんのふたりで担当しているんですか?

駿
そうです。「孤独ノ炎」「RIP YOU OFF」「イカサマ天国」「DIRTY WATER BLUES」「伝染鳩」「ツキナミ」「Aishiteyamanai. Rock'n'roll. Band.」は僕ですね。作曲と作詞は同じ人間がやっています。

駿くんが手がけた1曲目の「孤独ノ炎」はライヴでもやっている曲ですね。アルバムの幕明けに相応しいリフものの王道ロックだなと。

駿
昨年の5月に新宿LOFTで『プロレタリア(の銀河の夢)』のツアーのファイナルがあったんですけど、その時くらいからやっています。最初は全然メロディックじゃない、Deep Purpleみたいな曲にしたかったんですよ。で、リフの繰り返しみたいな曲を作っていたんですけど、イントロができた時に、この曲はもっと幅広く多くの人に衝撃を与える曲にしなきゃダメだと思ったんです。
ゐうと
最初に聴かせてもらった時に“いいじゃん、このギター”って言ってたけど、それ以外は何も決まっていないって言われて(笑)。でも、そのギターが何かを期待させるものだったから、絶対にいい曲になるようにまとめていきたいっていうのはありました。

《孤独ヲ燃ヤセ》という歌詞はバンドの所信表明にも聴こえました。

RYO
分かりやすいですよね。“世間対僕ら”みたいな意気込みが表れていて。
駿
この曲は矛盾していると思うんですよ。《孤独ノ炎》なのに《俺達》と歌っていて。っていうのは、俺たちは4人で戦ってるけど、結局は人間って孤独だと思うんです。分かり合えるわけがない。それでも分かり合えることもあるから、そこを探していくんですよね。ひとりぼっちであることは変わらないけど、そこで嘆いている先がある。RYOが言ってくれたように、この曲は対世間もそうですけど、僕としてはメンバーも含めて自分以外の全ての者に対するっていう気持ちなんです。

RYOくんが手がけた「I don't wanna be a robot」はSNEAKIN'NUTSの守備範囲の広さを感じさせます。思いっきりスカパンクに振り切りましたね。

RYO
これも…あんまり正直に話すと、特定の個人のことになっちゃうんだけど。
ゐうと
恨みが多いなぁ(笑)。
RYO
俺は結構恨みが深いよ。とある職種について、ひたすらムカつくことをバーッて書いていて…まぁ、悪口です(笑)。
しょうと
曲調は? こういうのが作りたいっていうのはあったの?
RYO
昔からずっとThe ClashとRancidが大好きだから、それは嫌でも出ちゃいますよね。アルバムの中に一曲ぐらいこういう曲もあってもいいのかなって。

あと、中盤で駿くんが手がけてる「DIRTY WATER BLUES」「伝染鳩」はブルースですかね。特に「伝染鳩」は人間のきれいじゃない側面をこれでもか!と表現している。

駿
自分も所詮は他人と同じっていうのが常にあるんですよね。なんて言うか…自分のことを棚に上げている人が多いなって。でも、結局は俺も同じだし、あんたも同じだしっていう。

社会問題を見て見ぬふりをするとか、褒められたくて偽善的な振る舞いをするとか。

駿
うん。他人に“偽善者だ!”って騒いでる人って、自分のことをまったくそう思ってないのかなって不思議に思う時があるんですよ。偽善でも何もしていない奴よりましだし、俺も偽善かもしれないと思うし。それは分からない。ただ、ひとつ言えることは、自分自身の醜さを分かった上で話している人間と、そういうのが分かっていない人間は区別がつくっていうのはありますね。

こういう曲を歌う時って、駿くんは自分の気持ちを吐き出してるだけっていう感覚ですか? それとも、メッセージソングとして何かの気づきになってほしいくらいに思っている?

駿
気づきになってほしいと思っていますね。だから、わざと棘のある言葉を使っているし。BGMにしたくないんですよ。右から左に流れていかないような。それがマイナスでもプラスでもいいんですけど、とにかく聴き手に引っかかるようにしたいんです。

もっと言うと、そこで引っかかったことで、聴いてくれた人の行動すらも変わるものになればいいと思ってるんでしょうね。

駿
そうですね。そういう意味で、今回のアルバムは全編を通して人間っぽいと思いますよ。明るい奴だって暗い時はあるし、そりゃぁ溜息をつく時もあるだろうと思うし。でも、溜息ばっかりついているのも、それはそれで疲れてくるし。それでいいって思うんですよ。人間なんて一面じゃない。表裏一体なものですから。

ええ。その中で終盤の「スターライト・ドリーマー」は、光の意味を持つ曲だと思いました。これはRYOくんの作詞作曲ですね。

RYO
僕の中では暗い曲なんですけどね。持論があって、絶対に最後はポジティブに終わりたいんです。大好きな人が死んじゃったり、すごくつらいことがあった時には綺麗事になっちゃうかもしれないけど、何があってもポジティブなことを言える人間でいたいんです。

それこそがロックンロールだと思います。

RYO
そうですね。「スターライト・ドリーマー」で歌っているような、大人はどうせ分かってくれないっていう考え方が好きなんです。コロナ禍になって、修学旅行に行けない子供たちもいるし、夢を諦めざるを得なかった少年少女がいっぱいいると思うんですよ。それは残念だと思っていて。だったら、そういう想いを表現しないといけない。だから、本当は暗い曲なんですけど、ちゃんと明るくしたいと思ったんです。
駿
全部の曲に言えると思うんですけど。やっぱり大前提に現実があるんですよね。現実の中でしか夢はないと思っているんです。だから、最初っから最後まで夢心地では歌わない。それが聴きたいなら他を聴いてくれと思う。でも、現実の中で生きるからこそ見られる夢もあって。僕はそれがロックだと思っているんです。「スターライト・ドリーマー」は、そういう曲ですね。

分かりました。では、最後に今後の展望を聞かせてください。正直言って流行り廃りの話をすると、SNEAKIN'NUTSはまったく流行りの音楽ではないけれど、このスタイルで何を目指すのかと思って?

駿
このスタイルでバンドをやるって、めっちゃ強いと思っているんですよ。流行っている音楽をやってる人って、それが廃れていくことに怯えながらやるわけじゃないですか。俺らはゼロなので。最初から流行ってない。だから、逆に希望しかないんです。今がどん底で、もうこっから下はないっていうスタート位置なので。これからが自分でも楽しみですね。さっき“テレビからしょうもねぇ音楽が流れてる”っていう話がありましたけど、俺はクソだとは思っていないです。
RYO
(笑)。
駿
端から相手にしてない。この自分らの音楽っていうのは、街で生きている人たちに引っかからないわけがないって、そこだけを信じているんです。働いている人たちも、学校に行ってる奴らも、みんないろんな想いを抱えて戦ってるわけだから。あとは、どれだけ面白いことをやって、世間をワッとさせられるかだと思いますね。

取材:秦 理絵

アルバム『SNEAKIN'NUTS』2022年3月16日発売 屋根裏音楽舎
    • YNOG-003
    • ¥3,080(税込)
SNEAKIN'NUTS プロフィール

スニーキンナッツ:2018年結成。華やかで泥臭く、クールでアツいライヴが持ち味。ロックンロール、パンクロックを中心にさまざまな音楽をジャンルを飛び越え吸収し、最新鋭のかたちで現代に叩きつける4人組ロックンロールバンド。21年1月に1stミニアルバム『プロレタリアの銀河の夢』を発表し、22年3月には1stアルバム『SNEAKIN'NUTS』をリリースした。 オフィシャルHP

「孤独ノ炎」MV

OKMusic編集部

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