【irienchy インタビュー】
弱い人の側に
いてあげることしかできない
普段は口ごもりがちな性格だけど
曲では絶対にちゃんと言いたい
L→R 諒孟（Gu＆Cho）、井口裕馬（Ba＆Cho）、宮原 颯（Vo＆Gu）、本多響平（Dr＆Cho）
『AMPLITUDE』は初の全国流通盤ですが、どんな作品になりましたか？
本多
これを聴いてもらえれば、irienchyがどういう感じのバンドなのかがちゃんと伝わる、名詞代わりの一枚です。リミックスやリマスターを施した今までの代表曲とリリース前の心境を綴った「メイビー」が入っているし、ジャケットもシンプルにしたんですよ。僕らのことをまだ知らない人たちの目に触れる機会が増えるわけですから、あえて顔写真のデザインになっています。
井口
いろんなタイプの曲を入れられたと同時に、自分たちの覚悟も感じ取ってもらえるような作品にできたと思います。
諒孟
新曲の「メイビー」と「最強の矛」では、以前よりもすっきりとしたアプローチができたと思うんですよね。そのへんも感じてもらえたら嬉しいです。
宮原
「スーパーヒーロー」という曲もあるんですけど、irienchyって“誰かの背中を押す”とか“俺についてこい！”みたいな感じじゃないんですよ。そんなにカッコ良くはない。むしろ、弱い人の側にいてあげることしかできないバンドだと思っていて。『AMPLITUDE』も聴き手に寄り添うような作品になった気がしてます。
宮原さんが書く歌詞って「スーパーヒーロー」にしても、フレッシュさとほろ苦さ、これまでとこれから、希望と不安、強気と弱気が混ざっていたりするじゃないですか。そのハイブリッド感がすごく魅力的だと思います。
宮原
嘘がないように書くとそうなるんですよね。どの曲でも同じようなことを歌っちゃっているかもしれないですけど（笑）。
諒孟
それは一貫性があって、芯がぶれていないってことだと思うよ。
「キツネビヨリ」でも《ガンガン恋しちゃって 何も言えず恥ずかしくなる》みたいな感じで、一行の中に強気と弱気がギュッと出てますよね。
全員
あははは。
宮原
結局、僕のこういう特徴がirienchyの色になっている感じがします。普段は口ごもりがちな性格だけど、曲では絶対にちゃんと言いたい想いがすごく出ていて。この人間らしさは大切にしていきたいです。
そんなミニアルバムのタイトルが“AMPLITUDE”。
諒孟
はい。“振幅”“奥深さ”という意味なんですけど、2年間のベスト的な楽曲から感じたイメージでありつつ、コロナ禍で体験した気持ちの動きやバンドのアップダウンを指してもいます。あとは、聴いてくれた人の心を揺らしたい、僕らは今後も音をガツンと鳴らしていくという想いも込めて。
宮原
まさにそういう作品になったので、しっくりくるタイトルですね。
今作で気に入っているポイントは？
本多
自画自賛になっちゃうんですけど、僕が作詞作曲した「最強の矛」です。ライヴでひたすら盛り上がりたい、アホになればなるほど人生は楽しいという発想のもと、K-POPやファンク系のノリを踏まえて作ってみました。バンドではあまりないアプローチだと思うんですよね。歌詞も聴いて“イエーイ！”となれるような、単純明快なものにしてあります。こうやって楽しんでほしい、こういう気持ちでライヴから帰ってほしい…みたいな曲。コード進行もシンプルだよね？
諒孟
俺らの曲ではかなり少ないね。ずっと同じコードでいきつつ、その中で変化をつけている感じ。
本多
ノれること重視です。リードになるタイプじゃないけど、ワンマンでは絶対に聴きたいっていう曲。陰の主役っぽい立ち位置を目指しました（笑）。
宮原
「藁人形の館」（2020年4月発表のミニアルバム『START』収録曲）では響平がラップを担当していたんですけど、今回はラップの部分も僕が歌ってます。
井口
響平はガヤに回っていたよね。
宮原
めっちゃ楽しそうに“ウェーイ！”とか言ってる感じな（笑）。
他のみなさんはどうですか？
井口
各自が不得意なプレイや初めてのアプローチに取り組めて良かったと思ってます。僕で言えば「スーパーヒーロー」「ドリームキラー」は得意分野なんですけど、「キツネビヨリ」「お別れの日が来ました。」はやったことがない感じの曲だったり。「メイビー」ではこれまで避けてきたピック弾きにも挑戦したので、そのあたりの振れ幅も聴いてもらいたいです。
諒孟
今までの曲を改めてピックアップしても、すごくまとまりのある一枚になったし、自分たちがやってきたことはぶれていなかったと思えました。それでいて、この先のirienchyが垣間見える新曲も入れられたし、しっかりと区切りが打てた感触が強いです。もう、次の作品を早く録りたいモードなんですよ（笑）。
宮原
自主制作盤の『START』にも入れた「スーパーヒーロー」は、バンドが始まる時のワクワクはもう二度と味わえないだろうし、絶対に忘れちゃうからちゃんと残しておこうと思って書いた曲だったんですよ。それでお役御免のつもりで。でも、新作のリリースにあたって、また何かが始まるワクワク感はあるし…言ってみれば、頑張ろうと決意するたびにそこがスタートになってきていて、この曲はまだまだ今の自分にも当てはまるというか。『AMPLITUDE』を聴いて、そう気づけたことが嬉しかったです。
最後に、この先の展望なども聞かせてください。
諒孟
リリース前に東名阪を回る対バンツアーをやったんですけど、リリース後にももちろんツアーを予定しているのでライヴへ遊びに来てほしいですね。
本多
僕はirienchyのライヴを、いつか日本武道館でやりたいんですよ。周りからもうちのバンドは仲が良いとよく言われていて、自分が思うにメンバーもみんなお互いのことが大好きなんです。今でもすごく楽しいのに、この4人で武道館に立てたらどうなっちゃうんだろうって。想像しただけで燃えるんですよね。
井口
僕らには根拠のない自信みたいなものがあって、このまま大きくなっていける気がしているんです。表現したいサウンドは変わるだろうけど、“来週、キャンプに行こうぜ！”と言えるような4人の関係性は変わらないと思ってます。
宮原
えっ、どういうこと？ キャンプに行きたいの？
井口
行きたいね（笑）。
全員
あははは。
宮原
インタビューの最後に“キャンプに行きたい”はヤバいね！
諒孟
僕はみんなで旅行がしたいな。
本多
違う違う違う!!
諒孟
あっ、バンドの活動についてか!?（笑） コロナ禍であまり解放的になれない状況も多いので、音楽ではより自由にありたいですね。それを心がけて曲を作っていこうと思います。
宮原
つい先日のライヴで“生きていて良かったです”みたいなことをお客さんに言ってもらえたんですけど、僕はそういうのがすごく幸せなんですよね。本当に苦しかった時期を思えば。だから、できるだけこの時間を長く続けたい想いが一番。で、続けるには必然的に売れないといけない。もちろん売れるためにバンドをやるわけではないですが、その結果としてirienchyの音楽で救われる人が増え、応援してくれる周りの人たちを幸せにできるんだなと感じ始めているので、そんな気持ちを忘れずに活動していきたいです。
取材：田山雄士
「メイビー」MV
「ドリームキラー」MV
「キツネビヨリ」MV
「スーパーヒーロー」
「Message」
「スーパーヒーロー」MV
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