大西亜玖璃

大西亜玖璃

【大西亜玖璃 インタビュー】
この曲を歌い続けていくことで、
また新たな発見もありそう

新曲「ジェリーフィッシュな君へ」は自身がメインヒロインのカーラ役を務めるTVアニメ『このヒーラー、めんどくさい』のオープニングテーマ。同アニメにとって表題曲は“盛大なフリオチ曲”になったという。その発言の真意とは? さらに、ファン待望の音源化となったカップリング曲「Love・Me・Do」も含めて、今作の聴きどころを語ってもらった。

優しそうに見えて毒があるところに、
カーラとクラゲの共通点がある

「ジェリーフィッシュな君へ」は自身初となるヒロインを演じた作品へのタイアップ楽曲になりました。大西さんが『このヒーラー、めんどくさい』で演じるメインヒロインのカーラはどのようなキャラクターなのでしょう?

可愛い見た目に反して、毒舌がすごい女の子です。素直に生きているがゆえなのですが、周囲に対して常に堂々としているのも面白くて。本当にごく稀に…彼女の素直さが表に出た時、普段とのギャップがあってとても心を惹かれます。

原作コミックも読んだのですが、物語の冒頭で主人公のアルヴィンが傷つき、カーラに回復の呪文を求めた際、“自分の弱さを受け入れてください”と指摘したシーンが印象に残っています。そもそもの彼の弱さを指摘してしまうあたり、頭が良いキャラクターのように感じましたが。

カーラは外見こそ15歳なのですが、本当は72歳のダークエルフだからかもですね。人間のアルヴィンよりも経験豊富なぶん、無意識に煽ってしまう場面もあって…(笑)

なるほど(笑)。ここからは楽曲の話になりますが、“ジェリーフィッシュな君へ”というタイトルを聞いての第一印象はいかがでしたか?

実は“ジェリーフィッシュ”の意味を知らなかったので、最初は“ん? 誰だろう?”ってなりました(笑)。ただ、原作コミックスも読んでいたし、すでにアフレコも始まっていたので、その意味を理解してからはとてもしっくりきたのを覚えています。

最初は“人”をイメージしていたのですね。では、なぜこのタイトルに?

やさしそうに見えて毒があるところに、カーラと海月の共通点があるからだと私は考えています。フワフワして可愛いけれど、触ると不意に突き刺してきたり。1番のサビで歌う《フワリフワリよけんな!》もカーラがアルヴィンのツッコミをかわす様子が思い浮かんできますよね。あと、カーラはウインクが苦手なのですが、そういう癖も歌詞に反映されています。Aメロで歌詞が会話調になっている部分にも、ふたりのやりとりのようなテンポの良さを感じますね。

となると、この楽曲はカーラ目線で歌っているのですか?

場面ごとに異なりますが、基本的にはカーラではないかと思います。例えば2番のサビに《主役に手を挙げたら》とあるとおり、普段は勇気が出ないけれども、なんとか行動に移してみたいと。でも、恋に対してはロマンや妄想を抱くだけで終わってしまう。そんな女の子のことを歌っています。

この楽曲を聴いて私も同じようなイメージを抱いていたので、カーラと海月の共通点として毒を吐くというお話はすごく新鮮でした。それで、先ほどの質問をした意図なのですが、アルヴィンとカーラの間に恋愛的な要素って…。

…(大きく横に首を振る)

ないですよね(笑)。なので、これほどラブコメ要素たっぷりな楽曲が、いい意味で恋愛要素のない『このヒーラー、めんどくさい』のオープニングテーマになぜ選ばれたのだろうと不思議で仕方がないのですが。

私もそうでした。ただ「ジェリーフィッシュな君へ」はコメディー的な“フリオチ”を効かせた一曲なんです(笑)。アルヴィンとカーラの間に恋愛関係があるように期待させつつ、実はまったくないという。アニメのメインビジュアルでも某人気RPGゲームのロゴをオマージュしていて。こちらももちろん関係はまったくないんですけど。そういった意味で、全てが視聴者のみなさんに“この作品、やってんなぁ〜”と感じてほしい煽りなんですよね。

そうした点でアニメとの結びつきがあると。期待させて落とすあたり、楽曲自体がカーラの性格そのものですね。それこそエイプリルフール的なアニメPVも公開されていますし。

あのPVもわざわざ台詞を別撮りしたりと気合いが詰まっています。本当に盛大なフリですけどね(笑)。

「Elder flower/初恋カラーズ」(2021年8月発表のシングル)の取材で、今後ご一緒したい作家さんとして、「ジェリーフィッシュな君へ」の作詞作曲を担当している俊龍さんのお名前を挙げていましたよね。俊龍さんがレコーディング現場にもいらしたとのことですが、どのようなアドバイスがありましたか?

私自身の素直な気持ちを大切に、“楽しく歌いましょう”とおっしゃっていただきました。レコーディングの序盤はもう少しアニメのオープニング感を引き出したいとのことで、私のほうも悩みながら歌っていたのですが、その後、最初の欲のない歌い方がいい気がするということになり、最終的なアプローチの方針が決まっていきましたね。

オープニング感を引き出すために、大西さんがどのような工夫をしたのかが気になります。

縦のリズムをたくさん刻んだり、楽曲をさらに物語っぽく聴かせるために、会話調のフレーズでわざと激しめに発声したりしたことですかね。あと、1番Bメロの《(メンドクサイノハイシキシテイルカラ)》など、ポップでありつつ無表情なヴォーカルは初挑戦で。呪文を唱えるように歌いつつ、できるだけ楽曲全体がコミカルに仕上がることを意識しました。

なるほど。俊龍さんから伝えられた言葉でもっとも嬉しかったのは?

“大西さんの歌声はピュアで濁りがない”というお言葉です。歌詞の内容が心にスッと入ってくるとおっしゃっていただいて。本当に嬉しかったです。

他に大西さんがこの楽曲について、特に語っておきたいエピソードなどはありますか?

2番Aメロに《「オンラインニュースは閉じて!」》というフレーズがあるのですが、これは俊龍さんがある日、ひと目惚れは存在しないというネットニュースを見つけられたところから生まれたとうかがいました。その真偽はさておき、俊龍さんは“ひと目惚れがない恋愛なんて寂しい!”と感じられたそうで。その話を聞いて、作家さんの日常から私の楽曲が生まれていることに驚きを感じましたね。

全体的にファンタジックな歌詞の中、このフレーズだけ特に現実めいていると感じていました。

そうですよね。先ほどお話したようなカーラらしさを感じるフレーズにも、きっと何か発想の原点があると思います。これからこの曲を歌い続けていくことで、また新たな発見もありそうだなと。それが本当に楽しみです!

そんな「ジェリーフィッシュな君へ」のMVはどのようなテイストの映像に?

今回は恋に悩む女子生徒と、彼女が頭の中に登場する恋の先生の物語になっています! どちらも私が演じていて、先生役としてスーツも着ました。ただ、あくまでも女の子の想像上の先生なので、しっかりしたアドバイスは全然できなかったり(笑)。コミカルな雰囲気をぜひ楽しんでいただきたいです。

MVに関するこぼれ話があればうかがいたいですね。

撮影当時は完成イメージが思い浮かばなかったのですが、社会や英語といったいろいろな教科の先生になりきる中でふっと感じたんです。“あれ? やたらとメガネを掛ける回数が多いな”と。時には瓶底メガネすらかけていたり…。なんでしょうね、メガネ推しのMVだと思われちゃいますかね?(笑)
大西亜玖璃
シングル「ジェリーフィッシュな君へ」【初回限定盤】(CD+DVD)
シングル「ジェリーフィッシュな君へ」【通常盤】(CD)

OKMusic編集部

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