三月のパンタシア 運命と偶然を結び
つける青春の調べ みあが語る「音楽
と小説の邂逅が生む奇跡」

三月のパンタシアが3月9日に初のフルアルバム『邂逅少女』をリリースした。昨年11月の有観客ライブ『物語はまだまだ続いていく』で初めて素顔を公開したボーカル、みあは顔出しの理由を「活動を続けていくなかで、自分の物語を素顔のままでリスナーの前に立って届けたいと思うようになった」と語った。小説家としても活躍するみあは、本アルバムの主軸となる書き下ろし小説『再開』を事前に連載、今回も完全数量生産限定盤には書籍化された『再開』も付属されるが、新しいステージへ踏み出した三月のパンタシアが作りだす、音楽と小説の蜜月な関係。心境とアルバムについてみあに詳しく聴いた。

■「邂逅少女」の音楽表現の方法っていうのは、今までされてきていないんじゃないかって想う
――今回、ニューアルバム『邂逅少女』のお話をお聞きしたいんですが、やはりその前に昨年11月に素顔を公開されて、みあさんに変化などあったのか、からお聞きしたいです。
素顔を出すことによって何かが大きく変わるっていう事は、自分の中ではあんまり考えてなくて。もちろんそこに至るまでの緊張や恐さみたいなものはありました。でも三月のパンタシアがこれまで築いてきた世界観、イラストと小説と音楽を掛け合わせた世界観だったり、ボーカルの私自身の中身が見えすぎない部分も含めて作品だという気持ちも変わらないですね。ただこれまでやってこなかった稼働、例えばジャケ写の撮影や取材時のスチール撮影なんかは、なんというか、まだ少し照れ臭さはあります(笑)。
――ファンの方々のリアクションなどはいかがでしたか?
様々な声はあったと思いますし、それらはすべて受け止めているつもりです。ただ私が楽観的な部分もあるし、全部いい方に頭の中で書き換えちゃうっていうのもあるかもしれないけど、「みあはこういう決断をしたんだな」「これからの三パシが楽しみだな」っていう意見が多かったかなって感じていますね。
――それは素晴らしいですね。では改めて『邂逅少女』についてお聞きしたいのですが、今回は完全数量限定盤にブルーレイディスク、そして小説とアートブックが付属します。この小説「再会」を改めて読ませていただきましたが、今日のインタビューは小説の話をしないとアルバムを紐解けないんじゃないかと思っていて。
そうですね!(笑)
――今まで曲に対応する小説、というものはありましたが、一本の小説の中にこれだけの曲が切り口を変えて盛り込まれるというのは無かった気がします。
1本の小説をテーマに1枚のアルバムを作るっていうのは、初期段階でアイディアとして考えていたんです。1つの小説で同じテーマであらゆる作家さんを集めて、視点を変えて書いてもらったら、どんな曲が集まるんだろうっていう興味から構想が始まって。
――なるほど。
去年刊行させてもらった小説「さよならの空はあの青い花の輝きとよく似ていた(以下さよ花)」で主人公の想いを軸に5人の少年少女の物語を考えた時に、主人公の想いだけじゃなくて、他の登場人物の気持ちも楽曲にしてあげられたらと思って、それで次のアルバムでもあらゆる性質のキャラクターが登場する物語をベースにしようと思ったんです。主軸には主人公の想いがもちろんあって、でもそれだけじゃなくて、実は脇にいたこの子たちはこんな想いを抱いていたんだっていう事を、楽曲で表現するのは面白いんじゃないかなって。
――読んでまず思ったのは、凄い文章が上手くなったなってことでした。主人公の麻莉が新宿に出てきて、美紀に会いにいくっていう導入の描写が凄くいい。
わー嬉しいです! やっぱり最初2、3行で判断する人も、今は慌ただしい時代だからいると思うんです。だから書き出しとか導入となる章は凄い意識していて、一番書き直してるかもしれない。
――今回のアルバムに関して言うと「101」とかリリースされたシングルも入っていますが、オリジナル楽曲たちはほぼ作品に構紐づいてるじゃないですか。作曲担当の人たちには小説を読んでもらって曲を作ってもらった、という認識でいいんでしょうか。
ほとんどのみなさんにまず小説をお渡しして、打ち合わせを経てこういう楽曲にしましょう、こういう歌詞を書きたいですっていうやりとりをしてから、デモ楽曲を制作してもらいました。これまでもずっとその流れで制作してきたんですが、「花冷列車」を書き下ろしていただいたの子さんに関して言うと、どういう経緯でできたのかが全くわからなくて(笑)。
――それはどういう(笑)。
小説は楽曲制作をお願いする時点で書き終えていて、スタッフさんを介して小説も一緒にお渡ししたんですけど、打ち合わせをさせてくださいってお願いするよりも前にデモを送ってくれたんですよ。
――早い!
そうなんですよ! まだご本人とも直接お話しができていなくて、正直今の時点ではの子さんが小説を読んでからあの曲を書き下ろしてくれたのかどうなのかというのが、私自身まだちょっと分かっていない状態なんです(笑)。元々小説のメインテーマを2曲作ろうと思っていて、1曲はドラマチックで感動的で曲がどんどん広がっていくようなイメージ、もう1曲はポップロック調の軽快に切なさを走り抜けていくような曲にしたいっていうイメージがあったんです。そのポップロック調の曲を「花冷列車」としての子さんに書き下ろしていただいて。
――まさにそのとおりの楽曲ですね。
そういう事は最初に小説と一緒にお伝えしていたので、まさにこういう曲が欲しかったんだ! っていうデモをすでに送って頂いて、ありがとうございます! って(笑)。
――アルバムの1曲目としても、物語のオープニングとしても素晴らしいですよね。今回、単純に面白いなと思ったのが、メインキャラではない人達の心情を楽曲のテーマとして描いて、そこで群像劇として成立させるっていうのは、三パシにしか出来ない手法なんじゃないかと思ったんです。彼女達の想いも小説の中に書かれてるけど、曲が合体することで群像劇として完成するというか。
私もこの「邂逅少女」のアルバムみたいな音楽表現の方法っていうのは、今までされてきていないんじゃないかって思っていますね。
――小説で書いてあるキャラクターの言葉より、歌詞の方が思いがストレートに表現されていると思ったんです。琴絵のテーマ曲である「君の幸せ喜べない、ごめんね」や、美紀のテーマソング「シリアス」とか。そこは意識されたのでしょうか?
そうですね、特に「君の幸せ喜べない、ごめんね」っていう曲に関しては、タイトルから心情をダイレクトにぶつけてる曲になっています。小説を書いていくうちに、脇にいるキャラクター達の描かれなかった想いっていうのが、自分の中でどんどん膨らんでいって、それがそのまま歌詞になったのかなって。
■“女子高生の全能感”みたいなものがあふれ出るような楽曲にしたい
――なるほど。ではざっくりですけど、それぞれの曲の話を聞かせてください。今日はあえてアルバムの新規収録曲の話を聞ければ。「あのね。」は「幸福なわがまま」のその後の世界を描いた楽曲ということですが。
先ずこのアルバムを制作する時に、軸となるテーマ小説があって、その小説の中で表現できるのって、私の中でメインテーマ2曲、エンディング1曲、脇にいる少女達2人の曲で最大5曲だなと思ったんです。
――ああ、小説に対応する楽曲の曲数は決まっていたんですね。
それ以上無理に小説から曲を捻り出すっていう作り方はあんまりしたくないなと思って。でももっと新曲を作りたいなって考えて、既存曲とアルバムのテーマ曲、そこの間に入って浮いてしまわない曲を考えた時に、これまで発表してきた楽曲の“その先の物語”を書いてみたら、より濃密なアルバムが出来るんじゃないかっていう考えに至ったんです。「幸福なわがまま」はテーマとして、今は側にいるけど、本当はずっと一緒にいられない事を分かっているという、2人の幸せで切ない物語で、そうやって切なさを自覚しながらも側にいた2人が、その後どういう運命を辿ったのかっていうところをテーマに作ったのが「あのね。」です。澤田(空海理)さんとも話して、お互いの結論を作詞の共作の中でぶつけ合いました。
――そういう意味ではそこは共同作業なんですね。
そうですね。
――曲順としても繋がっていて、続けて変化を感じられるのもアルバムだから出来る面白さですよね。全体的に制作チームやユーザ―含めてですが、三パシの周りの皆さんが、みあさんの描く世界への理解度が上がってるようなフィット感を感じました。
今回のアルバムはよりテーマが濃縮された1枚になったなと自分でも手応えを感じていて、その濃密感が制作にも現れていたような気もします。
――そして「シリアス」小説内の登場人物、美紀のテーマソングです。彼女は実は物語の中では人となりをそんなに書いてないじゃないですか。この曲で初めて彼女がこういう人なんだっていうのが見えてくるのが面白かったです。
楽曲制作にあたって作る前からイメージしてたのは、先生にずっと片思いしてる女の子の姿ですね。でも片思いの儚くて切ない部分をしっとり歌うというよりも、どこか突き抜けてる、女子高生の全能感みたいなものがあふれ出る楽曲にしたいなという思いがあって。にっけいさんも小説を凄く大切に読んでくださって、美紀は大人しそうに見えて、意外と大胆な女の子なんだなと思うので、そういう意外性みたいなものをサウンドに出してみてもいいですか? って提案もしてくださって。ちょっと途中でリズムが変わるところがあったりとか、そういう真面目な優等生タイプに見えて実は私ってそうじゃないのよ! みたいな、女子高生の可愛らしさを曲にしたいなと思って作りましたね。
――“女子高生の全能感”っていいですね。
好きですね、私も。あの時代でしか生まれないエネルギーってやっぱりあると思っていて、その美しさというものは私も大人になってからも惹かれ続けるものだし、だからこそひりひりするような少女漫画とか、女子高生をテーマに描いたエネルギーの塊みたいな作品に、今でも惹かれ続けるんだろうなと思います。
――この曲を聴くことによって、この時あの子はこう思ってたんだって、読み返したシーンとか結構あったんです。アルバムを聴いて、小説を読んで、気になった所をもう1回小説読みながら曲聴くみたいなのも面白いですよね。そして次の曲、「君の幸せ喜べない、ごめんね」です。琴絵のテーマソングですが、このキャラクターは魅力的でした。
去年長編小説を書いて、長い時間自分が書いてきた物語やキャラクターに寄り添っていく中で、切なさや葛藤も書きつつ、ちょっと美しく書きすぎたかもなって思った点があったんです。人間って頭では分かってるけど頭と心がチグハグになって、思いもしないキツイ言葉を言っちゃったりとか、本当はこうした方がいいって分かってるのに自分の欲望に抗えない気持ちとか、そういう人間の生っぽい部分にもしっかり向き合って描き出してみたいっていう思いが今回はあって。
――琴絵のキャラクター造形も今までのみあさんの物語にはなかったタイプの人物だと思いました。
この曲のタイトル「君の幸せ喜べない、ごめんね」、これに琴絵の感情をストレートに乗せました。歌詞にもあるフレーズではあるんですけど、私がいない方が幸せだから撤退しますっていう悲劇のヒロイン像というよりも、悪いことってわかってるけど私にはこうするしかなかったんだっていう、悪役的というか、そういうキャラクターも描いてみたかったんですよね。
みあ
――実はみあさんの物語って、今まで善人しか出てこなかったと思うんです。この琴絵の感情の生感は物語に深みを与えていると思いました。「揺れる真赤な色 毒の花」っていう歌詞とかもそうですが、メロディーはポップなんだけどぐちゃぐちゃの感情の歌詞のアンバランスさが魅力なんじゃないかと。
琴絵は元々そういう性質じゃないけど、ただ大切な人に出逢っちゃって、それがたまたま女の子だったみたいな。そういう葛藤や混乱や運命を描いてます。
――8曲目は「夜光」は小説「さよ花」の主題歌ですが、そのアンサーソングとして今回フジファブリック山内総一郎さん作曲の「閃光」という曲が9曲目に入っています。サウンド的にはアルバムの中ではちょっと異色の一曲です。
そうですね。フジファブリック感がバチバチにサウンドにも現れていて、凄く気に入っている曲です。
――思いっきりロックですもんね。
これアンサーソングっていう言い方をしてるんですけど、想いとしては「さよ花」の主人公が東京に上京して5,6年後くらいの景色を歌ってるっていうテーマで作った曲なんです。まずは小説の大きなキーワードにもなってる「バンド」サウンドのロックチューンにしたいっていうのと、「夜光」という曲が夜に差す儚い希望の光を歌った曲だとしたら「閃光」は真昼の太陽がギラギラしてる中で日差しの強さに疲弊しながらも、「それでも夢の匂いがプンプンする土地でまだまだ頑張っていくぜ!」という気持ちを歌いたいと思って制作しました。
――確かに結構ギラギラ感は感じましたね。
そういう曲をどんな方とご一緒できたら面白いかなと考えた時に思い浮かんだのが、フジファブリックのサウンドだったんです。凄く歴史が長いバンドで、音楽の幅も様々だと思うんですけど、私はちょっと奇をてらったような天邪鬼なサウンドのフジファブリックが好きで、そういう事をフジファブリックの山内さんにもお伝えしながら、昼間の太陽の感じとサビでは外に広がっていく感じの曲にしたいっていう事をお話をしながら作っていった曲です。
――「夜光」がストレイテナーホリエアツシさん、そして今回のフジファブリックの山内さんと、ロック畑を制覇していってますね。
着々とお世話になっています!
――このサウンドに負けないボーカルって結構大変だったんじゃないですか?
そうですね、歌詞は無いんですけど、山内さん自身が歌ってくれたデモもあって、ご本人が歌ってる感じをかなり踏襲してる部分はある気がします。
■出逢いって偶然が重なり合って引き起こしてるもの
――今回のアルバムを通じて、ご自身のボーカルとしての成長は感じていますか?
正直感じる部分はあります。凄い歌がどんどん自由になってきてる感覚があって。私は表現って自分の枠の中でしか出来ないって最近思っていて、だからいかに自分の枠を広くするかを最近考えているんです。
――確かにそうかも知れませんね。
トレーニング的な意味ではやっていることも多々あるんですが、心的な部分というか、抽象的な言葉になっちゃうんですけど、精神的な部分が内側から枠を広げてくれている、みたいな気もしているんです。それはもしかしたらファンとの信頼関係がそう感じさせてくれる気もするし、みあの表現を信じてくれてる人がいっぱいいたり、楽しみにしてくれてる人がいて、それを実感出来ることが素直に自信に繋がる。それが私のボーカル表現に直結しているような気もします。
――みあっていう個人の表現の枠ってどんどん広げて行ってるじゃないですか。その中でやりたいことの明度が上がってる気がしたんです。みあさんの伝えたいことの彩度と明度が凄く上がっていて、見やすくなったなと思います。なんとなく見えきらないところも三パシの良さだったんですが、三月のパンタシアが持っている“ブルー”の透明度が変わってきてる感じがするというか。
まさに素顔を公開した理由っていうのも、おっしゃってくださったような、解像度を上げるっていうアプローチになれるんじゃないかなっていう思いも込めていて。三月のパンタシアの中身を曖昧に見せる事で、リスナーの空想でそこを補填して行くっていうその面白みもあったと思うんです。これまではそういった表現をしてきたけど、人間の姿、表情、顔って小宇宙だなって思うところがあって。
――小宇宙ですか。
表情1つで色んな想像ができるというか。この人ってどういう声なんだろうとか、どういう事を考えてるんだろうとか、どういう言葉を紡ぐ人なんだろうかとか、自分も考えたりするし、そういうものを三月のパンタシアとして提示することで、より作品の解釈に豊かさが生まれる事もあるんじゃないかっていう想いもあって。
――そして最後2曲「幸せのありか」「春に願いを」。がもう1つの小説のメインテーマとエンディングテーマになってます。「幸せのありか」は11月のライブでも披露されてましたが、これは北川勝利さんのサウンドが透明感ありつつも温かさを感じさせる一曲です。
そうですね。メインテーマの1つとして心がほんのり温かくなるような、ドラマチックな展開がある曲を漠然と考えた時に、この人だ!って思いついたのが北川さんだったんです。以前『スロウスタート』というテレビアニメのエンディングテーマを三パシが担当させてもらった時に、北川さんがキャラクターソングの制作でアニメに携わられていたんです。アニメの打ち上げにも招待していただいたんですけど、その打ち上げの場所で初めて北川さんにご挨拶させてもらうことが出来て、私は元々ROUND TABLEの楽曲も好きだし、渋谷系のポップ音楽のファンだったっていうこともあって、いつか一緒に何かできたら嬉しいですって話をその時からしていたんですけど、遂に今回お声がけさせていただきました。
――三パシの世界観と北川さんのサウンドの混ざり具合が凄く気持ちいいマーブル具合ですよね。ライブでもあの温かさを感じるパフォーマンスはよかったです。
この「幸せのありか」は、「再会」をテーマにした楽曲たちの中でも一番最初に完成した曲なんです。去年11月のライブの準備をしながらこの曲の歌詞を書いていたんですけど、ファンのみんなとの、1年10ヶ月ぶりのワンマンライブでの再会っていうのが目の前に迫ってくると……こう、楽しみな気持ちとか喜びとか、なかなか会えなくて本当は結構辛かったよとか、そういう本音を書きたいと思っちゃって。想いとしては小説のテーマ半分、ファンのみんなとのワンマンでの再会っていう想いが半分というか。最終的にセットリストを調整していく中で、新曲としてライブで披露してもいいですかっていうのを私からスタッフに提案して初披露できたんです。思い入れは凄くありますね。
――物語に紐づいてる曲だけど、みあさん個人の想いとしても表現出来るっていうのは、三パシならではという感じありますね。
そうですね。たとえば、曲に対する想いはあえてあまり明言せず、解釈は全部リスナーに委ねたいっていう方もいらっしゃると思うんですけど、私は曲を通した対話だけじゃなくて、自分の言葉でも伝えたいし知ってもらいたいっていう気持ちがあるかな。
――そして最後、小説のエンディングテーマでもある「春に願いを」です。
初めから小説のエンディングテーマでもあり、アルバムのエンドロール的な曲にもなり得る楽曲にしたいなと思っていた曲ですね。イメージとしては素朴で牧歌的な風景が広がるような優しくて温かい曲のイメージがあります。実はこの曲が一番最後に出来た曲なんですけど、11月のライブ後に年末年始に実家に帰って、1人で畳の和室で再会とか出逢いっていうものについて1人でずっと考えてたんですけど。
――畳の和室っていいですね(笑)。
なんというか、例えば大事な人を失ったりとか、大きな失恋をして凄く落ち込んでる時に、たまたまラジオから音楽が流れてきたりとか、YouTubeの自動再生してる時にたまたま流れてきた音楽とか……出逢いってそういう偶然が重なり合って引き起こしてるものだと漠然と考えていて。
――ああ、それはたしかにそうかも知れませんね。
三月のパンタシアの音楽を聴き続けてくれてるみんなも、色んな出逢い方があったと思うけど、そういう偶然が引き起こしてくれた出逢いがたくさんあると思ったし。そういう出逢いを運命の糸が現在まで繋いでくれて、今も近くにいられるっていうのは、かなり奇跡に近いんじゃないかってライブを経てあらためて感じたんです。サビの冒頭で「運命は偶然で 偶然は奇跡で」っていうフレーズがあるんですけど、これは正にこのアルバムと「再会」という小説を通じて一番伝えたかった思いなんです。
――運命と偶然ってノットイコールになりそうな言葉ですけど、「私はその二つはイコールだと思います」っていうみあさんの感覚が面白いですね。
根本的に考えが違うっていう人も、もしかしたらいると思いますね(笑)。
――「運命は偶然で 偶然は奇跡で」っていうのは、切ない恋愛を描き続けてる三月のパンタシアを表す言葉かもしれないですね。好きな人と両思いになる確率なんて天文学的ですもんね。
そうですね。いいなと思う人がいたとしても、自分も相手もパートナーがいない状態というのも結構奇跡的だと思うし。出逢いって必然って捉える人もいると思いますけど、私は偶然が重なって起こる事だと思っていて、でもそれって結構気を付けてないと気付けない。
――それは本当にそう思いますね。
偶然的に三パシに出逢ってくれて、運命的に聴き続けてくれて、今もずっと一緒にいられるって本当に奇跡的だし凄い嬉しいっていう気持ちを、ファンのみんなにも受け取ってもらいたいですね。
――お話を聞いてるとみあさんの中で、活動を通してファンに渡したいものってどんどん増えて行ってると思うんです。前回のライブを踏まえてのツアーも控えていますが、どういうものを届けたいですか?
今回はアルバムを引っさげてのツアーということもあって、アルバムの物語の解像度が更に上がるような、三パシらしい物語的なライブを作ろうと思っています。大阪で歌って得たものを、東京に繋げて行くっていう事自体初めてなので、その中でどんな事が自分の中で起こるのか、個人的にも本当に楽しみな東阪ツアーになので、是非遊びに来てもらえると嬉しいです。
インタビュー・文=加東岳史

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