『QUEEN50周年展』レポート サクソ
フォン奏者・上野耕平とクイーンの歴
史を巡る

結成50周年を迎えた伝説の世界的ロックバンド・クイーン(QUEEN)の足跡をたどる企画展『QUEEN 50周年展 -DON'T STOP ME NOW-』が2022年3月11日(金)から大阪・大丸梅田店13階特設会場で開催される。ここでは、大阪での展示の前に、東京・渋谷で行われた展示(2021年11月12日〜22年2月13日)会場を、サクソフォン奏者・上野耕平とともに巡った様子を紹介しよう。
会場内を案内するのは、デビュー以来長年クイーンと共に歩んできた株式会社シンコーミュージック・エンタテイメントの吉田聡志取締役。解説を聞きながら、会場を進んでいく。
上野は1992年生まれの29歳。いわゆる “世代” ではないが、上野の父親がクイーンを好んで聴いていたという。「僕はF1が好きなんですけど、2007年のオープニング曲がクイーンの「フラッシュのテーマ」をアレンジしたものだったんです。それが格好良くて、どハマりしましたね」。20年に行われた来日公演も観に行ったほどで、本展を楽しみにしていたという。
最初は、メンバー4人の生い立ち、グループ結成をたどる展示から。当時、レコード・デビューを目指すバンドにとっての登竜門だったライブハウス「マーキー・クラブ」の様子、75年に初来日したときの資料など、クイーンがたどる道を追体験していく。
なかでも上野が関心を示していたのは、「ボヘミアン・ラプソディ」の24チャンネルのトラックシート(複製)だ。トラックシートとは、多重録音をする際に各トラックにどのサウンドが入っているかを示すもの。多くのトラックがヴォーカル(VOX)に使用されており、18チャンネルには「ROGER-FOR ME」と書かれている。あの超高音ヴォイスが収録されたチャンネルだと思われる。
また、上野は、手書きの歌詞カードも熱心に見ていた。例えば、アルバム『華麗なるレース』に収録されている「手をとりあって」。東京オリンピック2020の開会式で使われたことも記憶に新しいブライアンの曲だが、この歌詞と落書きのようなイラストはフレディによるものだとか。日本語で歌われる部分はローマ字で書かれ、母音の発音のところにアクセントの印があることからレコーディングで使用したものとされている。
メンバーの愛器と全く同じ楽器を間近で見ることもできたり、フォトスポットがあったり、華奢なフレディの衣装があったり。本展の後半では、クイーンを新たなステージに押し上げた、伝説的なチャリティ・イベント「ライヴ・エイド」の映像も放映。大ヒットした映画『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)でも象徴的に描かれているが、上野は「ここからですよね」。
本展では、史上空前のスケールでスタートしたマジック・ツアーの様子や、ブライアンがフレディについて語った貴重なインタビューなども公開。最後は、150インチの4面マルチスクリーンによるイマージョン・シアターで、クイーンのライブ映像を鑑賞。まるでライブ会場に居るかのような臨場感を体験できた。
上野へのミニインタビューをお届けしよう。
ーー展示はいかがでしたか。結構詳しいご様子でした。
はい、クイーンは好きなので。24チャンネルのトラックシートがすごく興味深かったですね。どのチャンネルに何が入っているのか、そんなに細かくやっているんだと発見がありました。あと、歌詞カードも面白かった。どうやってやっていたんだろうと聞きながら思っていましたけど、ああやって日本語の響きに合うように、しっかりアクセントを自分たちでメモ書きしていたとは。
 
ーーアーティストとして刺激を受けたことは?
 
単純に格好いいですよね。音楽を始めた頃から、いろいろと世の中の音楽や業界の状況が変わるわけですが、うまく形態を変えて、自分たちのやりたいことをやっていった。それがすごいなぁと思います。
ーーご自身は世代ではないわけですけれども、それでも楽しめましたか?
  
いや、世代とか関係ないですよ。もはやクラシックだと思っています、クイーンは。ずっと残る作品ばかりだと思います。「昔流行ったよね」という音楽とは全く違います。もうクラシックだなと思います。
ーーちなみに上野さんが一番好きな曲は?
選べないけど、何曲かあるな。「ボヘミアン・ラプソディ」も好きですけど、割とクイーンの後半の「ザ・ミラクル」とか「イニュエンドウ」も好き。生前最後のミュージックビデオ「輝ける日々」もフレディのすごい生命感が伝わってきますよね。あそこまで痩せこけてしまって、メンバーもそれを受け入れながら、4人並んで、ミュージックビデオを撮った。ぜひ映画はあそこを最後に使って欲しかったというのが、僕の希望だったんですが。
 
ーー本展は大阪をまわります。上野さんも5月に大阪でコンサートやるそうですね。意気込みをぜひ!
 
まさにクイーンの作品をやります。サクスフォン四重奏で、クイーンと同じようにいろいろやります。「ボヘミアン・ラプソディ」と「ラブ・オブ・マイ・ライフ」。この2曲を我々のオリジナルアレンジでお届けします。もちろん楽器なので歌詞はないですし、ドラムもないです。クイーンの原曲の良さを残しつつ、サクスフォンならではの美しさが出ていると思います。クイーン好きの方にはぜひ来て欲しいと思います。
企画展『QUEEN 50周年展 -DON’ T STOP ME NOW-』は、2022年3月11日(金)から大阪・大丸梅田店13階特設会場で開催。

文=五月女菜穂 撮影=大橋祐希

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