三阪咲「歌で生きると決めました」 
大きな夢を叶えた“Zeppワンマン”で
示した覚悟

Saki Misaka LJK GRADUATION LIVE 〜夢のZeppで卒業式するってよ〜

2022.3.6 神奈川・KT Zepp Yokohama
三阪咲が、2022年3月6日に神奈川・KT Zepp Yokohamaにて『Saki Misaka LJK GRADUATION LIVE ~夢のZeppで卒業式するってよ~』と題したワンマンライブを開催。長引くコロナ禍にあって、思うように音楽活動ができないもどかしさを抱えながらも彼女は決して挫けなかった。1st デジタルEP『I am ME』で2021年11月1日にメジャーデビューを果たし、高校卒業のタイミングで、念願だった夢のステージに立ったのだ。
学生生活がうかがえる制服姿のオープニング映像があけると、アシンメトリーデザインのデニムジャケットを着こなして、颯爽とステージに現われた三阪。「最高の夜にしましょう!」と笑顔を見せた1曲目は、これまでのライブでラストに持ってくることが多かった「今だけは好きなものを好きでいたい」だ。伸びやかな歌声は、生バンドの演奏にとても映える。サビ前の「いくよ!」というかけ声にも、<君>でフロアを指さす姿にも高まってしまう。
三阪咲
拳を高く突き上げて歌い出したのは、第98回全国高校サッカー選手権大会の“みんなのアンセム”でもある「We are on your side」。<何度でも 何度でも 立ち上がれ>というフレーズ、想いを込めたロングトーンが力強く響く。
「最高の夜にするためにいろいろ考えてきたので、楽しみにしていてください!」
期待感がますますふくらむ言葉から、「キミに会いたくなるんだよ」へ。すれ違うこともありつつ、徐々に交わっていく2人の気持ちの移り変わりを描くラブソングは、なんてエモーショナルなんだ。

三阪咲
三阪咲
一転、「タオルの準備いいですか? ない人はクラップ!」と呼びかけた「ヒラヒラ」では、自らタオルをぐるんぐるん振り回したり、クラップしたり、ステージ左右のお立ち台に乗ってオーディエンスに手を振ったり。軽やかにターンするたびに揺れる、デニムジャケットにあしらわれた真っ白なセーラーカラーやキラキラの装飾が眩しい。ダンサーが加わった高揚感たっぷりなEDMナンバー「StaRting PoiNt」ではダンスも披露して、耳も目も奪われっぱなしだ。
「声が出せない状況ではありますけど、みんなの姿がちゃんと見えてるし、クラップも聴こえています。ありがとう、最高の景色です。こうしてみんなと集まれたこと、目指していたZeppの舞台に立てたこと、本当に嬉しいです」
喜びを噛みしめる三阪。「DANNA」で鮮烈な赤いライトに照らされながら大人っぽい表情を見せたかと思うと、「空梅雨」では羽織ったダークカラーコートのフードを目深にかぶって歌声に愁い色をまとわせたり、「Get Stronger」ではフードを脱いで、コートの裾を翻しながらダイナミックにダンスしたり。曲ごとに変幻自在ではないか。
三阪咲
アンティークテイストのカーペットやチェア、スタンドライトがステージに用意されたのは、三阪にとって初めてのアコースティックコーナー。「1年半ぶりくらいのバンド編成なので、生っぽいことをしてみたかった」という彼女の言葉に、表現欲がにじむ。ABEMAの人気恋愛リアリティーショー『今日、好きになりました。』のテーマソングでもある、「Say Good Night」「僕でいいじゃん」「私を好きになってくれませんか」をつなげたスペシャルメドレーで際立った、<君>を一途に想う切なくも温かな歌声。「My Type」の出だしのフェイク、丁寧で美しいファルセットにしても、心を動かすものだった。
三阪咲
スポーティーなパーカーに着替えると、第98回全国高校サッカー選手権大会の応援歌「繋げ!」へ。頑張るすべての人の背中を押すメッセージに、どうしたって胸が熱くなる。また、<何気なく始まった日々が こんなにも大切になるとは 思っていなかったんだよ>というフレーズに、コロナ禍で多くの機会を失った自身や人々の気持ちも重ねて歌っているようにも感じた。
荒ぶる思春期の心模様を映す「友よ恋よ」、三阪自身がドラムサンプラーを叩いたオーディエンスとのリズム遊びからの、「Bling Bling」。「今日主役の最高のみんな!」という三阪の言葉に、オーディエンスも左右に手を振ったりクラップしたりして応えて、一体感がどんどん高まっていく。
三阪咲
三阪咲
三阪咲
「このライブを開催するにあたり、決めていたことがあって。昨年10月17日に地元・大阪umeda TRADのステージでデビュー発表をしたときに、「変化ではなく進化していきたい」と言いましたが、今日はしばらく弾いていなかったピアノに挑戦することにしました。中学校の卒業式で歌った曲を弾き語りしたいと思います」
たったひとりで弾き語りしたのは、ゆずの「友 ~旅立ちの時~」。音楽活動のためになかなか登校できなくとも、いつでも笑顔で迎えて応援してくれていた友人たちへの愛と感謝、信じた道を進んでゆく決心を渾身の歌と奏でに託して。彼女の挑戦心と進化スピードには、本当に驚かされる。
三阪咲
ライブタイトルに相応しい粋な演出もある中、「新しい一歩を踏み出す君へ」、「Rollercoaster」を歌い、「歌で生きると決めました」と堂々宣言したアンコール。「私の場合は、卒業式で歌が歌えなかったり、卒業証書授与のときに声が出せなかったりもしたけど、卒業式ができただけでもよかった。コロナ禍で卒業式ができなかった人は、この場所でみんなも一緒に卒業しましょう」と言った三阪だが、節目となる季節に、彼女の歌声と言葉と想いはしっかりとオーディエンスの胸に刻まれた。そして、アーティストとして歩んでいく、という三阪咲の決意と覚悟は、凜として輝いている。
三阪咲
三阪咲

文=杉江優花 撮影=Kayoko Sekiguchi

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