お子さんの初めてのピアノ教室はどう
選ぶ? 音楽家へのアンケートをもと
に考えてみた

お子さんを育てているみなさん、こんにちは。3歳と0歳を育児中の、ノリコ・ニョキニョキと申します。3歳というと、そろそろ習い事を検討し始める時期。もちろん何を習うかは、子どもの興味・関心に寄り添って決めるのが一番ですが、幼児期では親がきっかけを作ることも多いかと思います。

わたしはというと、音楽を愛する者として、できれば我が子も何かしらの楽器を一つ習ってくれたら嬉しいな…という願望を抱いており、その第一歩としてまずはピアノを習わせたいと思っています。しかし、いざ習わせようと思うと、音楽教育の最初の一歩というのはものすごく重要なことに思えます。どんなお教室、どんな先生、どんなレッスンがよいのか…? さまざまな選択肢が脳裏に浮かび、なかなか結論を出すことができません。
そこで! 実際に音楽家として生計を立てている方々に「幼児期のピアノ教室と習得に関するアンケート」を実施。28名のご協力を経て、体験談を集めることができました。本稿ではアンケート結果を引用しつつ、理想的なピアノ教育とはどのようなものか考察していきたいと思います。
先に弁明しておきたいこと
わたし自身は音楽教育に関する専門的知識は一切もち合わせておらず、あくまでアンケート結果を参考にした、一個人の考察にとどまる記事であることをご承知おきください。
便宜上「理想的なピアノ教育」という表現を用いていますが、一つの形を最適解としておすすめする意図はなく、子ども一人ひとりの個性や意向に合わせて選択していくことを大前提と考えております。本稿ではほかにも「音楽教育の成功例」のような、誤解を生みかねない端的な表現も用いられておりますが、あくまで読みやすさ(文字数の少なさ)を優先した結果であり、万が一にもどなたかの人生を成功と失敗に振り分けるような意図は一切ございません。
以下、すべての文章に注釈をつけることができかねるため、何卒ご了承のほどよろしくお願い申し上げます
また、この場をお借りして、貴重なお時間をさいてアンケートにご回答くださいました音楽家のみなさまに、心よりお礼申し上げます。
アンケートの概要について
まず今回のアンケートですが、対象者を次のように設定させていただきました。
「3〜7歳でピアノを始めて、10年以上習った人。かつ音大等(専門含む)に進学し、今も音楽を仕事にしている人。主専攻がピアノでなくてもOK。現在クラシック専攻でなくてもOK。エレクトーンOK」
このように設定した理由は、今回は音楽教育の成功例に学ぶことを趣旨としているため、音楽教育の成功例とは何かを考えたときに、「音楽を仕事にしている」というベンチマークが一つのわかりやすい例だと考えたからです。また、不特定多数にアンケートをとらせていただくにあたり、客観的にわかりやすい基準を設ける必要もありました。
また、アンケート冒頭で「今もピアノを演奏することが好きですか?」という質問をさせていただきました。これに対し「好き」と回答した方は9割に迫り、想像以上の比率でした。
「好き以外」とした方々に追加の聞き取りをおこなったところ、「緊張が優ってしまい向いていない」「苦手意識が強いものの、音楽に触れる時間が減るとなんとなく触れたくなる気持ちもある」といった回答をいただきました。
こうした回答も踏まえて、以下、幼児期の音楽教室選びについてさまざまな角度から考えていきたいと思います。
幼児期の音楽教室選びについて
さて、子どもにピアノを習わせたいと思ったとき、個人的にパッと思いついた分岐は「大手教室or個人教室」「(ヤマハの場合)個人レッスンオンリーorグループレッスンを併用」の2点がありましたので、アンケートをとらせていただきました。
それぞれの結果をご紹介していきます。
大手教室 or 個人教室
大手教室と個人教室は見事に半々に分かれました。大手の中ではヤマハ11名、カワイ2名でした。そのほか、東京音楽大学附属音楽教室と洗足学園音楽大学附属音楽教室に通われていた方がいらっしゃいました。
なお本問では、「複数に該当する場合はもっとも長い期間通った教室を選んでください。ヤマハ+個人の先生にまったく同じ期間通った、のような場合はヤマハを選択してください。その他の方は具体的な教室名を教えてください」という注釈をつけさせていただきました。複数回答にしなかったのは、現在音楽を仕事にしているような方々であれば、個人教室の併用率は100%だと予想できたためです(実際100%でした)。
個人レッスン or 個人レッスン+グループレッスン
「個人レッスンのみ」が15名、「個人レッスン+グループレッスン」が13名でした。
「個人レッスン+グループレッスン」と答えた13名のうち10名がヤマハに通っていた方で、残りの3名は「個人レッスンが主だったが、門下生同士で聴講し合う機会がたまにあった」「音大附属の音楽教室で、リトミックのみグループレッスンだった」というような回答でした。なおヤマハに通っていた方の総数は11名なので、1名を除いてグループレッスンを経ていることになります。
ヤマハでグループレッスンを受けたことがある方の中では、比較的早い段階で個人レッスンのみに切り替えた方と、しばらくグループレッスンと個人レッスンを並行し、小学校卒業や中学校卒業を機に個人レッスンのみになった方に分かれていました。
グループレッスンのメリット・デメリットについて考える
グループレッスンを受けたことがある方に「個人だけでなくグループレッスンを受けることによさがあると思いますか? 理由とともに教えてください」というアンケート項目を設けたところ、次のような回答が得られました。
※以降、自由記述をご紹介する際に、ほとんど原文ママ掲載させていただきますが、便宜上最低限の編集を入れさせていただいた箇所は斜めの表示にしております。かっこ書きは回答者の現在の専攻楽器です。
それぞれに得意分野が違うこと、アンサンブルすることでお互いの音をよく聴くこと、人前で発表するときの心構え、などが学べたのが大いに今にも役立っていると思います(打楽器)
グループレッスンでアンサンブルをたくさんしていたことが、現在でもオケや室内楽においてのアンサンブル能力にも繋がっていると思うので、経験してよかったと思っている(フルート)
小さい頃から演奏を聞き合ったり、アンサンブルができて、今とても役立っていると感じる。お陰でアンサンブル能力を褒めて頂ける事が多かったと思う(ピアノ)
高校から音楽科に進学しましたが、高校大学ともにアンサンブルがうまいと褒められた。 (中略)アンサンブルができるということは自分の強みになったと思う(ピアノ)
周りの演奏を聴いて合わせる、という力が身につきました。伴奏に役立ったと思います(ピアノ)
このように、アンサンブル能力につながったという意見があり、特に将来的にアンサンブルの機会が多い楽器に進んだ場合に大きなメリットがあると感じました。ピアノ専攻に進む場合であっても、伴奏やアンサンブルのスキル獲得の一助になる可能性がありそうです。
また、シンプルに「友だちと一緒のほうが楽しかった」「ほかの学区の友だちができて交流が広がる」というような意見もありました。個人的にも子どもが未就学児のうちは、グループレッスンで同年齢のお友達とわいわいリトミックをしたり、付き添いの親は親でママ友が作れたりしたら、楽しそうだなと感じます(人によっては逆に、ママ友づきあいが面倒に感じるパターンもありそうです)。
一方で、このような意見もありました。
先生の指導力による。グループレッスンでの音当てゲームは早押しだったので、わたしは参加していなくて母をやきもきさせていた。全員に満遍なく答えさせる先生がよかった
(自分のグループの先生はすばらしかったが)他のグループの先生は部活を禁止したり、練習してこないと楽譜やメトロノームで叩いたりすると聞いていた
先生との相性や先生の指導力によっては、グループレッスンが残念な時間になる可能性もあります。ただそれは個人レッスンにも言えることなので、親がよく観察したり、子ども本人の意見も聞いたりして、続けるメリットがあるかどうかを随時判断していけばよいと感じました。個人的には子どもが楽しそうにしているかどうかを、とにかく重視したいと考えています。
理想的な先生について
次に、個人レッスンを前提として、「どのような先生、どのようなレッスンでしたか」「今振り返って、そのレッスンについてどう思いますか」という2つの質問をさせていただきました。
1つ目の質問には自由記述で、2つ目の質問には「満足(今振り返ってもよい先生、教室に出会ったと思う)」か「不満(自分に子供ができたとき、通わせたいとは思わない)」の2択で回答していただきました。
先に2つ目の質問についてですが、回答の比率はこのようになりました。
ここで「満足」と回答した方が、「どのような先生、どのようなレッスンでしたか」という質問にどのように答えているかご紹介します。
当時のレッスンに満足している方の意見
▼先生が厳しいパターン
受験を考え始めてから習った先生はとても厳しかったですが、愛のある厳しさでした。 鍵盤が涙で滲んで見えなくなることも度々。笑 今でもずっと連絡を続けており、尊敬する大好きな恩師です
怒ると怒鳴る、ペンを投げてきたり、前の人に怒ってたりすると後の人にも長引く。だが、見込みがある生徒には音大・音高の道を勧め、本人が望めばしっかりサポートしてくれた。コンクール挑戦のときも予定が合えば聴きに来て下さったりして応援してくれた。また、大学の教授などとパイプがありレッスンの機会があれば積極的に声をかけてくれた。当時は「先生怖い」というイメージだったが、今思えばよかったと思う
大学の先生なので、基本的に厳しく、コンクールには毎シーズン出ていました。その都度明確な目標があり、それに適したレッスンや曲選びをしてくださっていたことが大変満足でした。テクニック的なことはもちろん、表現の幅を広げるために名曲なども取り入れてレッスンしてくださっていました
ショパコンや毎コン、ピティナなどのコンクールに参加しており、今思えば厳しいレッスンでした。基本的には大学生を教えている先生だったのもあるのか、当時子供だった自分たちのことも1アーティストとして見てくれているのを感じていました。音楽や周りのプレイヤーへの尊敬を忘れない姿勢は先生から学んだと思います
▼先生が優しいパターン
好きな曲を自由に弾かせてくれる優しい先生。コンクールは受けたければ受けてみようね、といった感じ。怖い先生に当たっていたら間違いなくピアノ辞めていたので、音楽が好きでい続けられているのは優しい先生に出会えたからだと思っている
ヤマハなのでヤマハ関係のコンクール等は参加必須、年中忙しかった。 私は全然練習しないタイプだったが、それでも優しい先生だった。 練習時間について諭されることはあったが、私達のためにとても毎回時間をかけて準備と工夫をしてくれているのを当時も感じ取っていた (普段のレッスンに加え、コンクールの曲決めやアレンジ、資料・楽譜・音源集めの他、 和声のレッスンに通ったり地元のアマオケに参加したりして 沢山のものを私達に還元して下さっていた)。 音楽の勉強の仕方をご自身で教えて下さっているんだなあと幼心に思っていた。 (中略)ある程度のところで、先生の紹介で別の先生をご紹介頂いた。その先生の人間性も素晴らしく、進路決定に大きく影響した。絶対に声を荒げず、本が好きだと言うと参考になりそうな本を沢山貸して下さったしCDも沢山聞かせて頂いた
数としては、先生が厳しかったというパターンのほうが多かったです。ただ、厳しいといってもそれは愛のある厳しさなのだと、童心ながらにみなさん理解していたようです。また、「厳しく指導してくださったからこそ、基礎がしっかり身に付いてその後の助けになった」という趣旨のことを考えている方が多かったです。
個人的に感動したのはこちらの回答。
もう一度人生やり直すとしても同じ先生につきたい
泣けます。
ほかにも本当にさまざまな回答があり、できることならすべてご紹介したいところなのですが、あまりに長くなってしまうので断腸の思いで断念します。
当時のレッスンに不満を感じた方の意見
不満があったと答えた方の意見もご紹介します。こちらはすべての回答に共通点があり、「先生が熱心ではなかった」「教える技術に不満があった(習っている意味がなかった)」という趣旨の回答が集まりました。
楽しくは弾けたけど、高校から音大進学を考えた際、技術的にはかなり足りなくて苦労しました
コンクールに挑戦するようなことはなく、生徒の好きなようにさせてくれるとてもゆるい先生だった。生徒にやる気がなければ特に上手くもならないようなレッスンをずっとしていた
先生選びは本当に大事で、全てだと思う。 また、自分も教えるようになってからは、先生側の演奏能力と教える能力は別だと感じた(もちろん両方できる先生もいらっしゃるけれど)
子どものうちは、“今いる世界” しか知らないために、あとから振り返って「あの先生とは合わなかったな」と気づくことも少なくないかと思います。それはそれで経験として悪いものではないと思いますが、親も継続的に子どもやレッスンのようすに気を配り、場合によっては「違う先生に習ってみる?」とアシストしてみてもよいかもしれないと思いました。
結局、どんなレッスンを受けさせるのがよい?
大前提として、子どもと先生の相性、子どもの性格などさまざまな要因によって結論は変わるので、明確な答えはありません。通わせてみないとわからない部分も多いと思います。
個人的にはやはり、幼いうちはグループレッスンを通してソルフェージュやアンサンブル、音楽そのものの楽しさを知ってもらい、本人にやる気があれば個人レッスンも進めていく形がよいかなと感じました。
音楽家のみなさんにも「お子さんができた場合(いる場合)、どのようなレッスンを子供に受けさせたいですか。自由に記述してください」という質問をさせていただいたので、回答をご紹介します。
グループも個人も受けさせたい。特に小さな頃からソルフェージュが学べるところがよいと思っている
信頼のできる個人の先生にお願いし、先生の家に伺う形で通わせたいと思っています。 (レッスンバックを持ち、別のお家に行くという行動だけでも身が引き締まるので) レッスン内容だけでなく、集中力を持たせるためのプロセスも大事だなと感じています
ソルフェージュと楽理を小さい頃に仕込むことと、様々な楽器を経験させることは特にさせたいと感じている
正直絶対音感はあったほうが選択肢も広がるので、子供が音楽に興味をもつようならきちんと見てもらえる個人レッスンにすると思います。(先生の指導力に期待できるという意味で)音大附属幼稚園に入れるかもしれません
基礎は無理のない程度にしっかり学ばせた上で、そこからは子供の意思を汲んで好きにやらせたい
好きなように弾いて、楽しく演奏できるならどこでもいいと思っています。私がヤマハに通っていたので最初はヤマハを勧めると思いますが、講師が合わなかったり楽しくないと感じるようなら即変えます
個人かグループかはあまりこだわりがなく、本人が楽しめるレッスンと出会えればよいと思います。音楽の道に進ませたいとは思っていないので、好きになってくれるだけで十分です
細かな意見はそれぞれですが、本人が楽しめることを重視する方が多かったです。子どもの笑顔が一番ですよね!
音楽を好きになってもらうための、親の関わり方とは
最後に、習い事をサポートする上で重要となる、親の関わり方についても考えていきたいと思います。
いざピアノを習わせるとなったとき、親はどれくらい関与したほうがよいのか、悩みますよね。しっかりと練習時間や方法を管理したほうがよいのか、もしくは口出しせずに見守るべきなのか…。
ぜひ音楽を仕事にしている方々がどのような環境で育ったのか参考にさせていただきたいと思い、こちらもアンケートをとらせていただきました。本当に多種多様だったので、すべて紹介したいところですが、スペースの都合上、一部を以下に紹介させていただきます。
毎日練習するように促されました… その頃はつらい部分もありましたが、今ピアノが弾けるのはその頃の地道な積み重ねあってのことなので、とても感謝しています
レッスンには中学2年生までついてきて、ビデオを撮ってくれていましたが、特別厳しく何か言われたことはありませんでした。音楽大学に進みたいと小学3年生のときに親に伝えましたが、そのときも意志を尊重してくれました
両親共にピアノ未経験なので練習については何も言ってこなかった。音楽の道は自分が志望し、両親はそれを応援してくれた形
ピアノの道に進みたいというようなことを私がいったことから(私は覚えていません)、音大受験ができるような先生を探してくれたり、時々先生と電話でやりとりしてくれたりしました。途中、ピアノを弾くのが楽しめずに苦しかった時期が長く、少し話した覚えがありますが、スルーされていたように記憶しています。気軽に話を聞いてもらえる関係をもっていたらよかったな、と思います
毎日の練習は促されたが、高校進学とともにピアノをやめるものだと親は思っていた(出身地でピアノ習う子の多くがそうだった)。そのため、必死で親を説得し、芸高受験をさせてもらえるようお願いし、芸高を落ちたらピアノは趣味にするという約束で受験が叶った
幼いうちは毎日決まった時刻に練習を促された。習慣化を目論んでのことだったが、幼いうちはどうしても自分だけで習慣を作るのは難しかった。レッスンには必ず同席して、先生から言われた言葉は親がメモ→毎日の練習時に親が先生代わりとなってポイントを繰り返すのが日常
音楽好きの素人だったので、若干足を引っ張られていると感じていた(スポ根理論の押し付け等)。基本的には放置されていたが、逆にそれでよかったと思う。(中略)小さい頃はレッスン=一緒に歌って踊れる時間だったので嬉しかった記憶がある
私がピアノを続けたのは親が趣味でピアノを弾いている姿を見ていたからだが、親は特に関与してこなかった。音楽の道に進むこともどちらかと言えば反対されたが、私の主張に最終的に折れた形
両親共にピアノ未経験なので練習については何も言ってこなかった。音楽の道は自分が志望し、両親はそれを応援してくれた形
演奏の感想を純粋に教えてくれたり、上手くいったときに一緒になって喜んでくれました。音楽の道に行きたいと話したときも、メリットデメリットを一緒に考えたり本当にそれでいいのかを確認されたりはしましたが、最後は快諾してくれました
以下のような、胸の痛む回答もありました。
母親はごく一般レベルでしかピアノが弾けないのに、毎日ピアノを練習することを強要し、練習中も叫びながら叱られピアノの部屋に閉じ込められるなど、今なら虐待で訴えられるほどの状態でした。自分より弾けない人にうるさく言われるのはかなり負担でした。なのでピアノの練習は大嫌い、クラシックも嫌いになりましたが、音楽以外の道に進むということすら考えたことがなかったため芸大を目指すことは自分で決めました。もちろんピアノ科という選択肢は小5くらいにはなかったです
母親の練習管理は厳しく、間違えるとゲンコツが飛んできたこともあります。実際、母親を喜ばせるため(怒られないため)にピアノを習い続けていた側面もあります
練習には細かく口出しをした。本番で失敗した時に理不尽に責められることがあり(何故あそこで失敗したの?と、まだ演奏直後で自分でも答えがわからない時に聞かれるなど)、それがひどくストレスだった。それらは大学を卒業するまで続いた
これらの意見を咀嚼して、個人的には次のような結論に達しました。
・練習自体はある程度促し、習慣化のサポートをする
・その上でレールを敷きすぎないよう気をつけ、本人の意向がある場合には環境を整える努力をする
レッスンに同席して練習の具体的なサポートまでするべきかどうかは意見が分かれそうです。親子の関係性や、親御さんの可処分時間などによっても変わるかと思います。わたし個人は、中途半端に音楽の知識があるので、あまり口出しすると悪いほうに作用してしまう可能性があるなと感じました。
話が飛躍してしまうのですが、音楽教育と親子関係については時代を超えてさまざまなドラマがあるようです。COSMUSICAで連載中の『絵画と音楽』では、アンリ・マティス(ピカソと同時代に活躍した画家)が父親から練習を強要され音楽に対して複雑な感情を抱くようになった経緯が、『モーツァルトとワイン旅行』では親から「神童」として育てられたモーツァルトの人生が、『放課後の音楽室』では「神童」に夢をかける大人たちのエピソードが紹介されています。音楽教育を考える上で反面教師になるエピソードがてんこ盛りなので、お時間が許せばぜひ併せてお楽しみいただければと思います。
音楽は「音」を「楽」しむもの!
当たり前ですが、音楽家一人ひとりにそれぞれのストーリーがあり、このような音楽教育をするとこのような未来が保障される、というようなルートはもちろんありません。それでもアンケートの回答を拝読して、音楽が好きだという気持ちに加え
・よい師とめぐり会うこと
・親御さんのほどよいサポートを得られること
が重要であることが改めてわかりました。
また、子どもにとって音楽が苦しいものになってしまわないよう、気を配ることが本当に大切だと感じました。もちろん、厳しく練習をさせる場合も、突き詰めれば子を思ってのことでしょうし、最終的に「あの頃は大変だったけれど今は親に感謝している」という着地をする例もあるわけですから、一概によくないことだとは言い切れません。ただ、やはり何らかの形で、音楽の楽しさをどこかで感じられるような環境があることが、一つ重要なことなのではないかと感じました。
本記事を読んでくださったみなさんが、お子さんと楽しい音楽ライフを進めますように!
わたしもまた、娘の成長とともにお教室のことなどレポートしていけたらと思います。近い年頃のお子さんを育てている親御様は、ぜひ今後もCOSMUSICAをチェックしていただけましたら幸いです。

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