L→R 桜井 賢(Vo&Ba)、坂崎幸之助(AG&Par)、高見沢俊彦(EG)

L→R 桜井 賢(Vo&Ba)、坂崎幸之助(AG&Par)、高見沢俊彦(EG)

【THE ALFEE インタビュー】
思いどおりにならなくても
僕らは生きていかなくちゃいけない

3人で何か世界を作っているのが
ファンタジーなものになっている

さて、もう一点。これは歌詞というよりも世界観の話でしょうけれども、「天地創造」に《身近な場所に愛はある》とあり、「My Life Goes On」には《君だけは 側にいて欲しい》とあって、本作では身近な人への愛情、その大切さを歌うものが多く見受けられる一方で、《ペガサスの翼》《ミカエルの剣》(「天地創造」)、「時の方舟」や「Orionからの招待状」のようなファンタジーな要素がありますよね。この現実と幻想とのバランスもTHE ALFEEらしさだと思ったところなんですが、高見沢さんの中では自然とこのくらいのバランスになるんでしょうか?

高見沢
結構考えますよ、これは。特に「天地創造」はタイトルがタイトルなだけに。3人とも一応クリスチャンの学校出身ですけど、実家は仏教ですし、神社にも通ってますからね(笑)。実はクリスチャンは誰もいない。

(笑)。ファンタジーになりすぎないということですか?

高見沢
いや、歌の世界は常に夢があったほうがいいと思うんですよ。現実を歌うのももちろんいいんですけど、THE ALFEEというバンド感がある意味でファンタジーじゃないですか。いくつになってもやっている…“まだやってんの?”みたいな(笑)。だから、さっきも言ったように、サウンド面で静と動があるなら、歌詞にも静と動があって、ファンタジーなものから身近なものまで…というね。身近なものというのが逆にこのアルバムのひとつのポイントかもしれない。コロナ禍によって自分のことを考えるようになったし、ひとつのテーマとして“人生は思いどおりにいかないものである”というカテゴリーを自分の中で決めたからこそ、逆にファンタジーなものも出てきた。“思いどおりにならないからこそ、頑張って生きていこう”という方向へ行かないといけないと思うし、そこで《ペガサスの翼》《ミカエルの剣》とか現実ではないんですけど、3人で歌えば歌の世界の中ではそれが現実になるわけですよ。それで、愛は身近なものであるという。そのバランスは考えましたよ。

3人で歌えばファンタジーも現実になる…それも妙に納得させられますね。

高見沢
いつも3人でいたからあまり気づかなかったけど、このコロナ禍で気がついたことが多いんですよ。これも何度も言っていることですけど、ワクチンを打つために自分で予約をして区が指定した場所に行ったわけです。で、指定場所に行った瞬間、そこにいる人たちを見て“あっ、俺ってここの部類なんだ…”と思って(苦笑)。
坂崎
そこです(笑)。
高見沢
実年齢は前期高齢者以上ですからね。しかも、いつもの格好で行っちゃったもんだから浮く浮く(笑)。
桜井
あなたはそういうことに向かないから(笑)。

(笑)。THE ALFEEのライヴも生活感がないですよね。ステージもファンタジーと言えばファンタジーですし。

高見沢
歌の世界も「メリーアン」(1983年6月発表のシングル)にせよ、「星空のディスタンス」(1984年1月発表のシングル)にせよ、ある意味でファンタジーですしね。《星空の下のディスタンス/燃え上がれ!愛のレジスタンス》って意味不明じゃないですか(笑)。

(笑)。ただ、その根底にはしっかりと現実があることも間違いなくて、歌の世界で現実がファンタジーに上位互換されているのがTHE ALFEEの醍醐味なのかもしれませんね。

高見沢
そうですね。弾き語りで生活感を歌う歌も僕は好きですよ。でも、ただし、今の3人には向かないと思う。3人それぞれ生活感も性格も違いますからね。THE ALFEEというキャラクターを考えた場合、コンサートを含めて、ファンタジ性のある楽曲の方が、ステージ映えをするというのが僕らの答えです。ステージパフォーマンスはある意味日常からの脱出を想定してますからね。
坂崎
ソロでやっている方とかね、バンドでもヴォーカリストがひとりいて、その人の世界でやっているのであれば、現実的なメッセージだけでも届くと思うんですよ。でも、うちらは3人で、しかもほぼ同じような分量で歌っていますから、その人その人の現実感というのは見えないほうがいい。3人で何か世界を作っているというか…それがたぶんファンタジーなものになっている。
高見沢
今回のアルバムで一番現実的なのは「Funky Cat」の《突然彼女にふられた》ですね(笑)。
坂崎
あと、「My Life Goes On」の《突然 ミケが 天国へ》と(笑)。

そこですよね。日常感はちゃんとありつつもファンタジックになるという。

高見沢
僕らは日常を歌えば歌うほどファンタジックになるんですよ(笑)。
坂崎
あははは。あり得ないことだからね(笑)。
高見沢
そういうふうなステージをしてきたわけであって、ファンタジックなものではなく、いい意味で身近なもののほうがフェイクっぽいのかな?
坂崎
実感が伴わない(笑)。
高見沢
でも、それが歌の世界だからね。

それでは最後に。今まさにお話いただいたTHE ALFEEファンタジーのひとつであるコンサートが今春からようやく再開されることが決まりました。桜井さん、このインタビューの締めとしてツアーへの意気込みをお願いします。

桜井
もうできるだけで嬉しいですよ、本当に。4ツアーもできなかったわけで、これだけでも100本以上になるわけですから。落とし前をつけたいですね! 
高見沢
じゃあ、100本追加する?(笑)
桜井
できれば…って、いきなりは無理だろう。体力が(苦笑)。でも、ツアーができる喜びを噛み締めて臨みたいと思います。
高見沢
ファンの方にはアルバムを予習してもらってね。
坂崎
こっちも予習しないといけないな(笑)。
桜井
…もう大変だ。頭に入らないから(苦笑)。

取材:帆苅智之

アルバム『天地創造』2022年2月23日発売 Virgin Music
    • 【初回限定盤A】(CD+DVD)
    • TYCT-69230
    • ¥4,400(税込)
    • 【初回限定盤B】(CD+DVD)
    • TYCT-69231
    • ¥4,400(税込)
    • 【初回限定盤C】(2CD)
    • TYCT-69232
    • ¥3,850(税込)
    • 【通常盤】(CD)
    • TYCT-60191
    • ¥3,300(税込)

『THE ALFEE 2022 Spring Tour 天地創造』

3/31(木) 埼玉・川口リリア メインホール
4/02(土) 栃木・宇都宮市文化会館
4/06(水) 東京・府中の森芸術劇場どりーむホール
4/09(土) 京都・ロームシアター京都メインホール(京都会館)
4/10(日) 京都・ロームシアター京都メインホール(京都会館)
4/16(土) 山口・周南市文化会館
4/17(日) 広島・ふくやま芸術文化ホール リーデンローズ
4/20(水) 神奈川・相模女子大学グリーンホール
4/23(土) 岩手・北上市文化交流センターさくらホール
4/24(日) 宮城・仙台サンプラザホール
4/29(金) 群馬・美喜仁桐生文化会館シルクホール(桐生市市民文化会館)
5/04(水) 広島・広島文化学園HBGホール
5/05(木) 岡山・倉敷市民会館
5/08(日) 三重・三重県文化会館
5/13(金) 北海道・札幌文化芸術劇場 hitaru
5/14(土) 北海道・岩見沢市民会館
5/20(金) 福岡・北九州ソレイユホール
5/21(土) 熊本・市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
5/28(土) 東京・国際フォーラム・ホールA
5/29(日) 東京・国際フォーラム・ホールA
6/05(日) 静岡・アクトシティ浜松
6/08(水) 千葉・千葉県文化会館
6/11(土) 大阪・フェスティバルホール
6/12(日) 大阪・フェスティバルホール
6/15(水) 神奈川・神奈川県民ホール
6/18(土) 長野・まつもと市民芸術館
6/19(日) 新潟・新潟県民会館
6/25(土) 愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール
6/26(日) 愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール

THE ALFEE プロフィール

ジ・アルフィー:1973年、明治学院大学キャンパスにて出会いグループを結成。翌74年8月にシングル「夏しぐれ」でデビューを果たし、83年発表のシングル「メリーアン」が大ヒットを記録。以降、日本の音楽シーンを代表するバンドとして活躍している。関西テレビ『大阪国際女子マラソン』のイメージソングを1987年から31年間31 曲、担当したことを“同一国際スポーツ大会のテレビ放送における同一アーティストによる最多テーマソング数”として、18 年12月24 日に行なわれた日本武道館公演でギネス世界記録に認定された。また、コンサートツアー・イベントと精力的な活動を続けており、日本のアーティストの中でもコンサート動員数が多いグループのひとつに挙げられている。コンサート通算本数は22年12月に開催された『THE ALFEE 2022 Winter Genesis of New World Final 冬の天地創造』公演終了時に、コンサート通算本数2,835本を達成。日本のバンドでコンサート実施通算本数の最多記録を更新中!THE ALFEE オフィシャルHP

OKMusic編集部

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