中川晃教、花總まりらが、希望と勇気
に満ちた宇宙の旅へ 『銀河鉄道999
THE MUSICAL』制作発表レポート

松本零士による人気漫画『銀河鉄道999』。テレビアニメ化、劇場版アニメ化に加え、舞台、音楽劇も制作された。今回は1979年公開の劇場版をモチーフにオリジナルストーリーを組み込み、ミュージカルとして新たな物語が紡がれる。
演出は第10回小田島雄志翻訳戯曲賞や第25回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞している、新進気鋭の演出家・小山ゆうな。脚本・歌詞は『ジャージー・ボーイズ』や『デスノート The Musical』などを手がける高橋亜子。そして音楽監督として『銀河鉄道999』の主題歌をはじめとするヒット曲を数多く生み出してきた、ゴダイゴのミッキー吉野を迎える。主人公・星野鉄郎は松本零士からも絶賛された中川晃教が舞台第1作目から続投。さらに、数々のミュージカルで活躍する花總まりがメーテルを務め、2.5次元舞台を中心に活躍する佐藤流司が機械伯爵を、話題のミュージカルに次々出演して注目を集める梅田彩佳がガラスのクレアを演じる。さらに、徳永ゆうき藤岡正明矢沢洋子松本梨香北翔海莉三浦涼介と、実力派キャスト人が集結。様々なジャンルで活躍するクリエイターやキャストによる化学反応に期待が高まる。

まずは会見に先駆け、制作陣からの挨拶が寄せられた。
東映アニメーション株式会社 清水慎治
清水慎治
これまで中川晃教さんによる鉄郎で2回公演を行い、今回はメーテルに神田沙也加さん、音楽をミッキー吉野さんにお願いし、ミュージカルにチャレンジしようと準備しておりました。昨年末、神田さんの突然のご逝去の報道があり、中止も考えました。しかし、神田さんの事務所より「沙也加のためにも実現させてほしい」との言葉をいただき、スタッフ一同この作品への思いが強かったこともあり、再始動を決心しました。花總まりさんという素晴らしい女優さんからのOKのお返事、非常に嬉しかったです。たくさんの方からの温かいメッセージにもこの場を借りて御礼申し上げます。万感の思いを込めて、『銀河鉄道999 THE MUSICAL』を発信していきます。
脚本・作詞 高橋亜子
この度は『銀河鉄道999 THE MUSICAL』の脚本を書かせていただき、大変光栄に思っております。松本零士先生の原作には、限りある命を生きる人間の悲しさと素晴らしさが存分に描かれています。今回はそこにオリジナルストーリーも加え、鉄郎という1人の少年がメーテルやたくさんの人々と出会い、彼らに勇気を与え、自分も勇気を得て、大きな戦いに挑む姿を描いています。人と人との繋がりを生む力。託された思いを大切に、未来へ繋げていくことができるのだと思います。現実の世界では、感染症も含め、厳しい状況が続いておりますが、未来を信じて立ち向かう鉄郎の姿に少しでも勇気を感じていただけたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします。
演出 小山ゆうな
小山ゆうな
世界的に知られている松本先生の名作の舞台化に関わらせていただき大変光栄に思っております。『銀河鉄道999』を知り尽くしている大ファンであるプロデューサーの田口さんが情熱を持って取り組んでいらっしゃるミュージカル版、私も日々ワクワクしながら準備をしております。鉄郎を演じる中川晃教さんは、色々な側面から作品のこと、役のことを深く理解されていらっしゃいますし、錚々たるメンバーの歌、お芝居、ダンスなど、様々な要素も楽しんでいただけると思います。このお話をいただいたときに、舞台版1作目のパンフレットに松本先生が書かれていた「私は空爆敗戦占領下の時代を経験しました。その時代の中でも多くの映画や書籍に触れて、そこで生まれた夢を描きました」という言葉を思い出しました。『銀河鉄道999』は素晴らしいエンターテインメント作品であると同時に、鉄郎の純粋な眼差しを通して、命やささやかなものの美しさについて、松本先生の哲学が描かれた作品。今回の舞台ではアンサンブルに至るまで全ての命が輝けるよう稽古していきたいと考えています。高橋亜子さんの台本では、松本先生が描かれた膨大な設定やストーリーから、より今の時代に合ったエピソードやキャラクターが選ばれています。そこにミッキー吉野さんによる本当に美しく新しい音楽が流れます。旅をすること自体難しい世の中ですが、旅、それも宇宙の星々を旅する体験を客席の皆様とも共有できるよう、全員で臨みたいと思います。
音楽監督 ミッキー吉野
ミッキー吉野
以前、中川くんが演じたお芝居を見に行き、今回ついに音楽監督をやらせていただきます。『銀河鉄道999』はもちろん松本先生の素晴らしい作品ですが、僕にとってはゴダイゴ最大のヒット曲でもあるんです。コロナ禍でも、この曲に後押しされたような感じがしていて。今回考えたのが、銀河鉄道の詩にもあるように「古い夢は置いて」新しくスタートするイメージを持って作っていきたいということ。若手の作曲家3人と一緒に、“チーム999”というのを結成してこの音楽制作にあたっております。
ここで、主人公・星野鉄郎を演じる中川晃教が登場。制作発表のみの特別ver.として、ミッキー吉野の伴奏のもと、本作のメインテーマ「マイ・ディグニティ」を披露した。
中川晃教
ミッキー吉野
中川は「今日はミッキーさんの鍵盤と僕の歌のみということで、ちょっと大人っぽい、この楽曲が持つ別の側面が見えるのかなと思う」と言いながらスタンバイ。宇宙を思わせる伴奏に乗せて、決意と勇気を力強く歌い上げる。しっとりした大人っぽさもありつつ、少年らしい勢いやワクワクを感じさせる中川の歌唱に、ミッキーの演奏も熱を帯びていく。セッションが盛り上がる様子は見ていて心地よく爽快で、本番への期待もグッと高まった。
歌唱披露を終えると、二人は「緊張しますね」と顔を見合わせて笑顔。中川の「ピアノとボーカルだけ、そして星野鉄郎と『銀河鉄道999』というワードだけで、これから始まる物語が見えてくるような気がします」という言葉にミッキーも「この緊張感を持って、みんなでいい物を作っていきたい」と意欲を見せた。
続いて、メーテル役の花總まり、機械伯爵役の佐藤流司、ガラスのクレア役の梅田彩佳が登壇。キャスト陣による会見が行われた。
ーーまずは中川さん、ミュージカル化のお話を聞いたときのお気持ちを聞かせてください。
中川晃教:この作品がミュージカルになることへの驚きがありました。国内外でさまざまなミュージカルがある中で、日本オリジナルの作品として『銀河鉄道999』がミュージカル化されるということに、とてもやりがいを感じます。ミュージカルというのはやはり楽しいものだし、感動がたくさん詰まっている。そして、楽しみにしてくださるお客様・ファンの方々が一緒に盛り上げてくださっていることを実感しているので、喜びでいっぱいですね。
ーーオファーを受けた時の気持ちはいかがでしたか。
花總まり:私は本当に突然のことでしたので、ただただ驚きました。様々な感情が交錯してとても複雑な気持ちでしたが、神田さんがすごく楽しみにしていた役ですし、楽しそうにお話しされていた姿が今でも目に浮かびます。今は、彼女の分も一生懸命やりたいというそれだけです。
花總まり
佐藤流司:これまで色々な役をやらせてもらいましたが、今回は機械。人間の頃もやらせていただくことになると思いますので、二面性があるというか、役者冥利に尽きる役をいただけたという喜びがありますね。そしてこの作品は、日本では知らない人がいないんじゃないかというくらい有名。本当に光栄に思っています。
梅田彩佳:本当に嬉しくて、マネージャーさんからのお電話に、携帯の前に正座して「ありがとうございます!」と言いました。『銀河鉄道999』の世界に入れることにとても興奮したのを覚えています。
ーー改めて、ご自身の役について教えてください。
中川:僕は今39歳ですが、16歳の少年を演じます。流司さんもおっしゃいましたが、誰もが知っている『銀河鉄道999』のキャラクターを演じられるのはやっぱりとても嬉しいです。聞くところによると、映画版の鉄郎はちょっとイケメンに描かれているそうなんです。アニメ版はころっとして愛嬌のある表情で。最初はこの両方をどうやって共存させようか考えましたが、鉄郎の実直さや真面目な性格と向き合っているうちに、自分の周りにもこういうタイプの子がいたな、自分にもこういう一面があったかもなって気付かされるところもあって。色々な旅と素晴らしい出会いを通して気付きを得て、未来へとまた旅を進めていく。希望に満ちているけど人間臭さもある16歳を精一杯生きて、皆様にお見せできたらいいなと思っています。
花總:メーテルについてはまだまだ分からないところがたくさんあります。一般的にはミステリアスな謎の美女というイメージですよね。でもそこに母性や内に秘めた悲しみがある。台本を読んでお稽古を進めていくうちに、今までの想像を超えたメーテル像が浮かんでくるのかなと思っています。日本はもちろん世界にもメーテルファンの方はたくさんいらっしゃると思うので、そのイメージを壊さないように気を付けながら、本作ならではのメーテルを作っていけたらと思います。
佐藤:機械伯爵は、やりたかったことをなし得ず生涯を終える役。でもとても大きな夢があったり、平和を愛していたり、本当に優しい人間だったという記憶を主人公に託して生涯を終える。誰にでも愛されるような人間が変わっていく様子、心まで機械に侵されていく葛藤のようなものが、今の社会の色々なことにマッチするというか、刺さると思いました。たくさんの人の心を打つんじゃないかと思っています。
佐藤流司
梅田:ガラスの役は初めてで、どう演じるか考えたときに、まず掴んでみようと思ったんです。最初は冷たかったけど、私の体温が伝わって温かくなったガラスを見て、すごく寄り添ってくれるものなのかもしれないと思いました。クレア自身の強さにプラスして、温かさが出せるように頑張りたいと思います。
ーービジュアル撮影の感想を教えてください。
『銀河鉄道999 THE MUSICAL』メインビジュアル  (c)松本零士・東映アニメーション (c)『銀河鉄道999 THE MUSICAL』実行委員会
中川:先日、花總さんと2ショットを撮った時に、この作品は鉄郎が主人公だけど、同時に登場人物全員が主役の物語なんじゃないかと感じました。鉄郎が目的を果たすために999に乗るきっかけを作ってくれたのはメーテル。衣装を身に纏った花總さんとカメラの前に立って、旅が始まったという感動を覚えました。
花總:​正直、原作があるものはやはり難しいなと思いました。私の中にも、「メーテルはこう」というイメージがありますし、演じるにあたって色々なビジュアルを見ましたが、いざ自分が衣装を着ると違うという気持ちがまだまだあります。初日までに追求し、よりメーテルらしく作っていきたいです。
佐藤:​原作に忠実でありながらより良いものを作ろうという思いが伝わる、無機質でラグジュアリーなデザインの衣装でした。その分通気性はゼロ。しかし設定上は機械の体なので、汗をかいてはよろしくないのかなという思いがあり、心頭滅却して挑みました。
梅田:​いよいよ銀河鉄道の世界に行けるんだという気持ちになりました。衣装を着るとワクワクしてもっと頑張りたいと思いました。
梅田彩佳
ーーこの作品について、楽しみにしていることはなんですか?
中川:歌稽古はもう始まっていて、クリエイターの皆さんがどう作っていくのかが少し感じられています。どうやったらお客様をこの物語に誘えるかはまだ見えませんが、ミッキーさん率いる音楽チームが作ってくださった楽曲を手がかりに少し見えた気がしてワクワクしたので、これからの稽古でたくさんワクワクドキドキしていきたいです。
中川晃教
花總:今回初めてご一緒する方も多いので、一緒に作品を作れるのが楽しみです。それと、今までは自分一人で役に向かって、一人で悩みながらぶつかっていたんですが、今回は一人じゃないと考えているので、それが支えになってくれています。楽しみとは違いますが、今までにない経験ができる公演になると思っています。
佐藤:大先輩方に囲まれ、歌や芝居を間近で見て勉強させてもらいながら食らいついて、何度も打ちのめされながら本番を迎えると思うんです。千秋楽を迎えた時に自分の中で役やこの作品がどう変化しているか、今から楽しみですね。
梅田:私も同じで、大先輩の皆さんと一緒にお稽古して勉強できるのがすごく楽しみです。たくさんのことを学び、切磋琢磨していきたいと思っています。
ーー最後に、この舞台への意気込みや皆様へのメッセージをお願いします。
梅田:本当に私自身もすごく楽しみですし、たくさんの方に本当に見ていただきたいと思います。ぜひお越しください。
佐藤:言わずと知れた不朽の名作ということで、私から口に出さんでもおすすめせんでも皆さん魅力は十二分に知ってらっしゃると思います。一つだけ言えることは、俺を見に来ていただきたいなってその一心です(笑)。
花總:とにかく心を込めて一生懸命頑張っていきたいと思います。ぜひ皆様、見にいらしてください。
中川:16歳を精一杯生きていきたいと思います。足を運ぼうと思ってくださっている方も、先のことは分からないと思ってくださる方もいると思います。ですが、劇場に足を運んでいただけたなら感動が伝わる作品を作り上げられるよう、心を込めて挑んでいきたいと思います。
(左から)梅田彩佳、花總まり、中川晃教、佐藤流司
本作は2022年4月8日(金)より18日(月)まで、日本青年館ホールにて上演される。また、それに先駆けて3月5日(土)18時より、文化放送にて特別番組『中川晃教、花總まりのラジオ鉄道999』を放送。星野鉄郎役・中川晃教とメーテル役・花總まりをパーソナリティに、ゲストとして機械伯爵役の佐藤流司、クレア役の梅田彩佳も出演する。
取材・文=吉田沙奈

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