極限状況で展開される四人の奇妙な会
話 現代イタリア劇作家ルイージ・ル
ナーリの代表作が、白井晃演出で本邦
初演決定

2022年9~10月、世田谷パブリックシアターとりゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)との共同主催企画として、白井晃演出によるイタリアの現代演劇『住所まちがい』の翻訳上演が決定した。今回が本邦初演となる。
ミラノ・ピッコロ座の座付作家ルイージ・ルナーリが1990年に発表した『住所まちがい』。現在までに世界20か国以上で翻訳上演されているルナーリ自身の代表作ともいえる作品で、中年の男性三人と女性一人の四人が登場する。登場人物はイタリアの伝統演劇「コメディア・デラルテ」の代表的なキャラクターをベースに現代的なアレンジが加えられた、いわば“現代の中産階級に属しているだれか”を彷彿とさせる人々だ。自分の生存すら不確かな極限状況で展開される四人の奇妙な会話。達者な役者の演技に支えられ、それぞれの人生観が凝縮した会話の妙が楽しめる上質な喜劇だという。
演出の白井は、ルナーリ作品には世田谷パブリックシアター主催公演『パードレ・ノーストロ―我らが父よ』(2002年、演出:佐藤信)に出演。上演時に作家が来日した際には意気投合し、ルナーリ本人から自身の作品を演出することを勧められており、今回の上演に至った。同じ場所で遭遇し、混乱に巻き込まれる男性三人を演じるのは、仲村トオル、田中哲司、渡辺いっけい。物語の鍵を握る謎の女性役は草笛光子と朝海ひかるがダブルキャストで演じる。なお、本作は2022年4月より世田谷パブリックシアターの芸術監督に就任する白井晃の、就任後初の演出作となる。
ストーリー
社長、大尉、教授の三名が、それぞれの理由で――社長は女性との密会のため、大尉はビジネスのため、教授は自身の最新出版書のゲラチェックのため――同じ場所に居合わせる。三人が鉢合わせたこの場所はホテルなのか、事務所なのか、それとも出版社なのか。最初は互いに自分が正しいと信じていたが、実はそうではないことがわかってくる――住所は三人それぞれにとって「正しい」住所だったということに。
奇妙な状況下、突然、大気汚染を告げる警報ベルが鳴り、三人とも外に出られなくなってしまう。三人は一緒に一晩を過ごすことになるが、徐々に恐ろしい疑念が頭をもたげてくる。もしかしたら…。
三人の会話はユーモアに富み、生と死、運命、宿命、自由な意志、神の存在、無神論等の話題がゴシップのように語られていく。すると突然、掃除婦らしき謎の女性が部屋に入ってきて曖昧なことばかり語り始める。三人の疑念はさらに強まっていく…。

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