L→R 日暮郁哉(Dr)、久喜有乃(Piano&Vo)、黒後祐人(Ba)

L→R 日暮郁哉(Dr)、久喜有乃(Piano&Vo)、黒後祐人(Ba)

【ピウムジカ インタビュー】
3人の個性を重んじながら
誠実な音楽を作る

聴き手も自分も感動できる
そんな音楽を作り続けたい

“素敵な人間”ですか。かなりアバウトな進言ではありますもんね。みなさんの中で、その答えは出ているんですか?

久喜
考えに考え抜いた中で、ある時にふと“私は愛されている人間なんだ”と思ったんです。世の中には私よりも厳しい環境で生きてきた人がいて、そういう人生を歩んできた人だからこそ出せる説得力や深みって絶対にあると思うんです。でも、私はそうではない。幼い頃にピアノを習わせてくれた両親がいて、仲間もいて、助けてくれる人たちがたくさんいる。そうして多くの人に愛されてきたということが、私自身の大きな個性だと気づけたんですよね。だから、私を大事にしてくれる人がいる事実を受け止めながら、私自身は誰かを笑顔にするために生きていく。それが、私の思う“素敵な人間”なんだという答えに辿り着きました。
日暮
僕は、損得関係なく人と接することができることなのかなって。これは、自分が尊敬している人たちがみんなそういう人だからなんですけど。
黒後
嘘をつかず、誠実でありたい。そして、人のことを思いやれる人間であること…ですね。ライヴでも以前は手拍子を煽っていたんですけど、ピウムジカではそれをしていないんです。強制することでもないですし、そのぶん自分自身も集中してプレイできる。その結果、お客さんが自然に動いてくれるのであれば、そのほうが断然嬉しいですしね。それも、相手のことを想うからこそ至った考えだと思っています。
久喜
それってある種、音楽に対する誠実さでもあるよね。同調圧力に頼るのではなく、音楽と真剣に向き合った結果、人が応えてくれるのであればそれが一番だし。

そうした“音楽と真剣に向き合う”という姿勢は、今作にも表れているように思います。今作は“ダイヤモンド”というタイトルですが、何かコンセプトなどはあったんですか?

久喜
“宝石のような煌めきを持った最高傑作を作る”という目途で制作しました。その決意をダイヤモンドという硬い宝石になぞらえています。
日暮
僕が目指しているのは“聴いた時に泣けるくらい感動する音楽”なんですけど、この6曲はその力を持った最高の楽曲だと思っています。“泣ける”というのは聴いてくれる人に対してだけではなく、演奏している自分自身も感極まってしまうほどのめり込める音楽が最高だと思っているんです。ピウムジカではそれができると思いましたし、今作はそれを体現できる作品になったと思います。だから、作詞作曲を担う久喜にはプレッシャーを与え続けています(笑)。
久喜
その期待は強く感じています(笑)。今作に「MUSICA」という楽曲が入っているんですけど、あの曲の歌詞は過去を更新し続けなければいけないという、自分の音楽的な縛りを綴ったものなんです。より良いものを作り続けなければいけないプレッシャーを感じているので、押しつぶされないように“頑張らなければ!”と思っているところです。

「MUSICA」のラストはグシャッと潰れた不協和音で終わっていますが、あの部分には今のお話にあったプレッシャーもかかわってくるのでしょうか?

久喜
あそこは冒頭のカオスゾーンも含めて、“音楽理論に基づかないフレーズが組み込まれたとしても、音楽は音楽足りえるのか?”ということに挑戦したものだったんです。なので、おっしゃっていただいたような苦悩を表現しているように見えて、意外とポジティブなチャレンジャー精神できでたアレンジなんですよ。
日暮
メロディーが良かったからこそできたアレンジだったよね。

でも、そうしたバンド自体が持つポジティブな面は、人とのつながりを求めるべく進んでいこうと歌う「C」からも伝わってきます。

久喜
輪っかが切れているように見える“C”の形状と、“CHAIN”や“CHANGE”の頭文字を取ったという意図もあります。歌詞に関しては言葉遊びを重視するよりは、曲の向こうにいる人に伝わるように、難しく考えないようにしています。「人間失格」はある時に友達を泣かせてしまった経験をもとに、妬み嫉みといったダークな感情を歌っているんですけど、最近は自分の中での解釈が変わってきたんです。相手を称賛するような人間賛歌に思えますし、そう思えたのも自分の中の素敵な人間像を掴めたことが大きかったのかもしれないです。

バンドが進んでいくのと同じ歩幅で感性や考え方も変わっていっているんですね。

久喜
ピウムジカになってから、よりパーソナルな部分を歌詞にできるようになったというのも変化のひとつですね。自分の中での対峙だったり、目の前にいる相手との対話だったり、そういうテーマが自然と増えてきている気がします。今までは作詞作曲を自分ひとりでやっているからこそ、私はひとりで何でもできると思っていたところもあるんでしょうね。でも、今回のリリース然り、日暮と黒後がいなければバンドはできていないことも然り、自分ひとりでは成しえないことばかりで。そのことに気づけたのは大きいです。
日暮
裏切りたくない人や応えたいと思える人がいること、自分たちを応援してくれる人がたくさんいるということにも気づけましたし。
黒後
僕たちが結果を出したらデザイナーの方やレコーディングエンジニアの方、プロデューサーなど、僕たちの周りの人も認められると思うんです。そうなったら嬉しいし、そのためにも頑張っていかなきゃなと思います。さっき話した“噓をつかない”というところにつながるかもしれないんですけど、今作は全曲一発録りなんですよ。不足しているところを直してカッコ良く見せることもできると思うんですけど、レコーディングって言葉のとおり“記録を残すこと”だと思うので、今の自分たちの在りのままを聴いてほしかった。だからこそ詰め込めたライヴ感もあると思うし、そこもぜひ感じ取ってもらえたら嬉しいです。

取材:峯岸利恵

ミニアルバム『ダイヤモンド』2022年2月16日発売 es records
    • ESRD-7
    • ¥2,750(税込)
ピウムジカ プロフィール

ピウムジカ:2021年6月に千葉で結成されたピアノトリオ。バンド名はイタリア語で“もっと音楽を”を意味する。同年9月に1st LIVE DL Card「ムジルシ」をリリースし、東名阪ツアー『あしあと』を実施。22年2月に1stミニアルバム『ダイヤモンド』を初の全国流通盤としてリリース。ピウムジカ オフィシャルHP

「人間失格」MV

『ダイヤモンド』
ふんわりとれーらー

OKMusic編集部

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