1月27日@Spotify O-EAST

1月27日@Spotify O-EAST

reGretGirl、
全国13公演のワンマンツアーを完遂

大阪発の3人組センチメンタルロックバンド・reGretGirlが、1月27日(木)に『忘れたくないワンマンツアー"Life goes on"』のツアーファイナル・東京公演を開催。当日は、YouTubeでの生配信もあり、会場に来れないファンにも届けたライブとなった。

reGretGirlにとって約8ヶ月ぶりのワンマンツアー『忘れたくないワンマンツアー“Life goes on”』は、2021年11月からスタートし、2022年1月27日、東京・Spotify O-EASTでファイナルを迎えた。この日のreGretGirlの演奏はいつにも増してエモーショナルで、バンドで演奏することの喜びに溢れていたのはもちろんのこと、バンドアンサンブル、そして平部雅洋(Vo&Gu)の歌が予想以上のアップデートを感じさせ、申し分のないツアーファイナルとなった。

今回は平部、十九川宗裕(Ba)、前田将司(Dr)のバンドメンバーに加え、サポートミュージシャンとして坂本夏樹(Gu)、重永亮介(Key)が入り、5人編成でのツアーだった。この日も1曲目からがっつり5人のバンドサウンドを聴かせた。昨年末、ツアー途中にリリースされた『生活e.p.』は、平部の地元である和泉府中での「生活」=「恋愛」を愛おしく思い返すような作品であり、今回のツアータイトルに掲げられた「忘れたくない」という言葉ともシンクロする。ゆえに、今回のライブはこのEP作品を引っ提げてのものという意味合いも付加されて、「忘れたくない」瞬間が「生活」のなかで何度も訪れることを再確認するような、そんな感動的なライブとなった。

それを象徴するようなオープニングナンバー、『イズミフチュウ』でライブはスタート。2018年リリースの過去曲ではありながら、地元、和泉府中での大切な人との別れを歌った、最新EPへと繋がるテーマを内包した楽曲だ。やわらかな歌声にじっくり聴き入るような始まりは新鮮だった。そして続く『ルート26』でのドライヴするロックサウンドに、一気にギアが上がる。さらに続けざまに歌い出した『Shunari』には、フロアからハンドクラップも沸き起こる。

グルーヴたっぷりの切ないミドルナンバー『二色浜』からすぐさま、『生活e.p.』収録曲『シャンプー』の歌い出しへとつながり、十九川、前田、そして平部の3人のハーモニーに引き込まれる。この曲のサビは、想いが溢れて言葉が詰め込まれてしまうようなメロディが印象的だが、ライブでの平部の歌唱は、さらにリアルに、切実に響いた。そしてメンバー3人だけでなく、サポートの2人も、ステージ上の全員が演奏を楽しんでいるのがよくわかる。MCで平部は開口一番「いやあ、楽しんでます」と笑った。その後すぐ「ごめんなさい、楽しんでますか?」と言い直したが、その言葉のとおり、何より自身がこの日を迎えられた喜びを実感していたに違いない。

アップテンポのギターロックが炸裂する『ロードイン』、ピアノサウンドがメロウな響きを持つ『LDK』と、再び『生活e.p.』からの楽曲を繰り出すと、バンドのアンサンブルと平部の歌はさらに有機的なバイブスを放っていく。特に『デイドリーム』でのアカペラの歌い出しは、会場の静寂のなかで一際強く胸に突き刺さった。平部のギターのストロークの強さに煽られるように、バンドサウンドにも熱が込もる。スケール感のある素晴らしいスローバラードだった。確かに平部の書く歌は「女々しい」のかもしれない。けれどその女々しいストーリーを、ひとつの映画のように魅力的に表現できる平部の歌声。そのしなやかさと強さが際立った瞬間だった。

終盤は、妄想大爆発で自虐的な、非常にreGretGirlらしい曲、『(L)ONLY』から。そしてアコギとピアノのサウンドが歌に寄り添う『黒鳥山公園』では、“いっそのこと出会わなければよかったかな”と歌った平部が、「生活の上に成り立つのが恋愛のはずなのに、恋愛に振り回されるのが僕らの生活でした」と語ったあとに歌ったのが、『生活e.p.』のラストに収録された『オールディーズ』だった。同じく、忘れられない恋愛を歌う歌でありながら、『オールディーズ』には、「忘れられない」という悲しみよりも、「忘れたくない」という能動的な意思が滲む。やわらかなバンドサウンドは「恋愛に振り回される生活」を慈しむようなあたたかさに満ちていた。その後のMCで「我ながらいい歌を書いてしまったな」と、照れ隠しのように言ってしまうのもご愛嬌。

『生活e.p.』とは、うまくいかなかった恋愛や辛い思い出を「忘れられない」のではなく、「忘れたくない」のだと、平部自身が悟った作品だったのだろう。それがこのツアーのテーマにもつながったのだと気づくと、このあとに続いた『スプリング』は一層晴れやかに清々しく響いた。そして本編ラストは『12月29日』。この日のライブの充実感とツアーファイナルの名残惜しさとが入り混じり、最高潮のテンションで5人のバンドアンサンブルが炸裂した。「忘れたくない」瞬間を刻みつけるような演奏に、フロアからも惜しみない拍手が送られた。

アンコール3曲は、3ピースでのシンプルな編成で。そのアンサンブルもまた、前回ツアー時よりさらにアップデートされたものであると感じられた。『インスタント』の洗練されたロックサウンド、駆け抜けるようにエモーショナルに歌い上げる『ピアス』、「まだ終わりたくないから、もう1曲」と、最高にアグレッシブな演奏でキメた『replay』と、reGretGirlの本質を見るようなプレイだった。

この日のライブ本編は同時に生配信もされていたが、そのアーカイブは1月31日(月)23:59まで視聴可能なので、見逃した人にはぜひ観てほしい。また、3月23日(水)には、この日のライブをパッケージしたスペシャル音源がデジタルリリースされることも発表されたが、まさに、音源として残すにふさわしいライブだったと実感する。この日のライブで、これからのreGretGirlがますます楽しみになった。
Live photo by 白石達也
Text by 杉浦美恵

【セットリスト】
1.イズミフチュウ
2.ルート26
3.Shunari
4.二色浜
5.シャンプー
6.グッドバイ
7.ロードイン
8.LDK
9.テレフォン
10.デイドリーム
11.(L)ONLY
12.黒鳥山公園
13.オールディーズ
14.スプリング
15.ホワイトアウト
16.12月29日
<ENCORE>
1.インスタント
2.ピアス
3.replay

【アーカイブ配信】
『忘れたくないワンマンツアー
"Life goes on"
at Spotify O-EAST 2022.1.27』
※1/31(月)23:59まで

EP『生活e.p.』2021年12月29日(水)発売
    • 【完全限定生産盤】(CD+Tシャツ)
    • COCP-41654/¥3,850(税込)
    • <収録曲>
    • 1.ロードイン
    • 2.シャンプー
    • 3.LDK
    • 4.オールディーズ
1月27日@Spotify O-EAST
1月27日@Spotify O-EAST
1月27日@Spotify O-EAST
1月27日@Spotify O-EAST
1月27日@Spotify O-EAST
1月27日@Spotify O-EAST
reGretGirl
EP『生活e.p.』

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着