ガガガSP、現在のバンドの状態から最
新アルバムが完成するまでを語るオフ
ィシャルインタビューを公開

ガガガSPが最新アルバム『THEガガガSP』を2022年1月19日(水)にリリースした。本記事では、現在のバンドの状態からアルバムが完成するまでを語るオフィシャルインタビューをお届けする。
――最新アルバム『THEガガガSP』を完成したガガガSP。前田くんは昨年9月に17年ぶりとなるソロアルバム『ONE YEAR DIARY』もリリースして。ソロもあってバンドもあってというところで、上手くバランスも取れてすごく充実していると以前、話していましたが、現在のガガガSPの状態はいかがですか?
前田:そうですね、状態はすごくいいです。ガガガはライブのやり方も少し変わってきて、昔はバーッと喋って、僕のワンマンみたいな形でやっていたのが少し変わってきて。
山本:ソロをやったことで、自然と変わってきてますよね。前田さんのソロは僕がサウンドプロデュースをやらせてもらったんですが。ソロは前田さんのパーソナルな部分、コザック前田でなく前田泰伸にスポットを当てた作品にしよう。ガガガの新作は、「ガガガSPとはなんぞや?」ってところで、しっかりコザック前田になってもらおうと思ってて。『THEガガガSP』ではいつ何時でも人の背中を押すような歌を歌ってくれる、僕がこうあって欲しいと思う“コザック前田像”が全面に出せたと思うし、よりバンド感も強くなっているし。それがライブにも活きてる気がします。
ガガガSP
――バンド感ってところでは、「今回、すげぇ音がいいな!」というのがアルバムの第一印象で。1曲目「これでいいのだ」からガガガらしさ全開なんだけど、「これこれ!」と思わせながら、音の奥行きだったり、個性の立った演奏だったり、今までと印象の異なるアレンジだったりで「なんか今までと違うぞ?」と思わせてくれて、「これが最新型のガガガSPなんだ!」と思ってすごく驚いて。自分たち的にも手応えのある自信作になったからこそ、バンド名を擁した『THEガガガSP』と名付たんだろうなと思いました。
山本:ありがとうございます。今回、音の部分は結構こだわってて。メンバーに細かいところまで「こうして欲しい」って注文して、押し付けて演ってもらったところも多くありました(笑)。アレンジ面も「バンドにはこうあって欲しい」という僕の考えを入れていて。バンドって4人で完結するものではあるんですけど、「それバンドでやらんでもええやん!」くらいの無理やりさも欲しくて。ベースもドープにガンガン歪ませた曲を作ったり、今まで無かったところに一歩踏み出すみたいなことはやりました。
――前田くんは山本くんから与えられた、「ガガガSPとはなんぞや?」というお題には、コザック前田としてどう答えたんですか?
前田:完璧な答えはまだ模索中なんですけど。バンドマンの在り方というところで、色んな楽しみが奪われてる人に楽しみを作ってやるというスタンスは変わらないし、ガガガがやるべきことはそういうことなんじゃないかなと思って歌いました。あと最近思うのは「40代で悩むことって、根本的なところでは20代で悩んでたこととさして変わりが無いんじゃないか?」ということで。年を重ねて知識や経験は増えても結局、同じようなことで悩んでるんじゃないか?と思った時、変わってくるのはその伝え方なんじゃないかと思ったんです。だから、それをコザック前田が喋って伝えるんじゃなくて、バンドでしっかり伝えたいというのは意識してますね。それと同時に以前は「一方的に喋って伝えればええわ」と思ってたのが、言葉の一つひとつにも責任を感じるようになって。歌詞や喋りに本当の言葉も出てくるようになった気もします。
ガガガSP
――今作の新曲たちは過去の自分の間違いも成功も全てを受け入れた上でさらに前に進むというのがアルバムのテーマになってますが。面白いのが、桑原くんの書いた「奮闘努力節」の歌詞が今作のテーマをすごく分かりやすく要約して伝えていることで。アルバムを通じて伝えたいことを前田くんだけでなくバンドでしっかり伝えられているし、4人が同じ方向を向いて作品作りに挑めていたということだと思います。
山本:その一曲をひねり出すのに、結構な曲数を潰してしまって、最後に残ったのがこの曲やったんですが(笑)。残るというのはガガガにいま必要な曲やったということだと思うし、そういうことやと思います。
――今作はコロナ禍でライブも出来なくて、曲を届ける相手を想像するのも難しかったと思いますが。昔と今で曲を届ける相手のイメージって変わってきていますか?
前田:僕は曲やその時々で変わりますね。ガッツリイメージ出来てる時と、ぼんやりしてる時があると思うんですけど。若いバンドと対バンが多い時期とかは、そのお客さんにちょっとでも心の隙間に入り込めるようなライブのパッケージが出来ればと思うし。ワンマンが続く時期は、自分を好きやと言ってくれる世代に「ガガガSP、こうあるべきだよね」って思うものを見せてあげたくなるし。その時々で臨機応変な思考で出来るのが一番良いと思うんですけど、なかなか難しいですね。
山本:僕は曲やメロディ、サウンドを考える時、年齢層をなるたけ下げようと思ってて。今回はサウンドはここまで幼かったら、幼稚園児でも踊るやろ? くらいのイメージで作って、そこにいまの40歳越えたコザック前田がカッコつけるではなくて、格好がつく言葉をどう乗せるか? いまの風貌で歌った時に格好がつくものをサウンドと乖離せずに歌って欲しいと考えてました。いままでは誰かに向けようとか、誰かに手紙を書くつもりで曲を書いてたんですが。今回はそこは一回取っ払って、初めてそういう感覚で書きました。昔、大谷社長(LD&K)に「歌詞は手紙みたいに書け」って言われて、真面目やからずっとそれを守ってたんですけど。今回、初めて不良してみました(笑)。いや、そう考えると今回、曲を向けていた対象はコザック前田やったのかも知れないですね。コザック前田に向けて書いてたかも?
――まずはコザック前田を喜ばせたいと。その結果、出来た曲が「Oiの中の蛙」であったり、「妄想天国」や「ニートザンス」だったりして。
前田:「妄想天国」も「ニートザンス」もいいですよね。やっぱりある程度、面白おかしくやりたいですからね。
山本:「妄想天国」はよう分からん女を対象にして歌ってもしょうがないなと思って。「ガガガSPで女と言ったら、京子ちゃんしかおらんやろ!」って、妄想の相手を京子ちゃんにしました(笑)。で、書き出してみたら、4コマ漫画書いてるみたいな起承転結が出来て、最後は「妄想かい!」ってオチがあって。<そうだったらいいのにな>って、40代のおっさんがそんなこと歌ってるのバカバカしくて面白いじゃないですか。
――20歳のバンドが妄想を歌ってても普通だけど、40代のバンドが歌ってると「いつまでそんなこと言ってんだよ!」って面白さがありますからね。
山本:そうそう。「お前、いい年してなに言うとんねん、はよ仕事行け!」みたいな(笑)。それをおっさんが歌う可愛らしさみたいなのもあると思うし。
ガガガSP
――確かに(笑)。続く、前田くん作詞作曲による「やはり素晴らしきこの人生」も、<もしも君に あの時好きな事を伝えたら 今頃変わっていただろうか>と、一行目から前田くんらしい未練たらしいこと言って、「まだそんなこと言ってんの!?」と思ったしね。
前田:あははは。オッサンになっても、変わらずたらればを歌ってるという(笑)。
山本:でも、そんなことも言いながら、この曲では新しい挑戦も出来てて。桑原さんなんて、この曲がすごい好きで「10回くらい繰り返し聴いた」って言うてました。
前田:桑ちゃんに「もうラッパーですやん!」って言われました。何がラッパーや!(笑)
――ラッパーですよ。「妄想天国」では高速ラップも聴かせてるし(笑)。
山本:あはは。でも前田さんはもともとヒップホップ好きなんで、それがようやくバンドに反映出来てるところはあって。色んな側面が出せてるのも面白いし、それがガガガのサウンドで出来てるっていうのも嬉しいなと思ってます。
――うん。ガガガの曲としてヒップホップの要素をすごく自然と取り入れられてるし、「やはり素晴らしきこの人生」はすごくポジティブな印象になってるのがすごく良い。
山本:「エモくなりすぎないように」ってのはすごく意識しました。こういう曲で歌い手が気持ちを全面に出しすぎると、僕は聴いてて引いちゃうんで。良い曲だからこそ、そうならないようにしたかったし、前田さんもそういうつもりで作ってきた曲やったから。割と平坦に歌って、グッと上がるところは箇所箇所に抑えて作り進めました。
ガガガSP
――先行リリースされた「ロックンロール」についても聞かせて下さい。
山本:前田さんとマネージャーと「どんな曲作りましょう?」と話してた時、前田さんが「コロナ禍になって、絶対みんなバラードとか書き出すから、俺らはそんなこと絶対せぇへん方がええ。激しい曲を書こう」と言って、なるほどと思って作り始めた曲だったんですけど。いわゆるガガガ的な激しい曲を書こうって気持ちにどうしてもなれなくて、「いま、自分が思う激しい曲ってなんやろ?」と考えながら作って。歌詞もなかなか出来なくて、散文詩的に書いていたんですけど、一ヶ月くらいかかっちゃって。昔、小沢健二さんが蕎麦屋の箸袋に歌詞を書いてたって逸話があるんですけど、僕もそんな感じで一行だけ書いては置いとくみたいなことしながら、ガガガでは初めての試みですけど、言葉の意味合いよりも聴いた時の気持ち良さを優先して書いて、ガガガに合うかな?と思いながら演奏を合わせたんですが。面白かったのが前田さんが歌ったら、そういう意味で書いてない言葉にも意味が出てきたんですよね。自分の意図してない言葉もフックアップしてもらってる感覚があって、「これはバンドやな」っていうのもすごく感じたし。自分の中ではひとつ新たな起点になった曲というか、思い入れの強い曲になりました。
――その起点となった心の動きが、「ロックンロール」のタイトルにも繋がるんですか?
山本:タイトルは「ロックンロール」しか無かったというか、それ以外に何も浮かばなくて。「「ロックンロール」にしたいんです」って言ったら、「ダサいからやめてや」って言われるかな?とも思ったんですけど、みんな受け入れてくれて。「この曲でロックンロールっていうのは、ガガガとして変ではないんや」と分かったことも嬉しかったです。本当は今までのガガガと全然イメージが違うから、最初はボツろうと思ってたんですけど。嫁さんに聴かせたら、「めっちゃええやん!」って初めて言ってくれたので、「これは持っていこう」って決めたというのもありました(笑)。あと、<ドンチャンセイイェイ>のフレーズを入れられたのも良かったですね。これは「青春時代」のフレーズなんですけど、1stアルバム『ガガガSP登場!』が8曲やから、『THEガガガSP』も8曲とか、25年前のアルバムと対に出来るような作品にもしたくて。聴いた人がどう思うか分からないけど、それが出来たのは良かったなと思います。
――今作のラストを飾る「遠い遠い」はどんな曲になりましたか?
前田:アルバムに一曲、バラードを入れといた方がいいんじゃないか?ってところで曲作りを始めたんですけど、この曲がアルバムで最後に出来た曲で。その時の心境をおもくそ吐露してる歌詞ではあるんですけど。マイナー調の暗めのメロディから入っていくバラードを一曲作ってみたかったというのがあって、それで出来上がった曲だったりして。周りの中からひとつ抜けて行こうという意志のある曲になったと思います。
山本:いままでのバラード曲って、日本のフォーク・ロックっぽいことをやろうと意識してたんですけど。「遠い遠い」ではアメリカのロックバラードっぽい、ちょっとマッチョな骨太な感じでやろうと思って挑戦したんです。前田さんがそういう曲があまり好きじゃないんで、いままでやらなかったんですけど。やってみたら、「こっちも行けるな」ってことが分かって。そこにも新しい発見がありました。
――言われてみると今作って、全体通してフォーク色が薄めですよね。
山本:それはソロをやったから、余計そうなったのかも知れないですね。だから、中途半端なことはしてなくて、しっかり振り切れたと思います。
ガガガSP
――アルバムリリース後、2月からは今作を掲げての全国ツアーも始まります。
前田:前ほどテンションが上がることもないけど、浮足立つこともないんで。一本一本、噛み締めながらツアーをやって、聴き応え見応えのあるライブにしたいと思います。
山本:この間からちょいちょいワンマンをやってて、バンド練習以外でも個人練習をして臨むようにしたら、集中力もすごくあってライブの感触がすごく良くて。このツアーは事前準備をしっかりやっていこうと思ってます。アルバムのツアーでもあり、25周年のツアーでもあるので、曲もいたるところからやることになると思うんで。一本一本、集中力の高いツアーにしたいと思います。頑張ります!

取材・文=フジジュン

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