2021年12月16日 at 下北沢シャングリラ(The;Cutlery)

2021年12月16日 at 下北沢シャングリラ(The;Cutlery)

【The;Cutlery ライヴレポート】
『生きづらい;あなたへ』
2021年12月16日
at 下北沢シャングリラ

2021年12月16日 at 下北沢シャングリラ(The;Cutlery)
2021年12月16日 at 下北沢シャングリラ(The;Cutlery)
2021年12月16日 at 下北沢シャングリラ(The;Cutlery)
2021年12月16日 at 下北沢シャングリラ(The;Cutlery)
2021年12月16日 at 下北沢シャングリラ(The;Cutlery)
2021年12月16日 at 下北沢シャングリラ(The;Cutlery)
2021年12月16日 at 下北沢シャングリラ(The;Cutlery)
2021年12月16日 at 下北沢シャングリラ(The;Cutlery)
2021年12月16日 at 下北沢シャングリラ(The;Cutlery)
 The;Cutlery(読み:カトラリー)が2021年9月より4カ月連続で開催した『生きづらい;あなたへ』の最終公演が、12月16日に下北沢シャングリラで行なわれた。ゲストに明くる夜の羊、MOSHIMOを招き、会場も第3弾公演までの新代田FEVERから、さらに大きなキャパとなる下北沢シャングリラに移し、The;Cutleryの新たな挑戦の場となった。ライヴ終盤で一二三ふみを(Vo&Gu)が発した“生きる意味を見つけたよ!”という言葉は、これまでの4カ月を包括し、自身のアイデンティティーを証明しているように感じた。いちインディーズバンドである彼らが、コロナ禍の中、補助金制度も活用しDIY精神で成し遂げた本公演の模様を振り返り、レポートする。

 まずは明くる夜の羊が、疾走感が心をかき立てる「初恋」で初っ端から堂々のパフォーマンスを魅せる。カワノユイ(Vo&Gu)のエネルギーに満ちた声がフロアーを焚き付けていく。そして、「さよなら雨の日」でネガティブな感情に寄り添い、“最後の夜が来ても大切な人を思い続けられるように”と想いを込めた「ワールドエンド」では終幕感の中に希望を見出す。自身の葛藤を音楽で曝け出すことで、観客の心の拠りどころとなり、最後までアツいパフォーマンスを繰り広げた4人。3月4日には新代田FEVERにてワンマンライヴ『巡り合う軌跡を描いて。』の開催を予定しているとのことで、そちらへの期待も高まる。

 続いて、年内ラストのステージに立ったMOSHIMOは、メンバーが登場するや否や、岩淵紗貴(Vo&Gu)の笑顔につられてステージの空気感が一変。“ライヴをひたすらに楽しもう!”という高揚感をハンドクラップとともにフロアーに伝播させ、ライヴアンセム「電光石火ジェラシー」で躍らせると、汐碇真也のベースが躍動感を増大させ、物おじしないサウンドを放った。そのままの勢いでキャッチーなビートを刻む「釣った魚にエサやれ」をプレイすると、岩渕は“2021年はあっと言う間で、悔しいこともあったけど”と、夏に失恋したエピソードを吐露し「蜂蜜ピザ」を歌唱。心に絡まる切ない気持ちを蜂蜜にリンクさせた失恋ソングは味わい深く、心の奥底まで染みわたる。そして、“うまくいかないこともあるかもしれないけど、MOSHIMO、2022年は起死回生の年にする!”と強く誓うと、アッパーな「命短し恋せよ乙女」で決意表明の拳を高らかに掲げ、その嬉しそうな笑顔が誇らしく感じられた。3月28日にZepp DiverCity(TOKYO)で『MOSHIFES.2022』を開催するMOSHIMO。起死回生に懸ける勇姿を目撃できることだろう。

 本連続企画のグランドフィナーレを飾るのはThe;Cutlery。シューゲイザー、エモ、オルタナ、UKロックを軸に、葛藤や気持ちの浮き沈みを伝える彼らのステージは、まるで海を泳ぐような、日常からは切り離された没入感がある。オープニングナンバーの「incense」から「You never know how "STRONG" you are until being strong is the only choice you have」という緩急をつけた流れで早々に観客を惹きつけ、そのサビのロングトーンで一気に揺さぶりをかける。また、前述したようにこの連続企画『生きづらい;あなたへ』は補助金制度も活用しており、これまで出演してきたAliA、aquarifa、そこに鳴る、雨のマンデーズ、空想委員会らは、The;Cutleryがコロナ禍で声をあげたからこそ共鳴した面々。憧れのバンドとの初共演で受けた刺激を毎公演のステージで昇華し、力強いドラムのアタック音から嵐のような轟音へと引き込む新曲「泥中ノ蓮華」も連続企画を開催する中で確固とした演奏となっていた。

 特筆したいのはライヴ終盤に披露された「and loop」。ふみをのエモーショナルな歌声は華々しく開花し、会場には生命力あふれる声が響く。そして、“ありがとうしか出てこない”とこぼしながら、“みんなそれぞれ抱えているものがあって、大変だけど生きているからここにいる。苦しくなることもあるけど、生きている者としての使命もまっとうすべきだなって。ここまで生きてきた皆さんは、本当に素晴らしい。自分に拍手を送ってください”と、この時間を共有した全ての人を称賛。ふみをが伸び伸びと自由に歌えるステージこそが、The;Cutleryの最大の魅力なのだと痛感した。

 なお、The;Cutleryは2021年4月にリリースされた1stアルバム『water;echo』のブックレットを2022年に発売予定。漫画家・nifuniがイラストを担当しており、そのブックレットを手がかりにThe;Cutleryの幹に触れ、同作の世界に没入してほしい。

撮影:@tm_livephoto、@boc_acha/取材:後藤千尋


セットリスト

  1. ■明くる夜の羊
  2. 1. 初恋
  3. 2.リプレイ
  4. 3.さよなら、雨の日
  5. 4.レイス
  6. 5.ワールドエンド
  7. 6.主人公になれなかった
  8. 7.燈した先に
  9. ■MOSHIMO
  10. 1.電光石火ジェラシー
  11. 2.釣った魚にエサやれ
  12. 3.蜂蜜ピザ
  13. 4.化かし愛のうた
  14. 5.触らぬキミに祟りなし
  15. 6.命短し恋せよ乙女
  16. ■The;Cutlery
  17. 1. incense
  18. 2. You never know how "STRO NG" you are unti l bei ng strong i s the onl y choi ce you have
  19. 3. melancholy room 4. Myosotis
  20. 5. 泥中ノ蓮華
  21. 6. and loop
  22. 7. 404 NOT FOUND

OKMusic編集部

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